《第27話》イエノミ。
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朝。
カーテンの隙間から、やわらかな朝日がリビングに差し込む。
ラビは布団にくるまり、
「……あと5分……」
アレンもまだ眠そうに目を閉じ、リナリーも毛布を抱えたまま夢うつつだった。
マンションは静かで、まだ誰も起きていないように思えた。
その時。
寝室から、ふんわりと聞こえてくる声。
「……ユウ」
三人の耳がぴくっと動く。
「……おはようの、ちゅー」
「……」
「……」
「……」
次の瞬間。
パチッ。
ラビの目が全開になる。
アレンも勢いよく起き上がり、リナリーは布団から半分飛び出した。
「聞いた!?」
ラビが声にならない声で囁く。
「聞きました……!」
「私も!」
三人とも完全に目が覚めていた。
寝室は少しだけ静かになる。
「……」
「……」
「……」
ラビが小さく頷く。
「今、ユウ考えてるさ」
アレンも真面目な顔で分析する。
「昨日は少し粘られていましたからね」
リナリーは胸の前で手を組む。
「今日はどうかな……」
数秒後。
寝室から、小さな音。
ちゅっ。
三人は同時に顔を見合わせた。
「……」
「……」
「……」
ラビが親指を立てる。
「成功」
アレンも苦笑する。
「毎朝なんでしょうか」
「仲良しだねぇ」
リナリーがにこにこしている。
しばらくして寝室のドアが開いた。
薫が出てくる。
髪は少しだけ寝ぐせがついていて、部屋着のまま。
でも、ものすごくご機嫌。
鼻歌まで歌いそうなくらい、ふわふわ笑っている。
「おはよー」
「あ、おはようございます」
「おはようさ」
「おはよう!」
薫はにこにことキッチンへ向かう。
その後ろ姿を見送りながら、ラビが確信したように頷いた。
「……あれ」
アレンも笑いをこらえながら言う。
「ええ」
リナリーは小さく吹き出した。
「これ、ちゅーしたやつだ」
三人は一斉に笑いをこらえて肩を震わせる。
そのタイミングで寝室から神田も出てきた。
「……おはよう」
いつも通り無表情。
けれど耳がほんの少し赤い。
ラビはその赤さを見逃さなかった。
(ユウ、分かりやすすぎるさ)
もちろん本人には何も言わない。
三人は必死に平静を装いながら、
「お、おはようございます!」
と元気よく挨拶する。
神田は怪訝そうに三人を見たが、その理由には最後まで気づかなかった。
リビングに立つと薫はエプロン姿で振り返った。
「朝ごはん、パンケーキでいい?」
「「「いい!」」」
三人の返事がきれいに重なる。
「じゃあ作るね」
冷蔵庫から材料を取り出し、ボウルに卵を割り、牛乳を入れ、粉をさっくり混ぜる。
手際がいい。
「すご……」
リナリーが思わず見入る。
「全然迷いがない」
「慣れてるからね」
フライパンを温め、生地を流し入れる。
ぷくぷくと気泡が浮いてきたところで、くるり。
きれいに裏返る。
「「おぉー!」」
ラビとアレンが拍手した。
「めっちゃきれい!」
「お店みたいです」
その横では神田が静かにコーヒーの準備をしていた。
豆を挽く音が響く。
ガリガリガリ……
「神田も本格的ですね」
アレンが覗き込む。
「豆からなんですね」
神田は短く答える。
「挽いた方がうまい」
お湯を細く、ゆっくり注ぐ。
粉がふわっと膨らみ、コーヒーの香ばしい香りが広がった。
ラビが鼻をひくひくさせる。
「いい匂い……」
神田はドリップを続けながら、リビングへ声を掛けた。
「コーヒー飲むやつ」
「はーい!」
ラビ。
「はい!」
アレン。
「私も!」
リナリー。
三人とも元気よく手を挙げる。
薫はパンケーキを焼きながら笑った。
「私はあとで飲むね」
神田は人数分のマグカップへ丁寧に注いでいく。
テーブルには焼きたてのパンケーキ。
バターがじゅわっと溶け、メープルシロップがつやつやと流れる。
「いただきます!」
まずはコーヒーを一口。
「……」
ラビが固まる。
「……え?」
アレンも驚いた顔になる。
「えっ」
リナリーまで目を丸くした。
「おいしい……!」
ラビは思わず神田を見る。
「ユウ」
「なんだ」
「バリスタ?」
「違う」
「絶対違わないさ!」
アレンも何度か頷く。
「喫茶店で出てきても分からないです」
「苦いだけじゃなくて、甘みもあります」
リナリーも感動している。
「こんなに飲みやすいコーヒー初めて」
神田は少しだけ肩をすくめた。
「豆がいいだけだ」
すると薫が笑いながら口を挟む。
「違うよ」
「……」
「同じ豆使っても、私が淹れるとこの味にならないもん」
ラビは神田と薫を交互に見た。
「つまり」
アレンが続ける。
「カクテル担当が女神」
リナリーが笑顔で締める。
「コーヒー担当が神田!」
ヒロインは焼き上がったパンケーキを運びながらにっこり笑った。
「役割分担だね」
「最高の夫婦じゃないですか」
アレンの一言に、薫は照れくさそうに笑う。
「夫婦じゃないよ」
神田はコーヒーカップを口元へ運びながら、ぼそりと呟いた。
「……こいつのパンケーキには、このコーヒーが合う」
その何気ない一言に、薫は嬉しそうに神田を見つめる。
ラビはフォークを持ったまま天井を仰いだ。
「朝から惚気、ごちそうさまさ……」
リナリーとアレンも笑いながら頷き、焼きたてのパンケーキと香り高いコーヒーを心ゆくまで味わった。
カーテンの隙間から、やわらかな朝日がリビングに差し込む。
ラビは布団にくるまり、
「……あと5分……」
アレンもまだ眠そうに目を閉じ、リナリーも毛布を抱えたまま夢うつつだった。
マンションは静かで、まだ誰も起きていないように思えた。
その時。
寝室から、ふんわりと聞こえてくる声。
「……ユウ」
三人の耳がぴくっと動く。
「……おはようの、ちゅー」
「……」
「……」
「……」
次の瞬間。
パチッ。
ラビの目が全開になる。
アレンも勢いよく起き上がり、リナリーは布団から半分飛び出した。
「聞いた!?」
ラビが声にならない声で囁く。
「聞きました……!」
「私も!」
三人とも完全に目が覚めていた。
寝室は少しだけ静かになる。
「……」
「……」
「……」
ラビが小さく頷く。
「今、ユウ考えてるさ」
アレンも真面目な顔で分析する。
「昨日は少し粘られていましたからね」
リナリーは胸の前で手を組む。
「今日はどうかな……」
数秒後。
寝室から、小さな音。
ちゅっ。
三人は同時に顔を見合わせた。
「……」
「……」
「……」
ラビが親指を立てる。
「成功」
アレンも苦笑する。
「毎朝なんでしょうか」
「仲良しだねぇ」
リナリーがにこにこしている。
しばらくして寝室のドアが開いた。
薫が出てくる。
髪は少しだけ寝ぐせがついていて、部屋着のまま。
でも、ものすごくご機嫌。
鼻歌まで歌いそうなくらい、ふわふわ笑っている。
「おはよー」
「あ、おはようございます」
「おはようさ」
「おはよう!」
薫はにこにことキッチンへ向かう。
その後ろ姿を見送りながら、ラビが確信したように頷いた。
「……あれ」
アレンも笑いをこらえながら言う。
「ええ」
リナリーは小さく吹き出した。
「これ、ちゅーしたやつだ」
三人は一斉に笑いをこらえて肩を震わせる。
そのタイミングで寝室から神田も出てきた。
「……おはよう」
いつも通り無表情。
けれど耳がほんの少し赤い。
ラビはその赤さを見逃さなかった。
(ユウ、分かりやすすぎるさ)
もちろん本人には何も言わない。
三人は必死に平静を装いながら、
「お、おはようございます!」
と元気よく挨拶する。
神田は怪訝そうに三人を見たが、その理由には最後まで気づかなかった。
リビングに立つと薫はエプロン姿で振り返った。
「朝ごはん、パンケーキでいい?」
「「「いい!」」」
三人の返事がきれいに重なる。
「じゃあ作るね」
冷蔵庫から材料を取り出し、ボウルに卵を割り、牛乳を入れ、粉をさっくり混ぜる。
手際がいい。
「すご……」
リナリーが思わず見入る。
「全然迷いがない」
「慣れてるからね」
フライパンを温め、生地を流し入れる。
ぷくぷくと気泡が浮いてきたところで、くるり。
きれいに裏返る。
「「おぉー!」」
ラビとアレンが拍手した。
「めっちゃきれい!」
「お店みたいです」
その横では神田が静かにコーヒーの準備をしていた。
豆を挽く音が響く。
ガリガリガリ……
「神田も本格的ですね」
アレンが覗き込む。
「豆からなんですね」
神田は短く答える。
「挽いた方がうまい」
お湯を細く、ゆっくり注ぐ。
粉がふわっと膨らみ、コーヒーの香ばしい香りが広がった。
ラビが鼻をひくひくさせる。
「いい匂い……」
神田はドリップを続けながら、リビングへ声を掛けた。
「コーヒー飲むやつ」
「はーい!」
ラビ。
「はい!」
アレン。
「私も!」
リナリー。
三人とも元気よく手を挙げる。
薫はパンケーキを焼きながら笑った。
「私はあとで飲むね」
神田は人数分のマグカップへ丁寧に注いでいく。
テーブルには焼きたてのパンケーキ。
バターがじゅわっと溶け、メープルシロップがつやつやと流れる。
「いただきます!」
まずはコーヒーを一口。
「……」
ラビが固まる。
「……え?」
アレンも驚いた顔になる。
「えっ」
リナリーまで目を丸くした。
「おいしい……!」
ラビは思わず神田を見る。
「ユウ」
「なんだ」
「バリスタ?」
「違う」
「絶対違わないさ!」
アレンも何度か頷く。
「喫茶店で出てきても分からないです」
「苦いだけじゃなくて、甘みもあります」
リナリーも感動している。
「こんなに飲みやすいコーヒー初めて」
神田は少しだけ肩をすくめた。
「豆がいいだけだ」
すると薫が笑いながら口を挟む。
「違うよ」
「……」
「同じ豆使っても、私が淹れるとこの味にならないもん」
ラビは神田と薫を交互に見た。
「つまり」
アレンが続ける。
「カクテル担当が女神」
リナリーが笑顔で締める。
「コーヒー担当が神田!」
ヒロインは焼き上がったパンケーキを運びながらにっこり笑った。
「役割分担だね」
「最高の夫婦じゃないですか」
アレンの一言に、薫は照れくさそうに笑う。
「夫婦じゃないよ」
神田はコーヒーカップを口元へ運びながら、ぼそりと呟いた。
「……こいつのパンケーキには、このコーヒーが合う」
その何気ない一言に、薫は嬉しそうに神田を見つめる。
ラビはフォークを持ったまま天井を仰いだ。
「朝から惚気、ごちそうさまさ……」
リナリーとアレンも笑いながら頷き、焼きたてのパンケーキと香り高いコーヒーを心ゆくまで味わった。