《第11話》キンム。
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翌日。
会社。
社長室。
クロス社長は、机の上の書類を眺めながら、ふっと笑う。
「……本当に面白い女だ」
薫が苦笑する。
「なんの話ですか」
「仕事はできる、判断も早い、周りもよく見ている」
「?」
薫は書類を束ねながら不思議そうにクロスを見る。
するとクロスは少し楽しそうに言う。
「これでもし俺の側に置けたら、どれだけ楽しいか」
「またその話ですか」
褒められても当の本人は当たり前のような顔をしている。
クロスは薫のビジュアルだけでなく、仕事ぶりを高く評価している。
ただ。
本人には全く伝わっていない。
なぜなら――
いつも必要以上に馴れ馴れしく接していることが大きな要因だろう。
当の薫は
「この資料、数字ここ修正お願いします。あと、この案件は先方に確認取っておきます」
と社内電話ですでに書類の修正を頼んでいた。
いつも通り。
淡々と冷静に。
完璧に仕事をこなしている。
「ちょっと隣来ないか?」
「いきません」
「ほら」
と手を引くと、ストンと座り込む薫。
「なんですか」
「…押し倒してえな」
「やめてください」
束ねた書類に、他のミスがないか目で確認しながらあしらう。
薫の髪をするんと撫でながら、毛先にキスをする。
「社長」
「なんだ」
「セクハラです」
「髪の毛じゃねーか」
「私の一部なのでセクハラです」
「ケチくさいな」
「ちょっと課に戻ってくるので、大人しく仕事してるか社長室にいてくださいね」
そう言うと秘書課へ戻る薫。
薫はパソコン画面から顔を上げない。
「次の会議資料できました」
「ありがとうございます」
「確認お願いします」
仕事モード。
一切ぶれない。
そして出来上がった資料を社長室へ届ける。
「失礼します」
クロスが顔を上げる。
「早かったな」
「仕事出来るんで」
にこりと笑う薫。
「資料の確認お願いします」
机に置く。
クロスは資料を見る。
「…めんどくせー。これでいい」
「ちゃんと確認してください」
「薫がやったんなら完璧だろ」
「褒めても何も出ませんし、ミスしてても知りませんよ?」
「その時はその時だ」
クロスの信頼が厚い。
「それよりコーヒー飲みたいな」
「お待ちください」
と隣の部屋へ行き、コーヒーを淹れてくる。
「美人が淹れるとうまいな」
機嫌が良くなるクロス。
いつもそう。
ギリギリの距離感なのに、仕事ぶりは褒める。
仕事はきちんとこなす社長だ。
「一緒に飲まないか?」
「残りの仕事がありますので」
そう言うと薫は何事もなかったように退室する。
残されたクロスは、資料を見ながら呟く。
「本当隙がねえな」
秘書課の女神。
最初は顔がいい秘書を寄越せと自分で言ったら若い奴が送り込まれてきた。
仕事させたらこれが有能だった。
23歳で社長秘書は十分過ぎるくらいのポジション。
周りに嫉妬もされるであろうが、話を聞くにそんなこともないらしい。
人脈がすごい。
「いい女ってのはめんどくせえなぁ」
そう言いながらもクロスの口元は笑っていた。
会社。
社長室。
クロス社長は、机の上の書類を眺めながら、ふっと笑う。
「……本当に面白い女だ」
薫が苦笑する。
「なんの話ですか」
「仕事はできる、判断も早い、周りもよく見ている」
「?」
薫は書類を束ねながら不思議そうにクロスを見る。
するとクロスは少し楽しそうに言う。
「これでもし俺の側に置けたら、どれだけ楽しいか」
「またその話ですか」
褒められても当の本人は当たり前のような顔をしている。
クロスは薫のビジュアルだけでなく、仕事ぶりを高く評価している。
ただ。
本人には全く伝わっていない。
なぜなら――
いつも必要以上に馴れ馴れしく接していることが大きな要因だろう。
当の薫は
「この資料、数字ここ修正お願いします。あと、この案件は先方に確認取っておきます」
と社内電話ですでに書類の修正を頼んでいた。
いつも通り。
淡々と冷静に。
完璧に仕事をこなしている。
「ちょっと隣来ないか?」
「いきません」
「ほら」
と手を引くと、ストンと座り込む薫。
「なんですか」
「…押し倒してえな」
「やめてください」
束ねた書類に、他のミスがないか目で確認しながらあしらう。
薫の髪をするんと撫でながら、毛先にキスをする。
「社長」
「なんだ」
「セクハラです」
「髪の毛じゃねーか」
「私の一部なのでセクハラです」
「ケチくさいな」
「ちょっと課に戻ってくるので、大人しく仕事してるか社長室にいてくださいね」
そう言うと秘書課へ戻る薫。
薫はパソコン画面から顔を上げない。
「次の会議資料できました」
「ありがとうございます」
「確認お願いします」
仕事モード。
一切ぶれない。
そして出来上がった資料を社長室へ届ける。
「失礼します」
クロスが顔を上げる。
「早かったな」
「仕事出来るんで」
にこりと笑う薫。
「資料の確認お願いします」
机に置く。
クロスは資料を見る。
「…めんどくせー。これでいい」
「ちゃんと確認してください」
「薫がやったんなら完璧だろ」
「褒めても何も出ませんし、ミスしてても知りませんよ?」
「その時はその時だ」
クロスの信頼が厚い。
「それよりコーヒー飲みたいな」
「お待ちください」
と隣の部屋へ行き、コーヒーを淹れてくる。
「美人が淹れるとうまいな」
機嫌が良くなるクロス。
いつもそう。
ギリギリの距離感なのに、仕事ぶりは褒める。
仕事はきちんとこなす社長だ。
「一緒に飲まないか?」
「残りの仕事がありますので」
そう言うと薫は何事もなかったように退室する。
残されたクロスは、資料を見ながら呟く。
「本当隙がねえな」
秘書課の女神。
最初は顔がいい秘書を寄越せと自分で言ったら若い奴が送り込まれてきた。
仕事させたらこれが有能だった。
23歳で社長秘書は十分過ぎるくらいのポジション。
周りに嫉妬もされるであろうが、話を聞くにそんなこともないらしい。
人脈がすごい。
「いい女ってのはめんどくせえなぁ」
そう言いながらもクロスの口元は笑っていた。