《第27話》イエノミ。
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キールのグラスを片手に、テーブルを囲んだ五人。
最初は仕事の話から始まった。
「そういえばさ、最近営業部忙しいんじゃない?」
薫がラビに聞く。
「忙しいさー。でもユウがいるから助かってるさ」
「俺?」
神田が眉をひそめる。
「無駄なこと言わない、判断早い、客にも媚びない。怖いけど頼れる」
「褒めてんのかそれ」
「褒めてるさ」
アレンも頷く。
「でも神田、本当に仕事ではすごいですよね。社内では『魔王』って呼ばれてますけど」
「それ誰が広めたんだ」
全員が静かにラビを見る。
「……俺じゃないさ?」
「嘘」
リナリーが即答する。
「絶対ラビ」
「心外さ!」
薫がくすくす笑う。
「でも魔王って呼ばれてるの、本人知らなかったんだよね」
「……今でも気に入らねぇ」
「でも似合ってるよ?」
「お前まで言うな」
そんなやり取りに、みんな笑う。
料理をつまみながら、今度はプライベートの話へ。
「そういえば、二人って家ではどうなの?」
リナリーが楽しそうに聞く。
「どうって?」
「会社だと神田、薫に対しても淡々としてるじゃない?
「家でも?」
ラビが身を乗り出す。
神田は嫌な予感しかしない顔。
「……余計なこと言うな」
「え、でも普通だよ?」
薫が首を傾げる。
「普通?」
「うん。ご飯食べて、一緒にテレビ見て、たまにお酒飲んで」
「たまにじゃねぇだろ」
神田が小さく突っ込む。
「え?」
「お前が作るカクテルの日、多い」
「好きじゃん」
「……」
神田が黙る。
ラビがニヤッとする。
「否定しないさ」
「うるせぇ」
アレンが笑いながらグラスを置いた。
「なんだかんだ仲良いですよね」
「そりゃね」
薫が自然に答える。
「一緒にいる時間が一番落ち着くから」
その言葉に、神田が一瞬だけ薫を見る。
そして何も言わず、空になりかけた彼女のグラスにキールを少し足した。
リナリーがそれを見逃さない。
「……神田」
「なんだ」
「今の、優しかったね」
「普通だ」
「はいはい」
ラビが笑う。
「会社じゃ魔王、家じゃただの彼氏さ」
「……」
神田は反論しようとして、やめる。
薫が隣で笑っているから。
夜はまだ始まったばかり。
仕事の愚痴、昔話、最近ハマっていること。
五人の会話は途切れることなく、グラスの音と笑い声がリビングに響いていた。
ラビが空になったキールのグラスを眺めながら、急に手を上げた。
「じゃあ次、薫のカクテル飲みたいさ!」
「え?」
薫がきょとんとする。
「もう飲んでるじゃん」
そう言って笑う。
「いやいや、そうじゃないさ!」
ラビが身振り手振りで説明する。
「シャカシャカしたやつ!」
「ああ」
アレンが納得したように頷く。
「シェイカー使うショートカクテルですね」
「それそれ!」
薫は笑いながらバーカウンターへ向かう。
「じゃあ、ショートカクテルね。何飲みたいの?」
「よくわかんないさ!」
「即答?」
リナリーが笑う。
「でも飲めるお酒の種類は?」
「んー……」
薫が少し考える。
「ジン飲める?」
「飲めるさ!」
「じゃあ、ホワイトレディとかにする?」
「よく分かんないけどそれで!」
「適当!」
アレンが思わず笑う。
「ラビらしいですね。」
薫は苦笑しながら棚からボトルを取り出す。
「じゃあ作るね」
ジン、ホワイトキュラソー、レモンジュース。
「ホワイトレディはね、ジンベースなの。」
「へえ」
計量しながらお酒をシェイカーに入れていく。
そして最後に氷を入れる。
カラン、と涼しい音。
「ここからが見せ場」
ラビが前のめりになる。
「おお……!」
アレンも興味津々で見守る。
神田はソファに座ったまま、静かにその様子を見ていた。
「……本当に好きだな」
「何が?」
「酒作る時のお前」
「楽しいもん」
シェイカーを手に取り、軽く笑う。
そして、
シャカシャカシャカ。
心地いい音がリビングに響く。
「かっこいいさ……」
ラビがぽつりと言う。
「これだけ見に来てもいいくらいさ」
「大げさ」
振り終えた薫が、冷えたカクテルグラスへ注ぐ。
透明感のある白い液体。
最後にレモンピールを添える。
「はい、ホワイトレディ」
ラビが受け取る。
「……なんか高級感あるさ」
「飲んでみて」
一口。
「……!」
「どう?」
「さっぱりしてる。でもちゃんと酒さ」
「当たり前でしょ」
そう言って薫は笑う。
「危ないやつさ。美味しくて飲みすぎる」
神田が横から一言。
「だから言っただろ」
「ユウ、飲みやすいって信用ならないってやつ?」
「そうだ」
薫が笑う。
「でもラビ、おかわりはゆっくりね」
「はいさー」
「素直」
リナリーが笑い、アレンもグラスを眺める。
「次、僕もお願いしていいですか?」
「もちろん」
「……俺の分も」
神田が小さく呟く。
薫が振り返る。
「ユウも?」
「……悪いか」
「ううん」
嬉しそうに笑う薫に、ラビが小声でアレンへ。
「見たさ?」
「見ました」
「家では魔王じゃないさ。」
「完全に旦那さんですね」
二人の会話は、神田にはしっかり聞こえていた。
「まだ結婚してねえ」
最初は仕事の話から始まった。
「そういえばさ、最近営業部忙しいんじゃない?」
薫がラビに聞く。
「忙しいさー。でもユウがいるから助かってるさ」
「俺?」
神田が眉をひそめる。
「無駄なこと言わない、判断早い、客にも媚びない。怖いけど頼れる」
「褒めてんのかそれ」
「褒めてるさ」
アレンも頷く。
「でも神田、本当に仕事ではすごいですよね。社内では『魔王』って呼ばれてますけど」
「それ誰が広めたんだ」
全員が静かにラビを見る。
「……俺じゃないさ?」
「嘘」
リナリーが即答する。
「絶対ラビ」
「心外さ!」
薫がくすくす笑う。
「でも魔王って呼ばれてるの、本人知らなかったんだよね」
「……今でも気に入らねぇ」
「でも似合ってるよ?」
「お前まで言うな」
そんなやり取りに、みんな笑う。
料理をつまみながら、今度はプライベートの話へ。
「そういえば、二人って家ではどうなの?」
リナリーが楽しそうに聞く。
「どうって?」
「会社だと神田、薫に対しても淡々としてるじゃない?
「家でも?」
ラビが身を乗り出す。
神田は嫌な予感しかしない顔。
「……余計なこと言うな」
「え、でも普通だよ?」
薫が首を傾げる。
「普通?」
「うん。ご飯食べて、一緒にテレビ見て、たまにお酒飲んで」
「たまにじゃねぇだろ」
神田が小さく突っ込む。
「え?」
「お前が作るカクテルの日、多い」
「好きじゃん」
「……」
神田が黙る。
ラビがニヤッとする。
「否定しないさ」
「うるせぇ」
アレンが笑いながらグラスを置いた。
「なんだかんだ仲良いですよね」
「そりゃね」
薫が自然に答える。
「一緒にいる時間が一番落ち着くから」
その言葉に、神田が一瞬だけ薫を見る。
そして何も言わず、空になりかけた彼女のグラスにキールを少し足した。
リナリーがそれを見逃さない。
「……神田」
「なんだ」
「今の、優しかったね」
「普通だ」
「はいはい」
ラビが笑う。
「会社じゃ魔王、家じゃただの彼氏さ」
「……」
神田は反論しようとして、やめる。
薫が隣で笑っているから。
夜はまだ始まったばかり。
仕事の愚痴、昔話、最近ハマっていること。
五人の会話は途切れることなく、グラスの音と笑い声がリビングに響いていた。
ラビが空になったキールのグラスを眺めながら、急に手を上げた。
「じゃあ次、薫のカクテル飲みたいさ!」
「え?」
薫がきょとんとする。
「もう飲んでるじゃん」
そう言って笑う。
「いやいや、そうじゃないさ!」
ラビが身振り手振りで説明する。
「シャカシャカしたやつ!」
「ああ」
アレンが納得したように頷く。
「シェイカー使うショートカクテルですね」
「それそれ!」
薫は笑いながらバーカウンターへ向かう。
「じゃあ、ショートカクテルね。何飲みたいの?」
「よくわかんないさ!」
「即答?」
リナリーが笑う。
「でも飲めるお酒の種類は?」
「んー……」
薫が少し考える。
「ジン飲める?」
「飲めるさ!」
「じゃあ、ホワイトレディとかにする?」
「よく分かんないけどそれで!」
「適当!」
アレンが思わず笑う。
「ラビらしいですね。」
薫は苦笑しながら棚からボトルを取り出す。
「じゃあ作るね」
ジン、ホワイトキュラソー、レモンジュース。
「ホワイトレディはね、ジンベースなの。」
「へえ」
計量しながらお酒をシェイカーに入れていく。
そして最後に氷を入れる。
カラン、と涼しい音。
「ここからが見せ場」
ラビが前のめりになる。
「おお……!」
アレンも興味津々で見守る。
神田はソファに座ったまま、静かにその様子を見ていた。
「……本当に好きだな」
「何が?」
「酒作る時のお前」
「楽しいもん」
シェイカーを手に取り、軽く笑う。
そして、
シャカシャカシャカ。
心地いい音がリビングに響く。
「かっこいいさ……」
ラビがぽつりと言う。
「これだけ見に来てもいいくらいさ」
「大げさ」
振り終えた薫が、冷えたカクテルグラスへ注ぐ。
透明感のある白い液体。
最後にレモンピールを添える。
「はい、ホワイトレディ」
ラビが受け取る。
「……なんか高級感あるさ」
「飲んでみて」
一口。
「……!」
「どう?」
「さっぱりしてる。でもちゃんと酒さ」
「当たり前でしょ」
そう言って薫は笑う。
「危ないやつさ。美味しくて飲みすぎる」
神田が横から一言。
「だから言っただろ」
「ユウ、飲みやすいって信用ならないってやつ?」
「そうだ」
薫が笑う。
「でもラビ、おかわりはゆっくりね」
「はいさー」
「素直」
リナリーが笑い、アレンもグラスを眺める。
「次、僕もお願いしていいですか?」
「もちろん」
「……俺の分も」
神田が小さく呟く。
薫が振り返る。
「ユウも?」
「……悪いか」
「ううん」
嬉しそうに笑う薫に、ラビが小声でアレンへ。
「見たさ?」
「見ました」
「家では魔王じゃないさ。」
「完全に旦那さんですね」
二人の会話は、神田にはしっかり聞こえていた。
「まだ結婚してねえ」