Chocolateよりも甘い夜 [赤井秀一]
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ーChocolateよりも甘い夜ー
今日はバレンタインデーだから、...ちょっとはりきって作り過ぎちゃった。
作ってる内に楽しくなってきちゃって、あれもこれもと増えてしまった。
『う~ん、流石に多いよね...』
テーブルの上には可愛くラッピング済みのお菓子たち。
赤井さんに渡す用のビターなチョコサンドクッキーと、追加で作ったトリュフ、チョコクランチ、チョコボンボン...
あと、夜二人で食べる用の甘さ控えめのティラミスケーキ...。これは取り敢えず冷蔵庫に入れといた。
『チョコクランチは子供達に配って、トリュフとチョコボンボンはジョディとキャメルさんに渡そうかな...』
ランチタイムに会えたらいいな、とラッピングしたチョコを紙袋に入れてから、出掛ける準備をした。
先に探偵事務所に行って、毛利さんと蘭ちゃんに渡して、コナンくん経由で少年探偵団の皆にもチョコを渡して貰うことにした。
紙袋の中身が一気に減って軽くなる。
『赤井さん達にも会えたらいいなぁ』
もし忙しそうなら、帰ってきた時に渡せばいいし。
以前にも何度か書類やお弁当届けに行ったりしたことあるから場所は覚えてる。よし。
一緒に暮らすようになってから、バレンタインのチョコを赤井さんに渡すのはこれが二度目。しかも前回渡した時は市販のスイーツだったから、...手作りチョコを渡すのは初だ。まるで告白前の学生みたいにドキドキしてる。
手作りチョコ......重くない、かな。
今回も市販のやつにしとけば良かったかなぁ...。
バレンタインデーだからって、ちょっと浮かれ過ぎだったかも...。
段々と自信がなくなってきた。
『うぅ、...大丈夫かな、...ビターにしたから甘すぎないとは思うけど......』
歩みを進めていたら見覚えのある後ろ姿を発見する。
『あっ、赤井さ......ん、』
えっ、
一瞬、呼吸が止まって、身体が動かなくなった。
赤井さんの隣にいたのは太陽の光を浴びてキラキラと光る美しいロングのブロンドヘアで、私とは比べ物にならないグラマラスな体型の女性。しかも遠目でもわかるくらい美人だ。
思わず自分のささやかな胸元を見下ろしてしまった。虚しい。
『赤井さん、...笑ってる』
まるで私へ微笑みかける時のように、優しい表情で。
そして、隣にいた女性からラッピングされた包みを受け取ってる。
きっと職場の人なんだろう。親しそうだし。
チョコを受け取ることもあるだろう。
理解してる。赤井さんが物凄いモテるんだろうなってことも、わかってる。
でも、頭ではわかってるけど、...胸が痛くて、...悲しい。
私は、赤井さんと並んでても絵になるような美女でもなければ、モデルみたいなメリハリボディでもない。
今、赤井さんの隣にいるような、綺麗な人だったら......周りからはお似合いのカップルだね、なんて言われるのかな...。
私以外の誰かと寄り添う姿を想像してしまって、口唇を噛み締めた。
『...っ、......やだ...っ。』
そんなに嬉しそうに受け取らないで。その優しい微笑みは...私だけの微笑みであって欲しかった。
今すぐ抱き締めてよ。愛してるって、いつもみたいに...強く、ギュッてして欲しい...。
...なんて、ね。
面倒な女だと思われるくらいなら、見なかった事にする方がマシだ。
こんな重いセリフ、心の中でしか言わないから許して欲しい。
ちゃんと赤井さんの前では、平気なフリ、するから。
こんな些細な事で嫉妬するなんて...子供っぽいと思われるかもしれない。気付かれる前に、移動...しなきゃ。
ぽろり、...ぽろりと生暖かい雫が頬を伝って、視界がぼやける。
『あ、あれっ......なにこれ、...』
その時やっと、自分が泣いてることに気が付いた。
え、......止まらない...。どうしよ...。
「...えっ?!ちょ、ヒロインじゃない!どうして泣いて......」
『じょ、ジョディ......私にも、わかんなくて、...勝手に涙が...』
「あーーー、なるほど、なんとなくわかったわ。取り敢えず、落ち着くまでの間、こっちにいらっしゃい!」
『えっ、う、うん...』
私の様子と、遠くに見える赤井さんとその隣の美女を見て色々察したジョディに手を引かれて、駐車場まで連れて来られた。
「はい、乗って」
『ん、...お邪魔します...』
ジョディの愛車に招かれて、助手席へと座る。
『そうだ、これ...ジョディに渡したくて、持ってきたの。...バレンタインのチョコだよ』
「私に...?」
『うん、チョコボンボン...苦手じゃなければいいんだけど』
「嬉しいっ!チョコとお酒の組み合わせって最高よね!大好きよ♡ありがとう!」
『喜んで貰えてよかった...こっちのトリュフは、キャメルさんに渡そうかなって』
「後でキャメルに会うから、その時渡しましょうか?」
『頼んでいいかな』
「えぇ、勿論よ!...ふぅ、やっと止まったわね」
『えっ...?』
「ほら、これで拭いて...」
そう言ったジョディはハンカチを取り出して、涙に濡れた私の頬に優しく当てた。
「そんな状態でシュウに会ったりしたら、心配で動揺しまくって仕事放り出してヒロイン連れて帰りそうだから、後でメイクも治してあげるわ」
『ふふ、大袈裟だよ...でも、ありがと、ジョディ』
「ちっとも大袈裟じゃないのよねぇ...」
『ん?......あ、赤井さんから電話だ。ごめん、ちょっと電話に出るね、』
「ちょっと待ってヒロイン...!」
電話に出ようとしたら何故かジョディからストップの指示。でも、もう既に通話ボタンを押した後だった。
"Hello...Darling?"
『もしもし、...赤井さん...?』
"ヒロイン?...どうした、何があったんだ...?"
『えっ...?』
"君を泣かせるような何かが、あったんだろう...?"
『な、何でわかっ......あ。』
どうしよう、泣いてたのバレてる...!何て言えばいいの...?!
慌てながら、隣にいるジョディに身振り手振りで聴こうとしたんだけど、...あれ、天を仰いでる。天井見て何してるんだろう。
「諦めなさい。電話になんて出たらシュウがヒロインの異変に気付かない訳ないじゃない」
"その声、ジョディか。音からして車内...駐車場か"
『えっ、あっ、赤井さん、』
"Baby...すぐに行くから、待っててくれ"
『ジョディ......電話、切れちゃった...』
「今日は重要な会議も入ってないし、緊急の案件も無いから、早退するってジェームズには言っておくわね」
『え、』
「どうせなら紛らわしい真似した事も反省してもらいましょ。はい、こっち向いて...チークを頬と目尻にも入れて...ラメを黒目の下に足して...よし、OKよ。」
『ありがとう、ジョディ...』
「うん、上出来。泣き顔がパワーアップして良心が抉れそうよ!」
『りょ、良心が抉れる...?』
泣き顔が隠れるようにメイクを直してくれた...んじゃなかったのかな。あれ?ジョディ、泣き顔がパワーアップしてるって言ってなかった?
気になってバッグから鏡を取り出そうとした時、
コンコン、と窓をノックする音が聴こえて顔を上げた。
『あ、あか』
ーーガチャ、
「ヒロインっ!!!」
『わっ...!』
赤井さんの姿が目に入ったかと思えば、勢いよくドアが開いて...血相を変えた赤井さんに抱き締められた。固い胸板に顔を埋めた状態で優しくホールドされて身動きが取れない。
「おい、ジョディ、何があった」
「シュウ、ヒロインが泣いてるのは全部貴方のせいよ!可哀想に、...こんなに泣いて...。せっかくシュウの為にバレンタインのチョコを届けてくれたのに、貴方がだらしない顔して金髪美女からプレゼントを受け取ってるシーンを見て傷付いて身体を震わせながらポロポロ涙を流してたのよ!今にも倒れそうだったわ」
いや、そこまでじゃなかった気がするけど...と、やや誇張された表現に首を傾げようとしたけど、動けない...。
「ほら、今だって震えてるわ!」
あ、いや、...震えてる訳では...。
否定しようとしたけど、赤井さんの胸元に密着しているせいでモゴモゴとこもった声が漏れるだけだった。
「なん、だと......?......俺が、ヒロインを泣かせてしまったのか......?」
頭上から、まるでこの世の終わりのような赤井さんの震えた声が聴こえた。
俺はなんてことを...って悲愴感をたっぷり含んだ声が上から降ってきて、何とか否定しなきゃと赤井さんの腕の中でモゾモゾ動いた。まずはここから抜け出さないと、どんどんヒロイン悲しみの物語が出来上がってしまう...!
今日はバレンタインデーだから、...ちょっとはりきって作り過ぎちゃった。
作ってる内に楽しくなってきちゃって、あれもこれもと増えてしまった。
『う~ん、流石に多いよね...』
テーブルの上には可愛くラッピング済みのお菓子たち。
赤井さんに渡す用のビターなチョコサンドクッキーと、追加で作ったトリュフ、チョコクランチ、チョコボンボン...
あと、夜二人で食べる用の甘さ控えめのティラミスケーキ...。これは取り敢えず冷蔵庫に入れといた。
『チョコクランチは子供達に配って、トリュフとチョコボンボンはジョディとキャメルさんに渡そうかな...』
ランチタイムに会えたらいいな、とラッピングしたチョコを紙袋に入れてから、出掛ける準備をした。
先に探偵事務所に行って、毛利さんと蘭ちゃんに渡して、コナンくん経由で少年探偵団の皆にもチョコを渡して貰うことにした。
紙袋の中身が一気に減って軽くなる。
『赤井さん達にも会えたらいいなぁ』
もし忙しそうなら、帰ってきた時に渡せばいいし。
以前にも何度か書類やお弁当届けに行ったりしたことあるから場所は覚えてる。よし。
一緒に暮らすようになってから、バレンタインのチョコを赤井さんに渡すのはこれが二度目。しかも前回渡した時は市販のスイーツだったから、...手作りチョコを渡すのは初だ。まるで告白前の学生みたいにドキドキしてる。
手作りチョコ......重くない、かな。
今回も市販のやつにしとけば良かったかなぁ...。
バレンタインデーだからって、ちょっと浮かれ過ぎだったかも...。
段々と自信がなくなってきた。
『うぅ、...大丈夫かな、...ビターにしたから甘すぎないとは思うけど......』
歩みを進めていたら見覚えのある後ろ姿を発見する。
『あっ、赤井さ......ん、』
えっ、
一瞬、呼吸が止まって、身体が動かなくなった。
赤井さんの隣にいたのは太陽の光を浴びてキラキラと光る美しいロングのブロンドヘアで、私とは比べ物にならないグラマラスな体型の女性。しかも遠目でもわかるくらい美人だ。
思わず自分のささやかな胸元を見下ろしてしまった。虚しい。
『赤井さん、...笑ってる』
まるで私へ微笑みかける時のように、優しい表情で。
そして、隣にいた女性からラッピングされた包みを受け取ってる。
きっと職場の人なんだろう。親しそうだし。
チョコを受け取ることもあるだろう。
理解してる。赤井さんが物凄いモテるんだろうなってことも、わかってる。
でも、頭ではわかってるけど、...胸が痛くて、...悲しい。
私は、赤井さんと並んでても絵になるような美女でもなければ、モデルみたいなメリハリボディでもない。
今、赤井さんの隣にいるような、綺麗な人だったら......周りからはお似合いのカップルだね、なんて言われるのかな...。
私以外の誰かと寄り添う姿を想像してしまって、口唇を噛み締めた。
『...っ、......やだ...っ。』
そんなに嬉しそうに受け取らないで。その優しい微笑みは...私だけの微笑みであって欲しかった。
今すぐ抱き締めてよ。愛してるって、いつもみたいに...強く、ギュッてして欲しい...。
...なんて、ね。
面倒な女だと思われるくらいなら、見なかった事にする方がマシだ。
こんな重いセリフ、心の中でしか言わないから許して欲しい。
ちゃんと赤井さんの前では、平気なフリ、するから。
こんな些細な事で嫉妬するなんて...子供っぽいと思われるかもしれない。気付かれる前に、移動...しなきゃ。
ぽろり、...ぽろりと生暖かい雫が頬を伝って、視界がぼやける。
『あ、あれっ......なにこれ、...』
その時やっと、自分が泣いてることに気が付いた。
え、......止まらない...。どうしよ...。
「...えっ?!ちょ、ヒロインじゃない!どうして泣いて......」
『じょ、ジョディ......私にも、わかんなくて、...勝手に涙が...』
「あーーー、なるほど、なんとなくわかったわ。取り敢えず、落ち着くまでの間、こっちにいらっしゃい!」
『えっ、う、うん...』
私の様子と、遠くに見える赤井さんとその隣の美女を見て色々察したジョディに手を引かれて、駐車場まで連れて来られた。
「はい、乗って」
『ん、...お邪魔します...』
ジョディの愛車に招かれて、助手席へと座る。
『そうだ、これ...ジョディに渡したくて、持ってきたの。...バレンタインのチョコだよ』
「私に...?」
『うん、チョコボンボン...苦手じゃなければいいんだけど』
「嬉しいっ!チョコとお酒の組み合わせって最高よね!大好きよ♡ありがとう!」
『喜んで貰えてよかった...こっちのトリュフは、キャメルさんに渡そうかなって』
「後でキャメルに会うから、その時渡しましょうか?」
『頼んでいいかな』
「えぇ、勿論よ!...ふぅ、やっと止まったわね」
『えっ...?』
「ほら、これで拭いて...」
そう言ったジョディはハンカチを取り出して、涙に濡れた私の頬に優しく当てた。
「そんな状態でシュウに会ったりしたら、心配で動揺しまくって仕事放り出してヒロイン連れて帰りそうだから、後でメイクも治してあげるわ」
『ふふ、大袈裟だよ...でも、ありがと、ジョディ』
「ちっとも大袈裟じゃないのよねぇ...」
『ん?......あ、赤井さんから電話だ。ごめん、ちょっと電話に出るね、』
「ちょっと待ってヒロイン...!」
電話に出ようとしたら何故かジョディからストップの指示。でも、もう既に通話ボタンを押した後だった。
"Hello...Darling?"
『もしもし、...赤井さん...?』
"ヒロイン?...どうした、何があったんだ...?"
『えっ...?』
"君を泣かせるような何かが、あったんだろう...?"
『な、何でわかっ......あ。』
どうしよう、泣いてたのバレてる...!何て言えばいいの...?!
慌てながら、隣にいるジョディに身振り手振りで聴こうとしたんだけど、...あれ、天を仰いでる。天井見て何してるんだろう。
「諦めなさい。電話になんて出たらシュウがヒロインの異変に気付かない訳ないじゃない」
"その声、ジョディか。音からして車内...駐車場か"
『えっ、あっ、赤井さん、』
"Baby...すぐに行くから、待っててくれ"
『ジョディ......電話、切れちゃった...』
「今日は重要な会議も入ってないし、緊急の案件も無いから、早退するってジェームズには言っておくわね」
『え、』
「どうせなら紛らわしい真似した事も反省してもらいましょ。はい、こっち向いて...チークを頬と目尻にも入れて...ラメを黒目の下に足して...よし、OKよ。」
『ありがとう、ジョディ...』
「うん、上出来。泣き顔がパワーアップして良心が抉れそうよ!」
『りょ、良心が抉れる...?』
泣き顔が隠れるようにメイクを直してくれた...んじゃなかったのかな。あれ?ジョディ、泣き顔がパワーアップしてるって言ってなかった?
気になってバッグから鏡を取り出そうとした時、
コンコン、と窓をノックする音が聴こえて顔を上げた。
『あ、あか』
ーーガチャ、
「ヒロインっ!!!」
『わっ...!』
赤井さんの姿が目に入ったかと思えば、勢いよくドアが開いて...血相を変えた赤井さんに抱き締められた。固い胸板に顔を埋めた状態で優しくホールドされて身動きが取れない。
「おい、ジョディ、何があった」
「シュウ、ヒロインが泣いてるのは全部貴方のせいよ!可哀想に、...こんなに泣いて...。せっかくシュウの為にバレンタインのチョコを届けてくれたのに、貴方がだらしない顔して金髪美女からプレゼントを受け取ってるシーンを見て傷付いて身体を震わせながらポロポロ涙を流してたのよ!今にも倒れそうだったわ」
いや、そこまでじゃなかった気がするけど...と、やや誇張された表現に首を傾げようとしたけど、動けない...。
「ほら、今だって震えてるわ!」
あ、いや、...震えてる訳では...。
否定しようとしたけど、赤井さんの胸元に密着しているせいでモゴモゴとこもった声が漏れるだけだった。
「なん、だと......?......俺が、ヒロインを泣かせてしまったのか......?」
頭上から、まるでこの世の終わりのような赤井さんの震えた声が聴こえた。
俺はなんてことを...って悲愴感をたっぷり含んだ声が上から降ってきて、何とか否定しなきゃと赤井さんの腕の中でモゾモゾ動いた。まずはここから抜け出さないと、どんどんヒロイン悲しみの物語が出来上がってしまう...!
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