《第17話》オンセン。
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2つの大浴場を満喫し、すっかり体もぽかぽか。
部屋で浴衣に着替えた二人は、夕食会場へ向かう。
扉が開いた瞬間――
「わぁ……!」
薫の目が一気に輝く。
会場いっぱいに並ぶ料理。
和食、洋食、中華。
揚げたての天ぷら。
お刺身。
ローストビーフ。
郷土料理。
デザートまでずらり。
「ユウ」
「ん?」
「見て」
「見えてる」
「すごい」
神田も思わず頷く。
「品数多いな」
薫は今にも走り出しそう。
「落ち着け」
「……はい」
返事はしたものの、目は料理から離れない。
神田が笑う。
「子どもみたいだな」
「だって!」
指を差す。
「あっちにお刺身!」
「うん」
「こっちに天ぷら!」
「うん」
「あっ、前沢牛の料理!」
「岩手らしいな」
「ひっつみ汁もある!」
神田は苦笑する。
「全部食う気か」
「少しずつ!」
トングを持つ薫。
「バイキングの基本は少しずついっぱい!」
「誰の教えだ」
「私」
「そうか」
まずは一周。
少しずつ盛ったはずなのに、皿がいっぱい。
神田が見る。
「……少し?」
「少しずつ!」
「種類が多いだけか」
「そう!」
席へ戻る。
「いただきます」
「いただきます」
一口食べた瞬間。
「おいしい!」
満面の笑み。
「これもおいしい!」
次。
「これも!」
また次。
「これも!」
神田は静かに食べながら笑う。
「忙しいな」
「全部おいしいんだもん!」
一皿目があっという間になくなる。
「行ってくる!」
「もうか。」
「第二ラウンド!」
神田が呆れ半分、笑い半分で見送る。
数分後。
またお盆いっぱい。
「今度は何だ」
「郷土料理!」
「ちゃんとテーマがあるんだな」
「旅行だから、その土地のもの食べたいじゃん」
「それはそうだ」
食事が進み、最後はデザートコーナー。
「別腹」
「出たな」
「ケーキ!」
「アイスもある」
「プリンも!」
神田が笑う。
「悩んでるな」
「全部一個ずつ」
「結局全部か」
薫は嬉しそうにデザートを並べる。
「幸せ……」
「今日は一日楽しそうだな」
「うん」
フォークを持ったまま神田を見る。
「温泉当たって本当によかった」
神田も静かに頷く。
「ああ」
「童話村行けたし、わんこそば食べられたし、温泉入ったし、ご飯おいしいし」
指折り数えて、
「もう大満足!」
神田は微笑んだ。
「まだ貸切露天風呂が残ってるぞ」
薫ははっとして顔を上げる。
「そうだった!」
「今日はまだ終わらない」
「最高の日だね」
満腹で幸せそうに笑う薫を見ながら、神田も珍しくゆっくりとした表情で夕食を楽しんでいた。
夕食を終え、少し部屋で休憩。
時計を見ると、ちょうど予約の時間だった。
「行こっか」
「ああ」
館内を歩き、貸切露天風呂へ。
受付で鍵を受け取り、案内された小さな離れのような建物へ向かう。
扉を開けると、
「わぁ……」
脱衣所の向こうには、木の香りがする露天風呂。
湯気が立ち上り、その向こうには木々が揺れている。
「いいな。」
神田も思わず声を漏らす。
二人でゆっくり湯船へ。
「ふぅ……」
「あったかい……」
肩まで浸かると、一日の疲れが溶けていくようだった。
しばらくは何も話さない。
聞こえるのは虫の声と、お湯が流れる音だけ。
薫が夜空を見上げる。
「静かだね」
「ああ」
「東京じゃこんな静かじゃないもん」
神田も空を見上げる。
「空気も違う」
「うん」
少しだけ神田の方へ寄る。
肩が触れるくらいの距離。
「今日楽しかった」
「盛りだくさんだったな」
「童話村も楽しかったし、わんこそばも面白かった」
神田が笑う。
「蓋閉める前に一杯追加されたな」
「あれ悔しかった!」
「店員の勝ちだ」
「次は負けない」
「また挑戦する気か」
「もちろん」
二人で笑う。
少し間が空く。
薫が湯面を眺めながらぽつり。
「ユウ」
「ん?」
「紹介キャンペーンで当たるなんて思わなかった」
「ああ」
「来られてよかった」
神田は静かに頷く。
「俺も」
「え?」
「お前が一日中楽しそうだったからな」
薫は少し照れたように笑う。
「そんなに分かりやすかった?」
「分かりやすい。バラ園で」
「うん」
「夕飯で」
「……」
「わんこそばでも」
薫はくすっと笑う。
「全部見られてた」
「ずっと隣にいたからな」
薫は嬉しそうに神田の肩へ頭を預ける。
「また来たいね」
「そうだな」
二人は静かな夜風を感じながら、ゆっくりと湯に浸かる。
時間を気にせず、誰にも邪魔されず。
温泉旅行だからこそ味わえる、穏やかで贅沢な時間が静かに流れていった。
部屋で浴衣に着替えた二人は、夕食会場へ向かう。
扉が開いた瞬間――
「わぁ……!」
薫の目が一気に輝く。
会場いっぱいに並ぶ料理。
和食、洋食、中華。
揚げたての天ぷら。
お刺身。
ローストビーフ。
郷土料理。
デザートまでずらり。
「ユウ」
「ん?」
「見て」
「見えてる」
「すごい」
神田も思わず頷く。
「品数多いな」
薫は今にも走り出しそう。
「落ち着け」
「……はい」
返事はしたものの、目は料理から離れない。
神田が笑う。
「子どもみたいだな」
「だって!」
指を差す。
「あっちにお刺身!」
「うん」
「こっちに天ぷら!」
「うん」
「あっ、前沢牛の料理!」
「岩手らしいな」
「ひっつみ汁もある!」
神田は苦笑する。
「全部食う気か」
「少しずつ!」
トングを持つ薫。
「バイキングの基本は少しずついっぱい!」
「誰の教えだ」
「私」
「そうか」
まずは一周。
少しずつ盛ったはずなのに、皿がいっぱい。
神田が見る。
「……少し?」
「少しずつ!」
「種類が多いだけか」
「そう!」
席へ戻る。
「いただきます」
「いただきます」
一口食べた瞬間。
「おいしい!」
満面の笑み。
「これもおいしい!」
次。
「これも!」
また次。
「これも!」
神田は静かに食べながら笑う。
「忙しいな」
「全部おいしいんだもん!」
一皿目があっという間になくなる。
「行ってくる!」
「もうか。」
「第二ラウンド!」
神田が呆れ半分、笑い半分で見送る。
数分後。
またお盆いっぱい。
「今度は何だ」
「郷土料理!」
「ちゃんとテーマがあるんだな」
「旅行だから、その土地のもの食べたいじゃん」
「それはそうだ」
食事が進み、最後はデザートコーナー。
「別腹」
「出たな」
「ケーキ!」
「アイスもある」
「プリンも!」
神田が笑う。
「悩んでるな」
「全部一個ずつ」
「結局全部か」
薫は嬉しそうにデザートを並べる。
「幸せ……」
「今日は一日楽しそうだな」
「うん」
フォークを持ったまま神田を見る。
「温泉当たって本当によかった」
神田も静かに頷く。
「ああ」
「童話村行けたし、わんこそば食べられたし、温泉入ったし、ご飯おいしいし」
指折り数えて、
「もう大満足!」
神田は微笑んだ。
「まだ貸切露天風呂が残ってるぞ」
薫ははっとして顔を上げる。
「そうだった!」
「今日はまだ終わらない」
「最高の日だね」
満腹で幸せそうに笑う薫を見ながら、神田も珍しくゆっくりとした表情で夕食を楽しんでいた。
夕食を終え、少し部屋で休憩。
時計を見ると、ちょうど予約の時間だった。
「行こっか」
「ああ」
館内を歩き、貸切露天風呂へ。
受付で鍵を受け取り、案内された小さな離れのような建物へ向かう。
扉を開けると、
「わぁ……」
脱衣所の向こうには、木の香りがする露天風呂。
湯気が立ち上り、その向こうには木々が揺れている。
「いいな。」
神田も思わず声を漏らす。
二人でゆっくり湯船へ。
「ふぅ……」
「あったかい……」
肩まで浸かると、一日の疲れが溶けていくようだった。
しばらくは何も話さない。
聞こえるのは虫の声と、お湯が流れる音だけ。
薫が夜空を見上げる。
「静かだね」
「ああ」
「東京じゃこんな静かじゃないもん」
神田も空を見上げる。
「空気も違う」
「うん」
少しだけ神田の方へ寄る。
肩が触れるくらいの距離。
「今日楽しかった」
「盛りだくさんだったな」
「童話村も楽しかったし、わんこそばも面白かった」
神田が笑う。
「蓋閉める前に一杯追加されたな」
「あれ悔しかった!」
「店員の勝ちだ」
「次は負けない」
「また挑戦する気か」
「もちろん」
二人で笑う。
少し間が空く。
薫が湯面を眺めながらぽつり。
「ユウ」
「ん?」
「紹介キャンペーンで当たるなんて思わなかった」
「ああ」
「来られてよかった」
神田は静かに頷く。
「俺も」
「え?」
「お前が一日中楽しそうだったからな」
薫は少し照れたように笑う。
「そんなに分かりやすかった?」
「分かりやすい。バラ園で」
「うん」
「夕飯で」
「……」
「わんこそばでも」
薫はくすっと笑う。
「全部見られてた」
「ずっと隣にいたからな」
薫は嬉しそうに神田の肩へ頭を預ける。
「また来たいね」
「そうだな」
二人は静かな夜風を感じながら、ゆっくりと湯に浸かる。
時間を気にせず、誰にも邪魔されず。
温泉旅行だからこそ味わえる、穏やかで贅沢な時間が静かに流れていった。