《第26話》ハイシンジコ。
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昼休み、営業部。
昼食を食べながら、自然と話題は最近人気のお家バー配信へ。
ラビがスマホを片手に笑う。
「この前のモスコミュール回見たさ」
「見た見た」
別の社員も頷く。
「あの一瞬、誰かいたよね」
「いた!」
「声だけ」
「差し入れ持ってきた人」
薫と神田が一緒に住んでいることを知らない、営業部員はちょっとした推理大会になっていた。
「彼氏じゃない?」
「いや、お兄さんじゃない?」
「スタッフかもしれないですよ」
「でもめちゃくちゃ低音だった」
そんな会話を聞きながら、神田は静かにコーヒーを飲んでいる。
ラビがふと神田を見る。
「……ユウ」
「なんだ」
「いたさよね」
営業部が一斉に神田を見る。
神田はコーヒーを飲むのをやめて
「……ん」
短く返事をする。
「えっ」
「認めた!」
神田は淡々と続ける。
「いただけだ」
「え?」
「通っただけ」
「ええ?」
「差し入れ渡した」
「それ神田さんだったんですか!?」
営業部がざわつく。
「え、なんでわかったんですか?」
神田はラビを見る。
「ん」
「ん?」
「声」
「え?」
「俺だってわかった」
営業部全員がぽかん。
「いやいやいや!」
「数秒ですよ!?」
「しかも『……ん』だけ!」
神田は不思議そうな顔をする。
「わかるだろ」
「いや、わかりません!」
「普通わかんないです!」
ラビが頭を抱える。
「俺、毎日ユウと一緒に仕事してるからかな……」
「俺も一発だったさ」
別の社員も頷く。
「『……ん』だけで神田さんって思った」
「なんで!?」
「声に特徴あるんですよ」
「低くて、ぶっきらぼうで」
「あと返事が『ん』なの神田さんしかしない。」
営業部は妙に納得する。
神田だけが首をかしげた。
「そうか?」
「そうですよ」
「本人だけ気づいてないやつです」
ラビは笑いながらスマホをしまう。
「女神、『あれくらいならバレないよね』って安心してそうだけど……。」
神田は平然と茶を飲む。
「一般の視聴者はわからねぇ」
「でも会社の人は?」
「毎日聞いてる」
ラビが吹き出す。
「そりゃバレるさ!」
営業部中に笑いが広がる。
神田は最後まで気にせずコーヒーを飲んでいた。
ラビが神田を見ながら笑う。
「もうさ」
「なんだ」
「配信出ちゃえばいいんじゃないんか?」
神田は即答した。
「嫌だ」
「即答!」
営業部に笑いが広がる。
「でも昨日ほぼバレてたじゃないですか」
「バレてねぇ」
「会社限定で!」
「視聴者にはバレてねぇ」
神田はそう言ってコーヒーを飲む。
別の社員が口を挟む。
「でも神田さん出たら、再生数すごそうですよ」
「イケメンだし」
「絶対コメント荒れますよ」
神田は眉一つ動かさない。
「興味ねぇ」
ラビがニヤニヤする。
「女神も喜ぶさ?」
「知らん」
「一緒にカクテル作ればいいじゃん」
「作れん」
「じゃあ初心者が教えてもらうやつ」
「需要ありそう!」
神田はため息をつく。
「……あれは」
少し間を置いて言った。
「あいつの配信だ」
営業部が静かになる。
「俺が出るもんじゃねぇ」
ラビが「おお……」と感心した声を漏らす。
「主役は女神ってこと?」
「ああ。俺は関係ねぇ」
「でも彼氏なんですよね?」
「だからだ」
神田は淡々と続ける。
「あいつが自分で積み上げたもんだ。俺が出て話題になる必要はねぇ」
営業部は顔を見合わせる。
「……なんか。神田さんらしい」
「ちゃんと考えてるんですね」
神田は少しだけ肩をすくめる。
「たまに映り込むくらいならどうでもいい。でも最初から最後まで出る気はない」
ラビが笑う。
「女神に『一緒に出て』って言われても?」
神田は少しだけ考え、
「断る」
「やっぱり!」
営業部は大笑い。
その笑い声の中、神田はぽつりと付け加えた。
「……あいつがどうしてもって言うなら、一回くらいは考える」
「おっ!」
「今デレた!」
「聞きました!?」
神田は無言で立ち上がる。
「仕事戻る」
去っていく背中を見送りながら、ラビは苦笑した。
「なんだかんだで、女神には甘いんさ」
昼食を食べながら、自然と話題は最近人気のお家バー配信へ。
ラビがスマホを片手に笑う。
「この前のモスコミュール回見たさ」
「見た見た」
別の社員も頷く。
「あの一瞬、誰かいたよね」
「いた!」
「声だけ」
「差し入れ持ってきた人」
薫と神田が一緒に住んでいることを知らない、営業部員はちょっとした推理大会になっていた。
「彼氏じゃない?」
「いや、お兄さんじゃない?」
「スタッフかもしれないですよ」
「でもめちゃくちゃ低音だった」
そんな会話を聞きながら、神田は静かにコーヒーを飲んでいる。
ラビがふと神田を見る。
「……ユウ」
「なんだ」
「いたさよね」
営業部が一斉に神田を見る。
神田はコーヒーを飲むのをやめて
「……ん」
短く返事をする。
「えっ」
「認めた!」
神田は淡々と続ける。
「いただけだ」
「え?」
「通っただけ」
「ええ?」
「差し入れ渡した」
「それ神田さんだったんですか!?」
営業部がざわつく。
「え、なんでわかったんですか?」
神田はラビを見る。
「ん」
「ん?」
「声」
「え?」
「俺だってわかった」
営業部全員がぽかん。
「いやいやいや!」
「数秒ですよ!?」
「しかも『……ん』だけ!」
神田は不思議そうな顔をする。
「わかるだろ」
「いや、わかりません!」
「普通わかんないです!」
ラビが頭を抱える。
「俺、毎日ユウと一緒に仕事してるからかな……」
「俺も一発だったさ」
別の社員も頷く。
「『……ん』だけで神田さんって思った」
「なんで!?」
「声に特徴あるんですよ」
「低くて、ぶっきらぼうで」
「あと返事が『ん』なの神田さんしかしない。」
営業部は妙に納得する。
神田だけが首をかしげた。
「そうか?」
「そうですよ」
「本人だけ気づいてないやつです」
ラビは笑いながらスマホをしまう。
「女神、『あれくらいならバレないよね』って安心してそうだけど……。」
神田は平然と茶を飲む。
「一般の視聴者はわからねぇ」
「でも会社の人は?」
「毎日聞いてる」
ラビが吹き出す。
「そりゃバレるさ!」
営業部中に笑いが広がる。
神田は最後まで気にせずコーヒーを飲んでいた。
ラビが神田を見ながら笑う。
「もうさ」
「なんだ」
「配信出ちゃえばいいんじゃないんか?」
神田は即答した。
「嫌だ」
「即答!」
営業部に笑いが広がる。
「でも昨日ほぼバレてたじゃないですか」
「バレてねぇ」
「会社限定で!」
「視聴者にはバレてねぇ」
神田はそう言ってコーヒーを飲む。
別の社員が口を挟む。
「でも神田さん出たら、再生数すごそうですよ」
「イケメンだし」
「絶対コメント荒れますよ」
神田は眉一つ動かさない。
「興味ねぇ」
ラビがニヤニヤする。
「女神も喜ぶさ?」
「知らん」
「一緒にカクテル作ればいいじゃん」
「作れん」
「じゃあ初心者が教えてもらうやつ」
「需要ありそう!」
神田はため息をつく。
「……あれは」
少し間を置いて言った。
「あいつの配信だ」
営業部が静かになる。
「俺が出るもんじゃねぇ」
ラビが「おお……」と感心した声を漏らす。
「主役は女神ってこと?」
「ああ。俺は関係ねぇ」
「でも彼氏なんですよね?」
「だからだ」
神田は淡々と続ける。
「あいつが自分で積み上げたもんだ。俺が出て話題になる必要はねぇ」
営業部は顔を見合わせる。
「……なんか。神田さんらしい」
「ちゃんと考えてるんですね」
神田は少しだけ肩をすくめる。
「たまに映り込むくらいならどうでもいい。でも最初から最後まで出る気はない」
ラビが笑う。
「女神に『一緒に出て』って言われても?」
神田は少しだけ考え、
「断る」
「やっぱり!」
営業部は大笑い。
その笑い声の中、神田はぽつりと付け加えた。
「……あいつがどうしてもって言うなら、一回くらいは考える」
「おっ!」
「今デレた!」
「聞きました!?」
神田は無言で立ち上がる。
「仕事戻る」
去っていく背中を見送りながら、ラビは苦笑した。
「なんだかんだで、女神には甘いんさ」