世話焼きBourbon [バーボン]
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ー世話焼きBourbonー
「ほら、ヒロインさん...あーん」
『バーボン…自分で食べれるって...んむっ』
「美味しいでしょう?」
抵抗空しく口にスプーンを差し入れられて、生クリームの乗った甘くて濃厚なプリンをモグモグ...。
ニッコリ優雅な笑みを浮かべた美丈夫が私に問い掛ける。その笑みに若干の圧を感じるのは私だけだろうか。
確かに、美味しい。それは間違いないから素直に頷く。
「お口に合ったようで...良かったです。」
バーボンは満足げにそう言って、私の口唇の端に付いたクリームを舌で舐め取った。
『え?!ちょ、...いま、舐め...っ』
「素直に口を開けないからですよ」
『.........私が悪いみたいじゃない』
「おや?違うんですか?じゃあ次は上手に食べられますよね。はい、あーん...」
『ぅ、.......』
丸め込まれたようで悔しいけれど今度は抵抗することなく口を開ける。やっぱり美味しい。でも悔しい。
私好みに、少し固めに作られたプリンの食感も、甘さ控え目の生クリームも。つい最近、喫茶店で食べて大絶賛したプリンの味にそっくり。いや、それ以上かも。
朝目覚めてから私の着る服を選んで、ヘアアレンジ、メイク、朝食、昼食、デザート...と、何もかもこの男の手によって与えられていく。
その全てが私好みのそれで。...家族や友人でも知らないような私の情報がバーボンに筒抜けなのは...聞かない方がいいのかな。
殆ど私にべったりのバーボンだけど、空いた時間には別の仕事も色々と片付けているらしい。実は3人くらいに分身してるんじゃないかと思う事がある。
いつ休んでるの?
『一体どうしてこんなに私に構うのよ...』
「どうしてと聞かれましても」
『目的、とか...』
疑問に思う私の方が変なのか、なんて考えてしまうほど自然に世話を焼くものだから...最早日常の一部のようになってしまった。
バーボンが隣にいて当たり前。いつもの光景。
いないと落ち着かないくらいには、洗脳されているのかもしれない。
「目的、ですか...」
ふむ、と顎に手を当てて考えるポーズを取る姿も絵になる。モデルか俳優にでもなればいいのに。きっと目立つこと間違いなしだろう。
でも、そうなるともう私の傍にはいられなくなるんだろうな...なんて、淋しいという感情が勝手に沸いてくる。おかしい。かつては煩わしいとさえ、思ってた筈なのに。
考えるポーズを解いて、顔を上げたバーボンは ふふ、と微笑んで口を開いた。
「僕がいないと生きられないって言わせたいからですかね」
『......え、』
あまりにもその返答は狂気じみていて、ちょっと引いた。その美しい微笑みともミスマッチで、何だか少し怖い。
それなのに、心のどこかで...嬉しい、なんて ほんの少しだけ、思ってしまったことが、何より恐ろしかった。
『......変なの。バーボンったら、趣味悪いんじゃない?』
「それは否定しませんけど」
『腹立つなぁ』
「ヒロインさんが言ったんでしょう?」
『そうだけど...』
自分から言っておいて...って感じだけど、そんなあっさり肯定されるのも何だか納得がいかないというか。
まぁ、そんな小憎たらしいところもバーボンらしいけど。
「ふふ、...そんな僕の事を好きになった貴女も、相当趣味悪いですよ」
『なっ、...何言って、』
「これだけ怪しい男を、何だかんだ受け入れてしまって...その上隙が多くて無防備で」
『ねぇ、喧嘩売ってる?』
「だから僕に囚われてしまって、...かわいそうに」
スルリ、と手袋越しに頬を撫でられて息を飲む。
嬉しそうに弧を描くブルーグレーの瞳に見つめられて、一瞬呼吸を忘れた。
「ほら、...まだ残ってますよ?」
『ぁ、......うん、』
スプーンが差し出されて、ハッと我に返る。
目を逸らして美味しそうなプリンに視線を移した。
「ヒロインさん、...はい、あーん...」
『ぁ...』
素直に口を開けるとプリンが中へ運ばれる。
甘くて滑らかで、カラメルがほろ苦い
ふわふわの生クリームと一緒に混ざり合って喉を滑り落ちていく。
『ねぇ、もし、...バーボンがいないとダメになっちゃったら、どうするの?』
「ん?どうするって、......知りたいんですか?」
『そりゃあ、...うん、知りたい...』
「僕から脱け出せないくらい、デロデロに甘やかして...ココを、僕の存在で満たして、」
ココ、と指したのは心臓の部分。
そしてバーボンは私の手を取って、
『...痛ぁっ!え?何で噛んだの?!』
そのままいきなり指噛まれた。痛い。
『もう、歯形付いてるじゃ...ん...』
噛まれた所を見たら、左手薬指の付け根に歯形が付いていた。
左手の、薬指...。
「その先は、本名を名乗れるようになったら伝えますよ。痕が消えても、ちゃんと覚えてて下さいね?」
『え?本名って何?バーボンって本名じゃないの?』
「貴女、馬鹿なんですか?バーボンはコードネームですよ」
『ば、バカって......本名バーボンの人がいる可能性だってあるじゃない。偏見は良くないよ』
「急に真面目なトーンで話すのやめてもらえますか。調子狂うんで」
『ほんっとに失礼な男だよねぇ!...ちなみに、さっき私の指、噛んだのって......何か理由あるの?』
「いえ、特に」
『はぁぁあ?!!痛かったんですけど?!』
歯形の付いた部分をズイッとバーボンの目の前に差し出して怒ったら、ニヤリと笑われた。
「そんな訳ないでしょう?僕が理由もなくそんなことする筈ないの、知ってるでしょう?」
『だったら、』
「そう遠くない未来に歯形とは別の物で埋めますから、イイ子で待ってて下さい...ね?」
そんなことを言いながら私の頭を撫でる手は優しくて、私を見下ろすバーボンの目は、いつもより澄んで見えた。
(まぁ、逃がしませんが)
(ヤダコワイ)
諦めて下さい、なんて甘くないセリフを吐息混じりに囁かれて私は項垂れた。ドキッとしたなんて、絶対言うもんか。
ーfinー
「ほら、ヒロインさん...あーん」
『バーボン…自分で食べれるって...んむっ』
「美味しいでしょう?」
抵抗空しく口にスプーンを差し入れられて、生クリームの乗った甘くて濃厚なプリンをモグモグ...。
ニッコリ優雅な笑みを浮かべた美丈夫が私に問い掛ける。その笑みに若干の圧を感じるのは私だけだろうか。
確かに、美味しい。それは間違いないから素直に頷く。
「お口に合ったようで...良かったです。」
バーボンは満足げにそう言って、私の口唇の端に付いたクリームを舌で舐め取った。
『え?!ちょ、...いま、舐め...っ』
「素直に口を開けないからですよ」
『.........私が悪いみたいじゃない』
「おや?違うんですか?じゃあ次は上手に食べられますよね。はい、あーん...」
『ぅ、.......』
丸め込まれたようで悔しいけれど今度は抵抗することなく口を開ける。やっぱり美味しい。でも悔しい。
私好みに、少し固めに作られたプリンの食感も、甘さ控え目の生クリームも。つい最近、喫茶店で食べて大絶賛したプリンの味にそっくり。いや、それ以上かも。
朝目覚めてから私の着る服を選んで、ヘアアレンジ、メイク、朝食、昼食、デザート...と、何もかもこの男の手によって与えられていく。
その全てが私好みのそれで。...家族や友人でも知らないような私の情報がバーボンに筒抜けなのは...聞かない方がいいのかな。
殆ど私にべったりのバーボンだけど、空いた時間には別の仕事も色々と片付けているらしい。実は3人くらいに分身してるんじゃないかと思う事がある。
いつ休んでるの?
『一体どうしてこんなに私に構うのよ...』
「どうしてと聞かれましても」
『目的、とか...』
疑問に思う私の方が変なのか、なんて考えてしまうほど自然に世話を焼くものだから...最早日常の一部のようになってしまった。
バーボンが隣にいて当たり前。いつもの光景。
いないと落ち着かないくらいには、洗脳されているのかもしれない。
「目的、ですか...」
ふむ、と顎に手を当てて考えるポーズを取る姿も絵になる。モデルか俳優にでもなればいいのに。きっと目立つこと間違いなしだろう。
でも、そうなるともう私の傍にはいられなくなるんだろうな...なんて、淋しいという感情が勝手に沸いてくる。おかしい。かつては煩わしいとさえ、思ってた筈なのに。
考えるポーズを解いて、顔を上げたバーボンは ふふ、と微笑んで口を開いた。
「僕がいないと生きられないって言わせたいからですかね」
『......え、』
あまりにもその返答は狂気じみていて、ちょっと引いた。その美しい微笑みともミスマッチで、何だか少し怖い。
それなのに、心のどこかで...嬉しい、なんて ほんの少しだけ、思ってしまったことが、何より恐ろしかった。
『......変なの。バーボンったら、趣味悪いんじゃない?』
「それは否定しませんけど」
『腹立つなぁ』
「ヒロインさんが言ったんでしょう?」
『そうだけど...』
自分から言っておいて...って感じだけど、そんなあっさり肯定されるのも何だか納得がいかないというか。
まぁ、そんな小憎たらしいところもバーボンらしいけど。
「ふふ、...そんな僕の事を好きになった貴女も、相当趣味悪いですよ」
『なっ、...何言って、』
「これだけ怪しい男を、何だかんだ受け入れてしまって...その上隙が多くて無防備で」
『ねぇ、喧嘩売ってる?』
「だから僕に囚われてしまって、...かわいそうに」
スルリ、と手袋越しに頬を撫でられて息を飲む。
嬉しそうに弧を描くブルーグレーの瞳に見つめられて、一瞬呼吸を忘れた。
「ほら、...まだ残ってますよ?」
『ぁ、......うん、』
スプーンが差し出されて、ハッと我に返る。
目を逸らして美味しそうなプリンに視線を移した。
「ヒロインさん、...はい、あーん...」
『ぁ...』
素直に口を開けるとプリンが中へ運ばれる。
甘くて滑らかで、カラメルがほろ苦い
ふわふわの生クリームと一緒に混ざり合って喉を滑り落ちていく。
『ねぇ、もし、...バーボンがいないとダメになっちゃったら、どうするの?』
「ん?どうするって、......知りたいんですか?」
『そりゃあ、...うん、知りたい...』
「僕から脱け出せないくらい、デロデロに甘やかして...ココを、僕の存在で満たして、」
ココ、と指したのは心臓の部分。
そしてバーボンは私の手を取って、
『...痛ぁっ!え?何で噛んだの?!』
そのままいきなり指噛まれた。痛い。
『もう、歯形付いてるじゃ...ん...』
噛まれた所を見たら、左手薬指の付け根に歯形が付いていた。
左手の、薬指...。
「その先は、本名を名乗れるようになったら伝えますよ。痕が消えても、ちゃんと覚えてて下さいね?」
『え?本名って何?バーボンって本名じゃないの?』
「貴女、馬鹿なんですか?バーボンはコードネームですよ」
『ば、バカって......本名バーボンの人がいる可能性だってあるじゃない。偏見は良くないよ』
「急に真面目なトーンで話すのやめてもらえますか。調子狂うんで」
『ほんっとに失礼な男だよねぇ!...ちなみに、さっき私の指、噛んだのって......何か理由あるの?』
「いえ、特に」
『はぁぁあ?!!痛かったんですけど?!』
歯形の付いた部分をズイッとバーボンの目の前に差し出して怒ったら、ニヤリと笑われた。
「そんな訳ないでしょう?僕が理由もなくそんなことする筈ないの、知ってるでしょう?」
『だったら、』
「そう遠くない未来に歯形とは別の物で埋めますから、イイ子で待ってて下さい...ね?」
そんなことを言いながら私の頭を撫でる手は優しくて、私を見下ろすバーボンの目は、いつもより澄んで見えた。
(まぁ、逃がしませんが)
(ヤダコワイ)
諦めて下さい、なんて甘くないセリフを吐息混じりに囁かれて私は項垂れた。ドキッとしたなんて、絶対言うもんか。
ーfinー
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