《第19話》インスタ。
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週末。
二人でまた酒屋へ。
「……」
店に入った瞬間。
薫の目が変わる。
棚に並ぶリキュール。
色とりどりの瓶。
見たことのないお酒。
完全に楽しそう。
神田は横でそれを見る。
「……本当に好きなんだな」
「え?」
「酒を見る時」
「あー……」
薫は少し照れる。
「好きなんだと思う」
「だと思う?」
「だって、飲むのも好きだけど」
瓶のラベルを見る。
「作るのが楽しいんだよね」
しばらく棚を眺めて。
「何作ろう」
薫が呟く。
「何飲みたい?」
「……」
神田は少し困る。
「カクテルはよく分からん」
「そっか」
薫は笑う。
「じゃあ」
少し考える。
「私が初めて作ったカクテルとか」
「なんだ?」
「バラライカ」
「……」
「材料見ていくね」
薫が棚を探す。
「ウォッカ」
一本手に取る。
「ホワイトキュラソー」
「これ」
「あとレモンジュース」
神田が瓶を見る。
「3つだけか」
「うん」
「意外と少ないな」
「シンプルだからこそ難しいんだよ」
薫は楽しそう。
「材料のバランスで味が変わるから」
神田はそんな横顔を見る。
会社では完璧な秘書。
相手の話を先回りして。
ミスなく仕事をこなして。
でも今は
「これ香りいい。こっちは甘め。これならユウ好きそう」
と、子供みたいに目を輝かせている。
「……」
「ユウ?」
「何」
「見すぎ」
「見てるだけだ」
「何を?」
少し間。
「楽しそうな顔」
「……」
薫、少し固まる。
「それ言う?」
「事実だ」
「恥ずかしい」
「なんで」
「自分ではそんな顔してると思わないから」
神田は淡々と。
「分かりやすい」
「また?」
「かなり」
買い物を終えて帰宅。
袋の中には。
ウォッカ。
ホワイトキュラソー。
レモンジュース。
薫は袋を見て笑う。
「なんか久しぶりだな」
「作るの」
「ああ」
神田が荷物を持つ。
「楽しみにしてる」
「……」
薫、また頬が緩む。
神田。
(……またその顔)
でも今度は、何も言わずに歩く。
その顔を見られるのは、悪くないと思った。
家に帰るり、買ってきた袋をテーブルに置いた瞬間薫のスイッチが入る。
キッチンへ向かい、買ってきた材料をひとつずつ並べていく。
ウォッカ。
ホワイトキュラソー。
レモンジュース。
そして、シェーカー。
神田はソファからその様子を見る。
「……」
さっきまで普通の休日だったのに。
急に空気が変わる。
「えーっと」
薫が棚を開ける。
「あ」
止まる。
「どうした」
「カクテルグラスない……」
少し考える。
「んーー……」
棚を見る。
「ロックグラスでいっか!」
「いいのか?」
「本当はカクテルグラスの方が雰囲気あるし、飲み口も変わるけど」
グラスを取り出す。
「味は変わらないから」
「そういうものか」
「そういうもの」
即答。
テーブルの上、材料を並べる。
「じゃあ早速作っていくね!」
いつもより少し弾んだ声。
神田が少し姿勢を正す。
「……」
「何」
「いや」
「?」
「ちゃんとやるんだなと思って」
「失礼じゃない?」
薫が笑う。
「一応経験者です」
「一応」
「大学の時だけ」
薫はメジャーカップを持つ。
「まずウォッカ」
手際よく量る。
「次、ホワイトキュラソー」
「香り違うな」
神田が近づいてくる。
「分かる?」
「ああ」
「珍しい」
「何が」
「ユウがお酒に興味持ってる」
「お前が楽しそうだから」
さらっと言われる。
「……」
薫、一瞬止まる。
「今のずるい」
「?」
「普通に言うところ」
神田は首を傾ける。
氷を入れる。
シェーカーを閉める。
カチッ。
その音。
薫の表情が変わる。
「……」
神田は初めて見る顔だった。
仕事の顔でもない。
ただ好きなことをしている顔。
「いくよ」
「おう」
シェーカーを振る。
シャカシャカと氷の音。
動きに迷いがない。
「……」
神田、少し見入る。
「似合うな」
「え?」
「それ」
シェーカーを見る。
「バーにいるみたいだ」
薫は笑う。
「昔いたからね」
冷やしたロックグラスに注ぐ。
透明な液体。
レモンの香り。
「完成」
「これがバラライカ」
「ああ」
薫がグラスを差し出す。
「私が昔、初めて作ったカクテル」
神田は受け取る。
少し飲む。
「……!」
薫が緊張した顔で見る。
「どう?」
神田は少し考えて。
「うまい」
「感想それだけ?」
「……」
もう一口。
「すっきりしてる」
「!」
「甘いけど、後味が残らない」
薫、嬉しそうに笑う。
「分かってるじゃん」
「お前が作ったからな」
またさらっと言う。
「ユウ」
「なんだ」
「今日、褒める日?」
「?」
「心臓に悪い」
神田は意味が分からない顔。
でも。
目の前の薫が嬉しそうだから。
もう一口、グラスを傾けた。
二人でまた酒屋へ。
「……」
店に入った瞬間。
薫の目が変わる。
棚に並ぶリキュール。
色とりどりの瓶。
見たことのないお酒。
完全に楽しそう。
神田は横でそれを見る。
「……本当に好きなんだな」
「え?」
「酒を見る時」
「あー……」
薫は少し照れる。
「好きなんだと思う」
「だと思う?」
「だって、飲むのも好きだけど」
瓶のラベルを見る。
「作るのが楽しいんだよね」
しばらく棚を眺めて。
「何作ろう」
薫が呟く。
「何飲みたい?」
「……」
神田は少し困る。
「カクテルはよく分からん」
「そっか」
薫は笑う。
「じゃあ」
少し考える。
「私が初めて作ったカクテルとか」
「なんだ?」
「バラライカ」
「……」
「材料見ていくね」
薫が棚を探す。
「ウォッカ」
一本手に取る。
「ホワイトキュラソー」
「これ」
「あとレモンジュース」
神田が瓶を見る。
「3つだけか」
「うん」
「意外と少ないな」
「シンプルだからこそ難しいんだよ」
薫は楽しそう。
「材料のバランスで味が変わるから」
神田はそんな横顔を見る。
会社では完璧な秘書。
相手の話を先回りして。
ミスなく仕事をこなして。
でも今は
「これ香りいい。こっちは甘め。これならユウ好きそう」
と、子供みたいに目を輝かせている。
「……」
「ユウ?」
「何」
「見すぎ」
「見てるだけだ」
「何を?」
少し間。
「楽しそうな顔」
「……」
薫、少し固まる。
「それ言う?」
「事実だ」
「恥ずかしい」
「なんで」
「自分ではそんな顔してると思わないから」
神田は淡々と。
「分かりやすい」
「また?」
「かなり」
買い物を終えて帰宅。
袋の中には。
ウォッカ。
ホワイトキュラソー。
レモンジュース。
薫は袋を見て笑う。
「なんか久しぶりだな」
「作るの」
「ああ」
神田が荷物を持つ。
「楽しみにしてる」
「……」
薫、また頬が緩む。
神田。
(……またその顔)
でも今度は、何も言わずに歩く。
その顔を見られるのは、悪くないと思った。
家に帰るり、買ってきた袋をテーブルに置いた瞬間薫のスイッチが入る。
キッチンへ向かい、買ってきた材料をひとつずつ並べていく。
ウォッカ。
ホワイトキュラソー。
レモンジュース。
そして、シェーカー。
神田はソファからその様子を見る。
「……」
さっきまで普通の休日だったのに。
急に空気が変わる。
「えーっと」
薫が棚を開ける。
「あ」
止まる。
「どうした」
「カクテルグラスない……」
少し考える。
「んーー……」
棚を見る。
「ロックグラスでいっか!」
「いいのか?」
「本当はカクテルグラスの方が雰囲気あるし、飲み口も変わるけど」
グラスを取り出す。
「味は変わらないから」
「そういうものか」
「そういうもの」
即答。
テーブルの上、材料を並べる。
「じゃあ早速作っていくね!」
いつもより少し弾んだ声。
神田が少し姿勢を正す。
「……」
「何」
「いや」
「?」
「ちゃんとやるんだなと思って」
「失礼じゃない?」
薫が笑う。
「一応経験者です」
「一応」
「大学の時だけ」
薫はメジャーカップを持つ。
「まずウォッカ」
手際よく量る。
「次、ホワイトキュラソー」
「香り違うな」
神田が近づいてくる。
「分かる?」
「ああ」
「珍しい」
「何が」
「ユウがお酒に興味持ってる」
「お前が楽しそうだから」
さらっと言われる。
「……」
薫、一瞬止まる。
「今のずるい」
「?」
「普通に言うところ」
神田は首を傾ける。
氷を入れる。
シェーカーを閉める。
カチッ。
その音。
薫の表情が変わる。
「……」
神田は初めて見る顔だった。
仕事の顔でもない。
ただ好きなことをしている顔。
「いくよ」
「おう」
シェーカーを振る。
シャカシャカと氷の音。
動きに迷いがない。
「……」
神田、少し見入る。
「似合うな」
「え?」
「それ」
シェーカーを見る。
「バーにいるみたいだ」
薫は笑う。
「昔いたからね」
冷やしたロックグラスに注ぐ。
透明な液体。
レモンの香り。
「完成」
「これがバラライカ」
「ああ」
薫がグラスを差し出す。
「私が昔、初めて作ったカクテル」
神田は受け取る。
少し飲む。
「……!」
薫が緊張した顔で見る。
「どう?」
神田は少し考えて。
「うまい」
「感想それだけ?」
「……」
もう一口。
「すっきりしてる」
「!」
「甘いけど、後味が残らない」
薫、嬉しそうに笑う。
「分かってるじゃん」
「お前が作ったからな」
またさらっと言う。
「ユウ」
「なんだ」
「今日、褒める日?」
「?」
「心臓に悪い」
神田は意味が分からない顔。
でも。
目の前の薫が嬉しそうだから。
もう一口、グラスを傾けた。