《第20話》コンシンカイ。
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駅前の居酒屋。
会社名で予約された大広間には、営業部、秘書課、総務、人事、開発部など、各部署の社員が次々と集まってくる。
「こっち営業部ー!」
「秘書課こっちですよー!」
自然と部署ごとに固まって座り始める。
一番奥の上座にはクロス。
その周りを囲むように秘書課。
薫はクロスの右隣、リナリーは左隣。
営業部は少し離れた島。
神田はラビやアレンたちと同じテーブルになった。
「では!」
クロスがジョッキを掲げる。
「ボーリング大会、お疲れ!」
「かんぱーーい!」
ジョッキやグラスがぶつかる。
薫は迷わず生ビール。
「ぷはぁ」
一口目から満足そう。
クロスが横目で見る。
「お、いい飲みっぷりだな」
「運動した後のビール最高です」
「今日は飲めるのか?」
「ユウが送ってくれるので」
「なるほど」
クロスがニヤッと笑う。
「じゃあ遠慮するな」
「はい!」
その返事と同時に。
ゴクゴクゴク……
一気に半分。
「おぉ」
クロスが思わず笑う。
「いいな、その飲み方」
薫は笑顔のまま。
「喉乾いてたんです」
その頃。
営業部テーブル。
ラビは唐揚げを頬張りながら神田を見る。
「ユウ」
「なんだ」
「飲まねぇの?」
「車」
ウーロン茶を一口。
「女神飲んでるじゃん」
「飲めばいい」
「心配じゃね?」
神田は平然。
「酒は強い」
「そうなん?」
「ああ」
「へぇ」
営業部は特に気にも留めない。
一方その頃。
秘書課テーブル。
「中田さん、ビールおかわりどうします?」
「お願いします」
空いたジョッキを渡す。
数分後。
二杯目。
「かんぱーい!」
ゴクゴク。
「ぷはぁ」
リナリーが笑う。
「早っ」
「美味しい」
クロスも上機嫌。
「飲め飲め」
「社長もどうぞ」
「負けんぞ」
二人で乾杯。
営業部から見ると距離があるため、その様子はよく見えない。
神田は焼き鳥を食べながらアレンと仕事の話をしている。
「あの案件ですが」
「ああ」
真面目な会話。
その間にも。
薫、三杯目。
「日本酒もありますよ」
「じゃあ冷酒ください」
クロスが吹き出す。
「ビールから日本酒行くのか」
「好きなんです」
「いいぞ」
徳利が届く。
とくとく。
「いただきます」
くいっ。
「うまっ。」
クロスが豪快に笑う。
「秘書課で一番飲むな、お前」
「えへへ」
「顔も赤くならん」
「昔からです」
リナリーが苦笑する。
「ほんと潰れないんですよ」
「酔ってるの?」
「気分はいいです!」
満面の笑み。
でも受け答えはしっかり。
呂律も回っている。
クロスは嬉しそうに徳利を差し出す。
「もう一杯」
「ありがとうございます」
「今日は飲みっぷり見てるだけで気分いいな」
「そんなにですか?」
「遠慮してチビチビ飲むやつより見てて楽しい」
「じゃあ期待に応えます!」
「ははは!」
二人で笑う。
その頃。
営業部。
ラビがふと秘書課の方を見る。
「あれ」
「ん?」
「女神、結構飲んでね?」
アレンも見る。
「あ、本当ですね」
神田はちらっと視線を向ける。
薫が笑いながら日本酒を飲んでいる。
「元気そうだな」
それだけ。
また営業部の会話に戻る。
ラビは首をかしげる。
「止めなくていいのか?」
「大丈夫だ」
「強いから?」
「ああ」
神田は本気でそう思っていた。
その頃には薫の前には空いたビールジョッキが二つ、日本酒の徳利も一本空になりかけていたが、本人はいつも通り笑顔で料理をつまみ、クロスや秘書課の面々との会話を楽しんでいた。
そして誰もまだ気づいていなかった。
薫は潰れていない。
ただ、飲むペースだけは、序盤とは思えないほど速かった。
ビール、日本酒と空になり、今は焼酎の水割り。
クロスが面白そうに薫を見る。
「お前」
「はい?」
「そんなに酒好きなら、社外パーティの時も飲めばいいだろ」
薫は首を横に振る。
「パーティは仕事なので」
即答。
「仕事中に酔うわけにはいきません」
「真面目だな」
「当たり前です」
クロスが笑う。
「一回潰れかけただろ」
「あれは」
薫が淡々と返す。
「あれは社長が度数高いお酒ばかり飲ませすぎただけです」
秘書課から笑いが漏れる。
クロスは悪びれもしない。
「いやぁ、あれは潰してみたかった」
「社外パーティで何してくれてるんですか」
「おもしろかった」
「おもしろがらないでください」
秘書課、大爆笑。
クロスはケラケラ笑いながら、薫との距離をぐっと詰める。
「今日は潰れそうにないな」
「まだ全然です」
「ほぉ」
クロスは悪戯っぽくの薫顎を軽く持ち上げる。
「じゃあ口移しで飲ませてやるか?」
「きゃーー!」
秘書課から一斉に黄色い声。
「社長ーー!」
「また始まった!」
「大胆!」
薫は顎を持ち上げられたまま、表情一つ変えずにクロスを見る。
「社長」
「ん?」
「セクハラです」
淡々としている。
「そうか?」
「そうです」
「残念」
クロスはあっさり手を離す。
薫は何事もなかったように焼酎を一口。
「美味しい」
秘書課は苦笑い。
「中田さん、本当に慣れてますよね」
「いつものですから」
「社長、距離感バグってるし」
クロスは豪快に笑う。
「反応薄いな、お前」
「毎回ですし」
「もっと嫌がれ」
「嫌とは言いました」
「言ったな」
「あとは仕事に支障がなければ」
「相変わらず合理的だ」
二人とも普通に会話を続ける。
その様子を見ていた秘書課の新人が小声でリナリーに聞く。
「……あれ、大丈夫なんですか?」
リナリーは苦笑する。
「いつものやり取り」
「中田さん、本気で嫌なことはちゃんと怒るから」
「そうなんですか」
「うん。社長もその線は越えないし」
薫はすでに別の話題でクロスと笑っている。
営業部のテーブルからは距離があるため、神田はその一連のやり取りにはまったく気づかず、ラビたちと仕事やボーリングの話で盛り上がっていた。
会社名で予約された大広間には、営業部、秘書課、総務、人事、開発部など、各部署の社員が次々と集まってくる。
「こっち営業部ー!」
「秘書課こっちですよー!」
自然と部署ごとに固まって座り始める。
一番奥の上座にはクロス。
その周りを囲むように秘書課。
薫はクロスの右隣、リナリーは左隣。
営業部は少し離れた島。
神田はラビやアレンたちと同じテーブルになった。
「では!」
クロスがジョッキを掲げる。
「ボーリング大会、お疲れ!」
「かんぱーーい!」
ジョッキやグラスがぶつかる。
薫は迷わず生ビール。
「ぷはぁ」
一口目から満足そう。
クロスが横目で見る。
「お、いい飲みっぷりだな」
「運動した後のビール最高です」
「今日は飲めるのか?」
「ユウが送ってくれるので」
「なるほど」
クロスがニヤッと笑う。
「じゃあ遠慮するな」
「はい!」
その返事と同時に。
ゴクゴクゴク……
一気に半分。
「おぉ」
クロスが思わず笑う。
「いいな、その飲み方」
薫は笑顔のまま。
「喉乾いてたんです」
その頃。
営業部テーブル。
ラビは唐揚げを頬張りながら神田を見る。
「ユウ」
「なんだ」
「飲まねぇの?」
「車」
ウーロン茶を一口。
「女神飲んでるじゃん」
「飲めばいい」
「心配じゃね?」
神田は平然。
「酒は強い」
「そうなん?」
「ああ」
「へぇ」
営業部は特に気にも留めない。
一方その頃。
秘書課テーブル。
「中田さん、ビールおかわりどうします?」
「お願いします」
空いたジョッキを渡す。
数分後。
二杯目。
「かんぱーい!」
ゴクゴク。
「ぷはぁ」
リナリーが笑う。
「早っ」
「美味しい」
クロスも上機嫌。
「飲め飲め」
「社長もどうぞ」
「負けんぞ」
二人で乾杯。
営業部から見ると距離があるため、その様子はよく見えない。
神田は焼き鳥を食べながらアレンと仕事の話をしている。
「あの案件ですが」
「ああ」
真面目な会話。
その間にも。
薫、三杯目。
「日本酒もありますよ」
「じゃあ冷酒ください」
クロスが吹き出す。
「ビールから日本酒行くのか」
「好きなんです」
「いいぞ」
徳利が届く。
とくとく。
「いただきます」
くいっ。
「うまっ。」
クロスが豪快に笑う。
「秘書課で一番飲むな、お前」
「えへへ」
「顔も赤くならん」
「昔からです」
リナリーが苦笑する。
「ほんと潰れないんですよ」
「酔ってるの?」
「気分はいいです!」
満面の笑み。
でも受け答えはしっかり。
呂律も回っている。
クロスは嬉しそうに徳利を差し出す。
「もう一杯」
「ありがとうございます」
「今日は飲みっぷり見てるだけで気分いいな」
「そんなにですか?」
「遠慮してチビチビ飲むやつより見てて楽しい」
「じゃあ期待に応えます!」
「ははは!」
二人で笑う。
その頃。
営業部。
ラビがふと秘書課の方を見る。
「あれ」
「ん?」
「女神、結構飲んでね?」
アレンも見る。
「あ、本当ですね」
神田はちらっと視線を向ける。
薫が笑いながら日本酒を飲んでいる。
「元気そうだな」
それだけ。
また営業部の会話に戻る。
ラビは首をかしげる。
「止めなくていいのか?」
「大丈夫だ」
「強いから?」
「ああ」
神田は本気でそう思っていた。
その頃には薫の前には空いたビールジョッキが二つ、日本酒の徳利も一本空になりかけていたが、本人はいつも通り笑顔で料理をつまみ、クロスや秘書課の面々との会話を楽しんでいた。
そして誰もまだ気づいていなかった。
薫は潰れていない。
ただ、飲むペースだけは、序盤とは思えないほど速かった。
ビール、日本酒と空になり、今は焼酎の水割り。
クロスが面白そうに薫を見る。
「お前」
「はい?」
「そんなに酒好きなら、社外パーティの時も飲めばいいだろ」
薫は首を横に振る。
「パーティは仕事なので」
即答。
「仕事中に酔うわけにはいきません」
「真面目だな」
「当たり前です」
クロスが笑う。
「一回潰れかけただろ」
「あれは」
薫が淡々と返す。
「あれは社長が度数高いお酒ばかり飲ませすぎただけです」
秘書課から笑いが漏れる。
クロスは悪びれもしない。
「いやぁ、あれは潰してみたかった」
「社外パーティで何してくれてるんですか」
「おもしろかった」
「おもしろがらないでください」
秘書課、大爆笑。
クロスはケラケラ笑いながら、薫との距離をぐっと詰める。
「今日は潰れそうにないな」
「まだ全然です」
「ほぉ」
クロスは悪戯っぽくの薫顎を軽く持ち上げる。
「じゃあ口移しで飲ませてやるか?」
「きゃーー!」
秘書課から一斉に黄色い声。
「社長ーー!」
「また始まった!」
「大胆!」
薫は顎を持ち上げられたまま、表情一つ変えずにクロスを見る。
「社長」
「ん?」
「セクハラです」
淡々としている。
「そうか?」
「そうです」
「残念」
クロスはあっさり手を離す。
薫は何事もなかったように焼酎を一口。
「美味しい」
秘書課は苦笑い。
「中田さん、本当に慣れてますよね」
「いつものですから」
「社長、距離感バグってるし」
クロスは豪快に笑う。
「反応薄いな、お前」
「毎回ですし」
「もっと嫌がれ」
「嫌とは言いました」
「言ったな」
「あとは仕事に支障がなければ」
「相変わらず合理的だ」
二人とも普通に会話を続ける。
その様子を見ていた秘書課の新人が小声でリナリーに聞く。
「……あれ、大丈夫なんですか?」
リナリーは苦笑する。
「いつものやり取り」
「中田さん、本気で嫌なことはちゃんと怒るから」
「そうなんですか」
「うん。社長もその線は越えないし」
薫はすでに別の話題でクロスと笑っている。
営業部のテーブルからは距離があるため、神田はその一連のやり取りにはまったく気づかず、ラビたちと仕事やボーリングの話で盛り上がっていた。