《第22話》レッスン。
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夜のジム。
スタジオの前には「リラックスヨガ 60分」の案内。
扉が開くと、すでに予約した会員たちがマットを並べて待っている。
「先生、こんばんはー」
「こんばんは。今日もありがとうございます」
薫は一人一人に声をかけながら、体調を確認していく。
「腰が張ってる方いますか?肩が重い方は無理しないでくださいね」
ただポーズを教えるだけじゃない。
その人の今日の疲れ具合を見て、内容を少し変える。
「今日は寒かったので、まずは体を温める動きから入りましょう」
音楽が流れる。
「では、楽な姿勢で座ってください」
薫もマットの前に座る。
「目を閉じて、自分の呼吸を感じます」
スタジオの空気が静かになる。
普段、社長秘書として完璧に仕事をこなす姿とは違う。
柔らかい声。
穏やかな表情。
「吸う息で、背筋を伸ばして」
「吐く息で、肩の力を抜きます」
参加者たちは自然と薫の声に集中する。
途中、太陽礼拝。
「手を上に伸ばして……」
薫の動きは綺麗で無駄がない。
柔らかいけれど、芯がある。
「先生、すごい綺麗……」
小さな声が聞こえる。
「先生みたいにできないです」
「大丈夫ですよ」
薫は笑う。
「ヨガは綺麗なポーズを取る競争じゃないので、昨日より少し呼吸しやすいなとか、肩が少し軽いなとか、それで十分です」
優しい声で無理をしないように動きを誘導していく。
「最後はシャバーサナでゆっくり休みましょう。目を閉じて、ゆっくりと呼吸をしていきます」
参加者のゆったりとした呼吸がスタジオに流れる。
優しい声で作られる時間。
安心して目を閉じていることができる。
チーーーーン…
ティンシャの音が鳴ると、ゆったりとした時間から自分の身体へと目を向け直す。
身体を起こし、最後瞑想をしていく。
「1時間がんばった自分の身体を褒めてあげましょう。これでリラックスヨガを終わります。ありがとうございました」
レッスン後。
「ありがとうございました」
「先生、次いつですか?」
「先生のクラス、予約すぐ埋まるから早めに取らないと」
「そんなにですか?」
「先生の声聞くと眠れるんですよ」
「それヨガ関係あります?」
笑い声が広がる。
片付けをしながら、薫は楽しそうに話す。
その様子を、ジムのトレーニングスペースから神田がちらっと見る。
いつもの営業の顔でもない。
社長秘書の顔でもない。
誰かのために、穏やかな時間を作っている顔。
「……」
「神田さん、また見てますよ」
マッチョに声をかけられる。
「見てない」
「いや、絶対見てました」
「……」
「彼女さん、人気ですね」
「知ってる」
即答。
「そこは否定しないんですね」
「事実だからな」
そしてレッスンを終えた薫が、神田を見つける。
「ユウー!」
手を振って駆けてくる。
「今日も満員だった!」
「ああ」
「楽しかったー」
「ならいい」
短い返事。
でも薫は分かっている。
神田が一番好きなのは、こうやって自分が好きなことをして笑っている姿だということを。
スタジオの前には「リラックスヨガ 60分」の案内。
扉が開くと、すでに予約した会員たちがマットを並べて待っている。
「先生、こんばんはー」
「こんばんは。今日もありがとうございます」
薫は一人一人に声をかけながら、体調を確認していく。
「腰が張ってる方いますか?肩が重い方は無理しないでくださいね」
ただポーズを教えるだけじゃない。
その人の今日の疲れ具合を見て、内容を少し変える。
「今日は寒かったので、まずは体を温める動きから入りましょう」
音楽が流れる。
「では、楽な姿勢で座ってください」
薫もマットの前に座る。
「目を閉じて、自分の呼吸を感じます」
スタジオの空気が静かになる。
普段、社長秘書として完璧に仕事をこなす姿とは違う。
柔らかい声。
穏やかな表情。
「吸う息で、背筋を伸ばして」
「吐く息で、肩の力を抜きます」
参加者たちは自然と薫の声に集中する。
途中、太陽礼拝。
「手を上に伸ばして……」
薫の動きは綺麗で無駄がない。
柔らかいけれど、芯がある。
「先生、すごい綺麗……」
小さな声が聞こえる。
「先生みたいにできないです」
「大丈夫ですよ」
薫は笑う。
「ヨガは綺麗なポーズを取る競争じゃないので、昨日より少し呼吸しやすいなとか、肩が少し軽いなとか、それで十分です」
優しい声で無理をしないように動きを誘導していく。
「最後はシャバーサナでゆっくり休みましょう。目を閉じて、ゆっくりと呼吸をしていきます」
参加者のゆったりとした呼吸がスタジオに流れる。
優しい声で作られる時間。
安心して目を閉じていることができる。
チーーーーン…
ティンシャの音が鳴ると、ゆったりとした時間から自分の身体へと目を向け直す。
身体を起こし、最後瞑想をしていく。
「1時間がんばった自分の身体を褒めてあげましょう。これでリラックスヨガを終わります。ありがとうございました」
レッスン後。
「ありがとうございました」
「先生、次いつですか?」
「先生のクラス、予約すぐ埋まるから早めに取らないと」
「そんなにですか?」
「先生の声聞くと眠れるんですよ」
「それヨガ関係あります?」
笑い声が広がる。
片付けをしながら、薫は楽しそうに話す。
その様子を、ジムのトレーニングスペースから神田がちらっと見る。
いつもの営業の顔でもない。
社長秘書の顔でもない。
誰かのために、穏やかな時間を作っている顔。
「……」
「神田さん、また見てますよ」
マッチョに声をかけられる。
「見てない」
「いや、絶対見てました」
「……」
「彼女さん、人気ですね」
「知ってる」
即答。
「そこは否定しないんですね」
「事実だからな」
そしてレッスンを終えた薫が、神田を見つける。
「ユウー!」
手を振って駆けてくる。
「今日も満員だった!」
「ああ」
「楽しかったー」
「ならいい」
短い返事。
でも薫は分かっている。
神田が一番好きなのは、こうやって自分が好きなことをして笑っている姿だということを。