おやすみは隣で [赤井秀一]
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ーおやすみは隣でー
デートの終わりに、『じゃあ、またね』って言うのが、嫌だった。
「おやすみ」のキスは隣で眠る時にして欲しい。別れの合図にしないで。さよならの代わりに紡がれるその言葉が...すごく、切ない。
毎回帰り際に心細くなって、まだ帰りたくないと引き止めてしまいそうになる心に...無理矢理、蓋をしていた。
待ち合わせして、デート服を選んだり、気合い入れてメイクしたり...会えるまでドキドキしながら待つのは好きだけど、
そのドキドキよりも、一人になった時の淋しさの方が上回っていた。
ずっと、傍にいたくて、でも困らせたくなくて、我が儘は言いたくなくて...。でも、どんなに楽しいデートも、必ず終わりは来るもので...。
いつも通り、デートの終わりを伝えるように優しいキスをして私に「おやすみ」を告げる彼の口唇。
じゃあ、またね。おやすみなさい...っていつも通り返事をするつもりだったのに、言葉が上手く紡げない。
シートベルトをギュッと握ったままで、動けなくなってしまった。どうしよう。このままだと秀一さんが困っちゃうでしょ。ねぇ、早く笑わないと。何でもないよ...って。大丈夫だと伝えなきゃ。
「ヒロイン...?」
心配そうに眉を下げた秀一さんに見つめられて、返事をしようとしたのに、私の口唇は震えるばかりで、声にならなかった。
『......っ、』
じわりじわりと目尻に浮かぶ涙。
胸の小瓶に閉じ込めていた、積もり積もった切ない気持ちが...一気に溢れ出す。
『やだ......っ...、かえりたく、ない...』
ポロンと涙と一緒に零れ落ちたのは、まるで駄々をこねる幼い子供みたいな台詞だった。
『...ぁ......え?あれ?私、何言って...ひゃっ...!』
ハッと我に返って、慌てて訂正しようとしたら勢い良く身体が傾いて、次の瞬間...何かにぶつかって視界が暗くなった。
...あたたかい。
大好きな秀一さんの香りに包まれてて、安心するのにドキドキ心臓の音が騒がしい。
「結婚しよう」
『......え?秀一さん、い、いま...けっこんって...』
自分の心臓の音が煩くて、聞き間違えたのかと思って動揺を含んだ たどたどしい口調で聞き返す。夢でも見てるんだろうか。もし夢なら、このまま醒めなければいいのに。
「あ、しまった。...もっと段階を踏む予定だったんだが、...すまない。我慢出来なかった...」
『ぇ、は、はい......』
「色々と準備してから改めて、きちんとプロポーズさせて欲しい...。今日の所は取り敢えずこのまま連れて帰っても良いだろうか?」
『は、はい...』
思考が停止してしまった私は、秀一さんに抱き締められた状態のまま、赤べこの様に頷くしか出来なくなっていた。きっと顔も赤くなってるだろう。
さっき、結婚しようって...プロポーズさせて欲しいって......言われ...たんだよね?
秀一さんと離れるのが寂しくて、私が生み出した妄想とかじゃ...ないよね?やっぱり夢?夢オチなの?
嬉しいような、怖いような...不安な気持ちがむくむく膨らんで、視界がぼやけてくる。
「君に重い男だと思われたくなくて、今まで言えずにいたんだが...本当は君を家に帰したくないし、ずっと傍にいたかった。」
『えっ...』
「実は、いつでも君と暮らせるように君の部屋は用意してあるし、もっと広い家が良ければ引っ越せるように物件もいくつか見繕ってる...」
『ぇえっ?!』
「ヒロイン、...君さえ良ければ、業者に依頼して明日にでも引っ越せる状態なんだが...どうだろうか?」
『私、...一緒に暮らしても...いいの...?』
「あぁ、勿論だ」
『これって夢じゃない...?』
「不安ならつねっても良いぞ」
悪戯っぽく片目を閉じて、頬を差し出された。
『...ふふっ、...秀一さんの頬っぺたつねるの?こういう時って自分の頬をつねるんじゃないの...?』
「そんな事、俺がヒロインにさせる訳ないだろう?」
『もう...秀一さんたら...っふ、ふふっ.........大好き』
もう泣いてるのか笑ってるのかわからない。きっと変な顔になってる。そんな私を見て、秀一さんは「俺も愛してるよ」と微笑んでキスをくれた。
(おやすみ、Baby...)
(ん、...おやすみなさい、秀一さん)
耳元で聴こえる、とろりと甘く蕩けるような優しい声。その愛しい温もりに甘えるように頬を寄せて、そっと目を閉じた。
ーfinー
デートの終わりに、『じゃあ、またね』って言うのが、嫌だった。
「おやすみ」のキスは隣で眠る時にして欲しい。別れの合図にしないで。さよならの代わりに紡がれるその言葉が...すごく、切ない。
毎回帰り際に心細くなって、まだ帰りたくないと引き止めてしまいそうになる心に...無理矢理、蓋をしていた。
待ち合わせして、デート服を選んだり、気合い入れてメイクしたり...会えるまでドキドキしながら待つのは好きだけど、
そのドキドキよりも、一人になった時の淋しさの方が上回っていた。
ずっと、傍にいたくて、でも困らせたくなくて、我が儘は言いたくなくて...。でも、どんなに楽しいデートも、必ず終わりは来るもので...。
いつも通り、デートの終わりを伝えるように優しいキスをして私に「おやすみ」を告げる彼の口唇。
じゃあ、またね。おやすみなさい...っていつも通り返事をするつもりだったのに、言葉が上手く紡げない。
シートベルトをギュッと握ったままで、動けなくなってしまった。どうしよう。このままだと秀一さんが困っちゃうでしょ。ねぇ、早く笑わないと。何でもないよ...って。大丈夫だと伝えなきゃ。
「ヒロイン...?」
心配そうに眉を下げた秀一さんに見つめられて、返事をしようとしたのに、私の口唇は震えるばかりで、声にならなかった。
『......っ、』
じわりじわりと目尻に浮かぶ涙。
胸の小瓶に閉じ込めていた、積もり積もった切ない気持ちが...一気に溢れ出す。
『やだ......っ...、かえりたく、ない...』
ポロンと涙と一緒に零れ落ちたのは、まるで駄々をこねる幼い子供みたいな台詞だった。
『...ぁ......え?あれ?私、何言って...ひゃっ...!』
ハッと我に返って、慌てて訂正しようとしたら勢い良く身体が傾いて、次の瞬間...何かにぶつかって視界が暗くなった。
...あたたかい。
大好きな秀一さんの香りに包まれてて、安心するのにドキドキ心臓の音が騒がしい。
「結婚しよう」
『......え?秀一さん、い、いま...けっこんって...』
自分の心臓の音が煩くて、聞き間違えたのかと思って動揺を含んだ たどたどしい口調で聞き返す。夢でも見てるんだろうか。もし夢なら、このまま醒めなければいいのに。
「あ、しまった。...もっと段階を踏む予定だったんだが、...すまない。我慢出来なかった...」
『ぇ、は、はい......』
「色々と準備してから改めて、きちんとプロポーズさせて欲しい...。今日の所は取り敢えずこのまま連れて帰っても良いだろうか?」
『は、はい...』
思考が停止してしまった私は、秀一さんに抱き締められた状態のまま、赤べこの様に頷くしか出来なくなっていた。きっと顔も赤くなってるだろう。
さっき、結婚しようって...プロポーズさせて欲しいって......言われ...たんだよね?
秀一さんと離れるのが寂しくて、私が生み出した妄想とかじゃ...ないよね?やっぱり夢?夢オチなの?
嬉しいような、怖いような...不安な気持ちがむくむく膨らんで、視界がぼやけてくる。
「君に重い男だと思われたくなくて、今まで言えずにいたんだが...本当は君を家に帰したくないし、ずっと傍にいたかった。」
『えっ...』
「実は、いつでも君と暮らせるように君の部屋は用意してあるし、もっと広い家が良ければ引っ越せるように物件もいくつか見繕ってる...」
『ぇえっ?!』
「ヒロイン、...君さえ良ければ、業者に依頼して明日にでも引っ越せる状態なんだが...どうだろうか?」
『私、...一緒に暮らしても...いいの...?』
「あぁ、勿論だ」
『これって夢じゃない...?』
「不安ならつねっても良いぞ」
悪戯っぽく片目を閉じて、頬を差し出された。
『...ふふっ、...秀一さんの頬っぺたつねるの?こういう時って自分の頬をつねるんじゃないの...?』
「そんな事、俺がヒロインにさせる訳ないだろう?」
『もう...秀一さんたら...っふ、ふふっ.........大好き』
もう泣いてるのか笑ってるのかわからない。きっと変な顔になってる。そんな私を見て、秀一さんは「俺も愛してるよ」と微笑んでキスをくれた。
(おやすみ、Baby...)
(ん、...おやすみなさい、秀一さん)
耳元で聴こえる、とろりと甘く蕩けるような優しい声。その愛しい温もりに甘えるように頬を寄せて、そっと目を閉じた。
ーfinー
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