迷宮の姫君 [江戸川コナン]
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ー迷宮の姫君ー
『ぇぇええ......待って待って、電池切れないで...っ!!』
確か家を出る時はまだスマホの電池残量は70%以上あったはずなのに。買い物を終えて帰る頃には30%以下になってて。道に迷ってうろうろしてる内に残量はもう風前の灯火。いつもより かなり減るスピードが早くて焦る。
寒い時はスマホの電池の減りが早い、なんて話を聞いた事があるから、その所為なのかもしれない。
『ど、どうしよう......』
お願い、切れないでという祈りも空しく地図アプリを表示させていたスマホの画面が真っ暗になり、応答してくれなくなった。終わった。
『ここ、どこなんだろう...』
自分がどこにいるかもわからない。いつもと違う道に入ってしまったのかな?取り敢えず勘を頼りに進んでみたけど、いくら歩いても見知った場所に出られない。人通りも無いから誰かに道を聞くことも出来ない。
どこを見ても似たようなマンションばかり。まるで樹海に迷いこんでしまった気分だ。
段々と暗くなってきて、チラチラと雪まで降ってきた。
『...もうこのまま帰れないんじゃ、』
絶望的なこの状況に、泣きそうになっていたその時、...以前、阿笠博士から貰った探偵バッジの存在を思い出した。少年探偵団の子供達が「ヒロインお姉さんもお揃いで持ってて欲しいから!」と、博士に頼んで用意してくれた物だ。
『確か、バッグに入れてた筈...!』
暗くてよく見えないから、ゴソゴソと手探りでバッグの中を確認したら、あった!探偵バッジ!
『...でもこれ、こんなに離れてて繋がるのかな...』
多少は離れてても会話出来ると聞いてはいたけど、使うのは初めてだったから詳しい性能はよくわかってない。
『だ、誰か......聴こえる......?』
これで繋がらなかったら、明日の新聞に載るかもしれない。凍死した死体として。
「あれ?ヒロインさん?」
『繋がった...!!!!コナンくん~っっ!!』
「え、どうしたの?何かあったの?」
『もう、駄目かと思った...』
探偵バッジからコナンくんの声が聴こえて、思わず泣きそうになった。頼りない大人でごめんね。
「落ち着いて、何があったか話してくれる?」
『うん...』
コナンくん、ひょっとして人生2周目とかなんじゃ...?私よりしっかりしてる...。
冷静なコナンくんの声を聴いてたら安心して落ち着いてきたから、スマホの電源が落ちた事と、迷子になった事を伝えた。
「あのね、ヒロインさん…方向音痴なんだから、勘を頼りに進むのは一番やっちゃいけない方法だよ…」
『うぐぅ...面目ない...。』
「近くに何か目印になりそうな建物はない?」
『うぅん……似たようなマンションとお家しかないな…』
「じゃあ、電柱は?」
『電柱?あるけど...』
「電柱に書かれてある番号で位置特定出来るから僕に教えて?」
言われるがまま、電柱番号とやらをコナンくんに伝えたら「あ、案外近いな」っていう呟きの後「迎えに行くから動かずに待ってて!」と、言われてプツリと通信が切れた。
小学生に迎えに来てもらう私ってどうなの、なんて思ったけど...無力な私には今何も出来ない状況なので大人しくコナンくんを待つことに。
数分後、物凄いスピードでスケボーに乗って颯爽と駆け付けてくれたコナンくん。
「お待たせ、ヒロインさん。じゃあ、帰ろっか」
『うん、ありがと。コナンくん...』
コナンくんに差し出された手を握り、二人でテクテクと歩く。まるでコナンくんの方が保護者みたいだ。今度お礼に何かご馳走しよう...。
「今度からはちゃんと予備のバッテリー持ち歩いてね?何かあった時、連絡出来ないと困るでしょ。特に、夜道は危ないんだから」
『き、気を付けます...』
私、小学生にお説教されてる...。
だめだめ、しっかりしないと!明日モバイルバッテリー買いに行こう...。
「...全く、危なっかしい所は変わってねぇな...」
『...ん?今何か言った?』
「え?ううん!何でもなーい!」
私を見上げてニコッと笑みを浮かべるコナンくんは、いつも通り天使のように可愛かった。
たまに...ふとした瞬間に物凄く大人っぽい表情になることがあるんだけど、そんな時は...新一くんを思い出す。ご近所さんで、私より年下なのにしっかり者で、何かあるといつも助けてくれてたっけ。
今は事件の調査か何かで忙しくしてるみたいだけど、...また、会えるといいなぁ。
「ヒロインさん?お家着いたよ?」
『えっ?も、もう?』
「うん、裏道に入り込んじゃってたけど、そこからヒロインさんの家までは結構近かったから」
『知らない内に近くまで来てたんだね...』
「ヒロインさん、探偵バッジは常に持っててね。今回みたいにスマホが使えないケースもあるかもしれないし...。何かあったらすぐに僕に連絡すること!」
『は、はいっ』
「...じゃあ、僕帰るね」
『あ!待って、コナンくん!』
そのままスケボーに乗って帰ろうとしたコナンくんを呼び止める。
『今度何かお礼させて!』
「お礼なんて、...別にいいのに」
『それじゃ申し訳ないよ。何か食べたいものとか...ない?』
「んー、じゃあ......ヒロインさんの作った、...レモンパイ、食べたいな」
『レモンパイ...?』
「ヒロインさんの作るレモンパイ、美味しいから......って、し、新一兄ちゃんがすごく褒めてたから!」
『ふふ、そっかぁ。新一くん...気に入ってくれてたのかな」
「うん、...だから、僕も食べてみたいな...って」
目を細めて、まるで何かを懐かしむような表情のコナンくんと、新一くんの姿が重なって見える。
『コナン、くん......わかった!今度作って持って行くから、楽しみにしてて!』
「ありがと!...その時は僕が行くから、連絡してくれる?」
『探偵事務所なら何度も行ったことあるから迷わないよ...?』
「...今日ヒロインさんが行ったスーパーって、いつも行ってるスーパーだよね?」
『あっ、...はい、連絡します...。』
ジトッとした目を向けられて素直に頷いておいた。
「...楽しみにしてるね」
そう言ってスケボーに乗って帰っていくコナンくんの後ろ姿を見送る。
『今日はありがとう!気を付けて帰ってね!』
コナンくんは、私の声にかっこよく片手を上げて返事をして、スケボーのスピードを上げると、道の角を曲がってその背中が見えなくなった。
コナンくんには敵わないなぁ。スーパーに行った事も伝えてないのに。スーパーの袋じゃなくてマイバッグに買った食材も入れてたのに、どうしていつものスーパーだと分かったんだろう。
すぐに言い当てちゃうところも、彼にそっくり。
『...今度、久しぶりに連絡してみようかな』
コナンくんとはたまに会ってるみたいだから、新一くんの分もレモンパイ...用意しとこうかな。コナンくんに渡してもらおう。会えなければその分はコナンくんに食べてもらえばいいし。
レモンパイを頬張る彼の懐かしい姿を思い出しながら、ふふ、と笑みを浮かべた。
ーfinー
『ぇぇええ......待って待って、電池切れないで...っ!!』
確か家を出る時はまだスマホの電池残量は70%以上あったはずなのに。買い物を終えて帰る頃には30%以下になってて。道に迷ってうろうろしてる内に残量はもう風前の灯火。いつもより かなり減るスピードが早くて焦る。
寒い時はスマホの電池の減りが早い、なんて話を聞いた事があるから、その所為なのかもしれない。
『ど、どうしよう......』
お願い、切れないでという祈りも空しく地図アプリを表示させていたスマホの画面が真っ暗になり、応答してくれなくなった。終わった。
『ここ、どこなんだろう...』
自分がどこにいるかもわからない。いつもと違う道に入ってしまったのかな?取り敢えず勘を頼りに進んでみたけど、いくら歩いても見知った場所に出られない。人通りも無いから誰かに道を聞くことも出来ない。
どこを見ても似たようなマンションばかり。まるで樹海に迷いこんでしまった気分だ。
段々と暗くなってきて、チラチラと雪まで降ってきた。
『...もうこのまま帰れないんじゃ、』
絶望的なこの状況に、泣きそうになっていたその時、...以前、阿笠博士から貰った探偵バッジの存在を思い出した。少年探偵団の子供達が「ヒロインお姉さんもお揃いで持ってて欲しいから!」と、博士に頼んで用意してくれた物だ。
『確か、バッグに入れてた筈...!』
暗くてよく見えないから、ゴソゴソと手探りでバッグの中を確認したら、あった!探偵バッジ!
『...でもこれ、こんなに離れてて繋がるのかな...』
多少は離れてても会話出来ると聞いてはいたけど、使うのは初めてだったから詳しい性能はよくわかってない。
『だ、誰か......聴こえる......?』
これで繋がらなかったら、明日の新聞に載るかもしれない。凍死した死体として。
「あれ?ヒロインさん?」
『繋がった...!!!!コナンくん~っっ!!』
「え、どうしたの?何かあったの?」
『もう、駄目かと思った...』
探偵バッジからコナンくんの声が聴こえて、思わず泣きそうになった。頼りない大人でごめんね。
「落ち着いて、何があったか話してくれる?」
『うん...』
コナンくん、ひょっとして人生2周目とかなんじゃ...?私よりしっかりしてる...。
冷静なコナンくんの声を聴いてたら安心して落ち着いてきたから、スマホの電源が落ちた事と、迷子になった事を伝えた。
「あのね、ヒロインさん…方向音痴なんだから、勘を頼りに進むのは一番やっちゃいけない方法だよ…」
『うぐぅ...面目ない...。』
「近くに何か目印になりそうな建物はない?」
『うぅん……似たようなマンションとお家しかないな…』
「じゃあ、電柱は?」
『電柱?あるけど...』
「電柱に書かれてある番号で位置特定出来るから僕に教えて?」
言われるがまま、電柱番号とやらをコナンくんに伝えたら「あ、案外近いな」っていう呟きの後「迎えに行くから動かずに待ってて!」と、言われてプツリと通信が切れた。
小学生に迎えに来てもらう私ってどうなの、なんて思ったけど...無力な私には今何も出来ない状況なので大人しくコナンくんを待つことに。
数分後、物凄いスピードでスケボーに乗って颯爽と駆け付けてくれたコナンくん。
「お待たせ、ヒロインさん。じゃあ、帰ろっか」
『うん、ありがと。コナンくん...』
コナンくんに差し出された手を握り、二人でテクテクと歩く。まるでコナンくんの方が保護者みたいだ。今度お礼に何かご馳走しよう...。
「今度からはちゃんと予備のバッテリー持ち歩いてね?何かあった時、連絡出来ないと困るでしょ。特に、夜道は危ないんだから」
『き、気を付けます...』
私、小学生にお説教されてる...。
だめだめ、しっかりしないと!明日モバイルバッテリー買いに行こう...。
「...全く、危なっかしい所は変わってねぇな...」
『...ん?今何か言った?』
「え?ううん!何でもなーい!」
私を見上げてニコッと笑みを浮かべるコナンくんは、いつも通り天使のように可愛かった。
たまに...ふとした瞬間に物凄く大人っぽい表情になることがあるんだけど、そんな時は...新一くんを思い出す。ご近所さんで、私より年下なのにしっかり者で、何かあるといつも助けてくれてたっけ。
今は事件の調査か何かで忙しくしてるみたいだけど、...また、会えるといいなぁ。
「ヒロインさん?お家着いたよ?」
『えっ?も、もう?』
「うん、裏道に入り込んじゃってたけど、そこからヒロインさんの家までは結構近かったから」
『知らない内に近くまで来てたんだね...』
「ヒロインさん、探偵バッジは常に持っててね。今回みたいにスマホが使えないケースもあるかもしれないし...。何かあったらすぐに僕に連絡すること!」
『は、はいっ』
「...じゃあ、僕帰るね」
『あ!待って、コナンくん!』
そのままスケボーに乗って帰ろうとしたコナンくんを呼び止める。
『今度何かお礼させて!』
「お礼なんて、...別にいいのに」
『それじゃ申し訳ないよ。何か食べたいものとか...ない?』
「んー、じゃあ......ヒロインさんの作った、...レモンパイ、食べたいな」
『レモンパイ...?』
「ヒロインさんの作るレモンパイ、美味しいから......って、し、新一兄ちゃんがすごく褒めてたから!」
『ふふ、そっかぁ。新一くん...気に入ってくれてたのかな」
「うん、...だから、僕も食べてみたいな...って」
目を細めて、まるで何かを懐かしむような表情のコナンくんと、新一くんの姿が重なって見える。
『コナン、くん......わかった!今度作って持って行くから、楽しみにしてて!』
「ありがと!...その時は僕が行くから、連絡してくれる?」
『探偵事務所なら何度も行ったことあるから迷わないよ...?』
「...今日ヒロインさんが行ったスーパーって、いつも行ってるスーパーだよね?」
『あっ、...はい、連絡します...。』
ジトッとした目を向けられて素直に頷いておいた。
「...楽しみにしてるね」
そう言ってスケボーに乗って帰っていくコナンくんの後ろ姿を見送る。
『今日はありがとう!気を付けて帰ってね!』
コナンくんは、私の声にかっこよく片手を上げて返事をして、スケボーのスピードを上げると、道の角を曲がってその背中が見えなくなった。
コナンくんには敵わないなぁ。スーパーに行った事も伝えてないのに。スーパーの袋じゃなくてマイバッグに買った食材も入れてたのに、どうしていつものスーパーだと分かったんだろう。
すぐに言い当てちゃうところも、彼にそっくり。
『...今度、久しぶりに連絡してみようかな』
コナンくんとはたまに会ってるみたいだから、新一くんの分もレモンパイ...用意しとこうかな。コナンくんに渡してもらおう。会えなければその分はコナンくんに食べてもらえばいいし。
レモンパイを頬張る彼の懐かしい姿を思い出しながら、ふふ、と笑みを浮かべた。
ーfinー
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