《第12話》ヒッコシ。
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その日の夕方。
暇を持て余したラビが、いつも通り神田と遊ぼうとのマンションのインターホンを押す。
「お邪魔するさー」
「……ああ」
神田がドアを開ける。
靴を脱ぎながら、ラビは勝手知ったる様子でリビングへ向かう。
「今日さ、ちょっと暇で来たさ」
「暇なら来るな」
「それ言うなら開けないさ」
「帰れ」
「嫌さ」
いつものやり取り。
神田はコーヒーを淹れながら、淡々と返す。
「で、何の用だ」
「別に用はないさ。ユウの顔見に来ただけさ」
「気持ち悪い理由だな」
「褒め言葉さ」
ラビもソファーに座ると他愛も無い会話が始まる。
「営業部さ、また新しい案件入ったさ」
「ああ」
「アレン大変そう」
「あいつならやる」
「相変わらず短い返事さ」
神田は肩をすくめる。
そんな会話をしている最中、奥の部屋のドアががちゃ、と開く。
「……あ」
部屋着の薫。
髪は少し乱れていて、完全にくつろいだ格好。
「ラビだ」
普通に手を振る。
「え?」
ラビの動きが止まる。
一瞬、思考が追いつかない。
「ラビどうしたの?」
薫は嬉しそうにもう一度言う。
ラビは固まったまま神田を見る。
「え?」
神田はコーヒーを飲んでいる。
「なんだ」
「なんだじゃないさ」
ラビの視線が薫に戻る。
「え?」
ヒロインはにこにこしている。
「どういうことさ」
「何がだ」
神田が淡々と返す。
「いや全部さ」
ラビはリビングを見回す。
ソファ。
マグカップ二つ。
明らかに“生活している空気”。
そして部屋着の薫。
「え、待つさ」
「待たない」
「待てないさこれは」
薫は普通に座る。
「ラビ遊びに来たの?」
「そうさ」
「いいね」
「いやよくないさ」
ラビは神田を見る。
「なんで薫がいるさ?」
「いるだろ」
「そういう意味じゃないさ」
「何だ」
ラビは言葉を探す。
「ここ、ユウの家さ」
「そうだな」
「で、薫もいるさ」
「いるな」
「で?」
「一緒に住んでる」
「……」
沈黙。
ラビの顔がゆっくり固まる。
「今なんて言ったさ?」
「一緒に住んでる」
「それ先に言うさ!!」
薫が首を傾ける。
「言ってなかったっけ?」
「聞いてないさぁあああ!!」
部屋中に響くラビの声。
そんな事も気にせず神田はコーヒーを一口飲む。
「言う必要あるか?」
「あるさ!!」
ラビは頭を抱える。
「俺、完全にただの遊びに来た人さ!!」
「そうだな」
「そうだなじゃないさ!」
薫がくすくす笑う。
「ラビびっくりしてる」
「するさ!!」
ラビは神田を見る。
「いつからさ」
「先週」
「お前ら付き合ってどれくらいさ」
「1ヶ月くらい」
「早い!!」
神田は淡々と答える。
「お前の反応がうるさいだけだ」
「うるさいのはそっちさ!!」
薫は楽しそうに二人を見ている。
「ラビもコーヒー飲む?」
「今それどころじゃないさ」
「飲むだろ」
神田がマグカップを差し出す。
「……飲むさ」
結局受け取るラビ。
一口飲んで、ため息。
「付き合ってるのは知ってた!」
「うん」
「でも!」
「うん」
「なんで同棲してるんさ?!」
薫は素直に答える。
「引っ越した!」
「それ説明になってないさ!」
神田はソファにもたれたまま。
「部屋余ってた。」
「そこじゃない!」
「痴漢に遭った」
「え?」
ラビが薫を見る。
薫は少し照れながら頷く。
「それで、ユウが心配して」
「……」
「部屋の更新のタイミングもあったから住めって」
ラビはゆっくり神田を見る。
「お前」
「なんだ」
「男前すぎるさ……」
神田は眉ひとつ動かさない。
「放っとけ」
「でもユウ」
「なんだ」
「この家、普通じゃないさ」
神田は即答。
「普通だ」
薫も笑う。
「普通だよね」
ラビは天井を見上げる。
「絶対違うさ……」
でも、その空気はもう崩れない。
三人の騒がしい日常は、いつの間にかそこに馴染んでいた。
暇を持て余したラビが、いつも通り神田と遊ぼうとのマンションのインターホンを押す。
「お邪魔するさー」
「……ああ」
神田がドアを開ける。
靴を脱ぎながら、ラビは勝手知ったる様子でリビングへ向かう。
「今日さ、ちょっと暇で来たさ」
「暇なら来るな」
「それ言うなら開けないさ」
「帰れ」
「嫌さ」
いつものやり取り。
神田はコーヒーを淹れながら、淡々と返す。
「で、何の用だ」
「別に用はないさ。ユウの顔見に来ただけさ」
「気持ち悪い理由だな」
「褒め言葉さ」
ラビもソファーに座ると他愛も無い会話が始まる。
「営業部さ、また新しい案件入ったさ」
「ああ」
「アレン大変そう」
「あいつならやる」
「相変わらず短い返事さ」
神田は肩をすくめる。
そんな会話をしている最中、奥の部屋のドアががちゃ、と開く。
「……あ」
部屋着の薫。
髪は少し乱れていて、完全にくつろいだ格好。
「ラビだ」
普通に手を振る。
「え?」
ラビの動きが止まる。
一瞬、思考が追いつかない。
「ラビどうしたの?」
薫は嬉しそうにもう一度言う。
ラビは固まったまま神田を見る。
「え?」
神田はコーヒーを飲んでいる。
「なんだ」
「なんだじゃないさ」
ラビの視線が薫に戻る。
「え?」
ヒロインはにこにこしている。
「どういうことさ」
「何がだ」
神田が淡々と返す。
「いや全部さ」
ラビはリビングを見回す。
ソファ。
マグカップ二つ。
明らかに“生活している空気”。
そして部屋着の薫。
「え、待つさ」
「待たない」
「待てないさこれは」
薫は普通に座る。
「ラビ遊びに来たの?」
「そうさ」
「いいね」
「いやよくないさ」
ラビは神田を見る。
「なんで薫がいるさ?」
「いるだろ」
「そういう意味じゃないさ」
「何だ」
ラビは言葉を探す。
「ここ、ユウの家さ」
「そうだな」
「で、薫もいるさ」
「いるな」
「で?」
「一緒に住んでる」
「……」
沈黙。
ラビの顔がゆっくり固まる。
「今なんて言ったさ?」
「一緒に住んでる」
「それ先に言うさ!!」
薫が首を傾ける。
「言ってなかったっけ?」
「聞いてないさぁあああ!!」
部屋中に響くラビの声。
そんな事も気にせず神田はコーヒーを一口飲む。
「言う必要あるか?」
「あるさ!!」
ラビは頭を抱える。
「俺、完全にただの遊びに来た人さ!!」
「そうだな」
「そうだなじゃないさ!」
薫がくすくす笑う。
「ラビびっくりしてる」
「するさ!!」
ラビは神田を見る。
「いつからさ」
「先週」
「お前ら付き合ってどれくらいさ」
「1ヶ月くらい」
「早い!!」
神田は淡々と答える。
「お前の反応がうるさいだけだ」
「うるさいのはそっちさ!!」
薫は楽しそうに二人を見ている。
「ラビもコーヒー飲む?」
「今それどころじゃないさ」
「飲むだろ」
神田がマグカップを差し出す。
「……飲むさ」
結局受け取るラビ。
一口飲んで、ため息。
「付き合ってるのは知ってた!」
「うん」
「でも!」
「うん」
「なんで同棲してるんさ?!」
薫は素直に答える。
「引っ越した!」
「それ説明になってないさ!」
神田はソファにもたれたまま。
「部屋余ってた。」
「そこじゃない!」
「痴漢に遭った」
「え?」
ラビが薫を見る。
薫は少し照れながら頷く。
「それで、ユウが心配して」
「……」
「部屋の更新のタイミングもあったから住めって」
ラビはゆっくり神田を見る。
「お前」
「なんだ」
「男前すぎるさ……」
神田は眉ひとつ動かさない。
「放っとけ」
「でもユウ」
「なんだ」
「この家、普通じゃないさ」
神田は即答。
「普通だ」
薫も笑う。
「普通だよね」
ラビは天井を見上げる。
「絶対違うさ……」
でも、その空気はもう崩れない。
三人の騒がしい日常は、いつの間にかそこに馴染んでいた。