《第6話》ジム。
お名前は?
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滞りなく午後の業務に就いた。
働いていて思ったのは、思った以上に神田に会う機会がないなと。
よく名前を聞いていたのは、見た目が似ているからかもしれない。
よく間違われて名前を聞くから嫌になっていただけで、いざ職場で顔を合わせることは少ない。
定刻になり、退勤を押して帰るが、社内のどこでもすれ違うことがなかった。
(なんか…寂しい…)
昨日はエレベーターで一緒になったがそれもない。
ロビーで15分程待ってみたが来る気配はない。
(約束してたわけじゃないし…諦めよ)
諦めて帰路についた。
今日の薫は地味に荷物が多い。
というのも、薫はスポーツクラブの会員なのだ。
会社の福利厚生でお得に入会したところ、運動にハマってしまっていた。
「こんばんは」
慣れた手付きでインストラクターに挨拶しながら入っていく。
ブラトップにレギンススパッツという、ピチっと体に密着した装いになる。
髪は高いところでポニーテールに結ぶ。
トレーニングフロアに移動すると、薫の美貌故に男たちの視線を浴びる。
こう見えてガッツリトレーニーの薫は迷わずフリーウエイトエリアに向かう。
そこでフリーラックを見つけるとウエイトを装着していく。
20kg、20kg、バーを入れて60kgになる重さ。
「お姉さん、サポートしましょうか?」
最近入会してきたのだろうか。ナンパ気味に声をかけられる。
「あ、いらないです。邪魔しないでください。」
淡々と返す。
薫はこう見えてストイックだ。
60kgになったバーをスっと持ち上げてスクワットしていく。
10回×3セット。
おしりを意識していく。最近のマイブームはヒップアップなのだ。
「…ハァ…ハァ」
ベンチを持ってきてヒップスラストをできるようにセットする。
こちらは10kgずつの重さに変えて。
少しずつおしりに疲労が溜まってくる感じがたまらない。
仕上げにアブダクター、アダクターで外腿内腿を刺激していく。
一通り行うと、チラリと時計を見てスタジオに移動する。
有酸素運動がてら格闘技系のプログラムを受講する。
60分、みっちりスタジオで汗をかく。
(今日もイイ運動だった)
満足するとシャワーを浴びて、軽く化粧を施す。
薫のいつものルーティンだ。
「ありがとうございました」
清々しい気持ちでジムを後にする。
(今日は作っておいた鶏ハムで高タンパクご飯かな)
なんて思いながら歩いていると、電話が鳴る。
「はい、中田です」
「おい、今〇〇の近く歩いてるか?」
「え?はい」
神田だった。
「乗ってけ」
「え?」
疑問形と同時に少し前に横付けされる黒のレク〇ス。
パッと薫の表情が明るくなる。
「神田さんっ」
嬉しそうにドアを開ける。
「残業か?」
「ジムです」
「ジム?」
「筋トレ趣味なんですよ」
トレーニングの素晴らしさを神田に語る。
「なんと今なら会社の福利厚生でお安く入会可能!どうですか?」
ジムの手先のように神田に勧める。
「なんと今なら薫ちゃんという専属インストラクターがついてきます」
「お前トレーニング詳しいのか?」
「マッチョたちが教えてくれたので」
「あ?」
たちってなんだよ。複数いんのかよと機嫌が悪くなる。
「俺も入る」
虫除けに。
「本当ですか?!神田さんとジムとか楽しみ〜。私次明後日行くのでその時一緒に」
赤信号。バチっと目が合う。
「一緒に、なんだよ」
「…神田さんより重いの持ち上げても引かない?」
「そんな訳ねーだろ」
「ガチトレーニーですよ、私」
「はっ。面白いじゃねーか」
走行している間に薫のマンションについた。
「今日は…?」
「帰る。お前見えただけだから」
「そう…ですよね」
少しの寂しさが胸を割く。
「………………ちゅー、だけ。ダメですか?」
「こっち向け」
神田はシートベルトを外すと薫の唇に吸い付いて、軽くキスをする。
「えへへ」
それだけの行動だったが、神田が断らなかったことが嬉しくて思わず笑みがこぼれる。
「また明日。会社で。ありがとうございました」
ドアを締め、神田の車が見えなくなるまで見送った。
働いていて思ったのは、思った以上に神田に会う機会がないなと。
よく名前を聞いていたのは、見た目が似ているからかもしれない。
よく間違われて名前を聞くから嫌になっていただけで、いざ職場で顔を合わせることは少ない。
定刻になり、退勤を押して帰るが、社内のどこでもすれ違うことがなかった。
(なんか…寂しい…)
昨日はエレベーターで一緒になったがそれもない。
ロビーで15分程待ってみたが来る気配はない。
(約束してたわけじゃないし…諦めよ)
諦めて帰路についた。
今日の薫は地味に荷物が多い。
というのも、薫はスポーツクラブの会員なのだ。
会社の福利厚生でお得に入会したところ、運動にハマってしまっていた。
「こんばんは」
慣れた手付きでインストラクターに挨拶しながら入っていく。
ブラトップにレギンススパッツという、ピチっと体に密着した装いになる。
髪は高いところでポニーテールに結ぶ。
トレーニングフロアに移動すると、薫の美貌故に男たちの視線を浴びる。
こう見えてガッツリトレーニーの薫は迷わずフリーウエイトエリアに向かう。
そこでフリーラックを見つけるとウエイトを装着していく。
20kg、20kg、バーを入れて60kgになる重さ。
「お姉さん、サポートしましょうか?」
最近入会してきたのだろうか。ナンパ気味に声をかけられる。
「あ、いらないです。邪魔しないでください。」
淡々と返す。
薫はこう見えてストイックだ。
60kgになったバーをスっと持ち上げてスクワットしていく。
10回×3セット。
おしりを意識していく。最近のマイブームはヒップアップなのだ。
「…ハァ…ハァ」
ベンチを持ってきてヒップスラストをできるようにセットする。
こちらは10kgずつの重さに変えて。
少しずつおしりに疲労が溜まってくる感じがたまらない。
仕上げにアブダクター、アダクターで外腿内腿を刺激していく。
一通り行うと、チラリと時計を見てスタジオに移動する。
有酸素運動がてら格闘技系のプログラムを受講する。
60分、みっちりスタジオで汗をかく。
(今日もイイ運動だった)
満足するとシャワーを浴びて、軽く化粧を施す。
薫のいつものルーティンだ。
「ありがとうございました」
清々しい気持ちでジムを後にする。
(今日は作っておいた鶏ハムで高タンパクご飯かな)
なんて思いながら歩いていると、電話が鳴る。
「はい、中田です」
「おい、今〇〇の近く歩いてるか?」
「え?はい」
神田だった。
「乗ってけ」
「え?」
疑問形と同時に少し前に横付けされる黒のレク〇ス。
パッと薫の表情が明るくなる。
「神田さんっ」
嬉しそうにドアを開ける。
「残業か?」
「ジムです」
「ジム?」
「筋トレ趣味なんですよ」
トレーニングの素晴らしさを神田に語る。
「なんと今なら会社の福利厚生でお安く入会可能!どうですか?」
ジムの手先のように神田に勧める。
「なんと今なら薫ちゃんという専属インストラクターがついてきます」
「お前トレーニング詳しいのか?」
「マッチョたちが教えてくれたので」
「あ?」
たちってなんだよ。複数いんのかよと機嫌が悪くなる。
「俺も入る」
虫除けに。
「本当ですか?!神田さんとジムとか楽しみ〜。私次明後日行くのでその時一緒に」
赤信号。バチっと目が合う。
「一緒に、なんだよ」
「…神田さんより重いの持ち上げても引かない?」
「そんな訳ねーだろ」
「ガチトレーニーですよ、私」
「はっ。面白いじゃねーか」
走行している間に薫のマンションについた。
「今日は…?」
「帰る。お前見えただけだから」
「そう…ですよね」
少しの寂しさが胸を割く。
「………………ちゅー、だけ。ダメですか?」
「こっち向け」
神田はシートベルトを外すと薫の唇に吸い付いて、軽くキスをする。
「えへへ」
それだけの行動だったが、神田が断らなかったことが嬉しくて思わず笑みがこぼれる。
「また明日。会社で。ありがとうございました」
ドアを締め、神田の車が見えなくなるまで見送った。