子供扱いしないでよ [赤井秀一]
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ー子供扱いしないでよー
彼はいつも私を子供扱いする。
キスは額か頬にしかしてくれない。
口唇にしてって言っても、「まだ早い」なんて言って。優しく頭を撫でたって、誤魔化されてあげないんだから。
赤井さんとは一回り年齢は離れてるけど、そんなのどう頑張ったって縮まないんだから、仕方ないじゃない?
もう一緒にお酒だって飲めるし、タバコだって吸えるんだよ。
でも、度数の弱いカクテルしか飲ませてくれないし、タバコなんて以ての外。赤井さんの真似して吸おうとして全部取り上げられたけど。
ねぇ、私を見て
触れてよ
ちゃんと、キスしてよ。
『ねぇ、もう私...子供じゃないよ。』
ソファに並んで座る私達には少し距離がある。
手渡されたマグカップにはココアと浮かぶマシュマロ。それは甘くて美味しいけど、私...コーヒーだって、飲めるようになったんだよ。
ぐいとマグカップの中身を飲み干して、赤井さんの袖を引く。
「じゃあ、...こっちも飲んでみるか?」
赤井さんが飲んでるコーヒーを差し出される。
別に間接キスだなんて、...気にしてないんだから。
それに、さっきのセリフには私の色んな気持ちが凝縮されてるんだって、気付いてる?
『...飲んでみる』
受け取って、その真っ黒な液体を口に含むと、想像以上に苦味が強くてお世辞にも飲みやすいとは言えなかった。
「フッ...ヒロインにはココアの方が口に合うだろう」
『お砂糖とミルク入れたら飲めるもん』
「そうか、なら次はヒロインの分も用意しよう」
『......うん、』
微笑んで私の頭を優しく撫でる大きな手。
でも、優しいだけなの。
頬にキスをくれるけど、その先には進んでくれない。
『ね、......キス、して』
目を閉じてねだるけど、額や瞼、頬に触れるだけのキスを落として、離れていく温もり。
今まで心の中で少しずつ降り積もっていた、モヤモヤとした陰りがほんの少しの隙間から漏れ出していく...
『...どうして?...どうして、口唇にはキス、してくれないの?私に魅力がない?...経験の無い初めての女が面倒なの?だから......』
私は赤井さんに触れたくて仕方ないのに、同じ気持ちじゃないのかな。手を伸ばせば触れられる距離なのに、遠く感じる。
悲しくて、虚しくて、指先が冷えていく。
瞬きをするとポロリと、生暖かい雫が頬を伝った。
『じゃあ、…初めてじゃなくなれば、私をちゃんと見てくれるの…?』
なんて、馬鹿な考えが頭を過る。
駄目だ。これ以上この場にいると、赤井さんを感情のままに責めてしまいそうで怖い。
今の質問なんて完全に重たい女みたいじゃないか。
少し冷静にならないと。
『...何でもない。今のは忘れて?...ちょっと出掛けてくるね』
外は雪が降ってるけど、頭を冷やすにはちょうどいいだろう。
そう思って立ち上がった時、後ろから伸びてきた腕にギュッと抱き締められた。
「......どこへ行く?」
『.........えっと、』
行先は考えてなかった。
「俺には言えない所か?」
『頭を冷やそうと思って......どこに行くかは、考えてなかったの...。このままじゃ、私、赤井さんに酷いこと言っちゃいそうで...』
「その必要はないさ。それに、...さっきの質問に応えてなかったろう?」
『さっきの、質問......?』
勢いのまま口走っちゃったアレだろうか。
「そのまま聴いてくれ」
私が頷くと、私を後ろから抱き締めた状態のまま、赤井さんは話を続ける。
「まず、君は俺の事を少々誤解している。面倒だなんて考えた事も無い。それに魅力がない、だと?...俺がどれだけ理性が飛ばないようにしているか...君は知らないだろう...?」
『えっと、...はい...。』
「余裕そうに見せているだけで、実際はそんなもの無いに等しい。それなのに、君は小悪魔のようにキスをねだって煽るような真似をするし」
ポスッと右肩が少し重くなる。ちらりと視線を向けると至近距離に整った赤井さんのお顔があった。
少しだけ拗ねたような雰囲気で、...ちょっと可愛い、なんて思ってしまった。
「初めてじゃなくなれば、...なんてセリフには心臓が止まるかと思ったぞ」
『それは、...ごめんなさい。』
「俺はヒロインを怖がらせたくなくて、強引に迫るような事はしたくなかったんだが...それがヒロインを悩ませる事になるとは...すまない。」
『ううん、...私、怖がったりしないよ?それに、赤井さんなら、私の嫌がる事はしないでしょう?』
「あぁ、勿論だ」
さっきまで遠くに感じていた筈なのに、今はこんなに近い。
頬と頬が触れる程の距離にドキドキする。
『あ、』
「ん?どうした...?」
『なんだ...、最初からそうしていれば良かったんだ』
「Darling...?」
あんなに悩んでいたのが嘘みたいに、心のモヤモヤの解決策は 案外簡単に見付かった。
遠くに感じるなら、私が近寄ればいい。
キスして欲しい時は、
『私から、しちゃえばいいんだ』
くるりと振り向いて、赤井さんの口唇にキスをする。
はむ、と下唇を甘噛みして離れると「こら、煽るんじゃない」と怒られた。でも、そんな嬉しそうに微笑みながら言われたって、全然怖くないんだから。
『もう、待たないもん。いっぱい誘惑しちゃうから、覚悟してよね!』
「......後で後悔しても知らんぞ?」
『ふふ、そこは後悔させないって言ってよ』
「全く......Darling, 君には敵わないよ」
降参だ、そう言って手を上げる赤井さんを見て、これからどうやって彼を誘惑しようかと...ワクワクしながら計画を立て始めた。
早く、理性なんて捨ててしまってよ。
心の準備なんて、もうとっくに出来てるんだから。
ーfinー
彼はいつも私を子供扱いする。
キスは額か頬にしかしてくれない。
口唇にしてって言っても、「まだ早い」なんて言って。優しく頭を撫でたって、誤魔化されてあげないんだから。
赤井さんとは一回り年齢は離れてるけど、そんなのどう頑張ったって縮まないんだから、仕方ないじゃない?
もう一緒にお酒だって飲めるし、タバコだって吸えるんだよ。
でも、度数の弱いカクテルしか飲ませてくれないし、タバコなんて以ての外。赤井さんの真似して吸おうとして全部取り上げられたけど。
ねぇ、私を見て
触れてよ
ちゃんと、キスしてよ。
『ねぇ、もう私...子供じゃないよ。』
ソファに並んで座る私達には少し距離がある。
手渡されたマグカップにはココアと浮かぶマシュマロ。それは甘くて美味しいけど、私...コーヒーだって、飲めるようになったんだよ。
ぐいとマグカップの中身を飲み干して、赤井さんの袖を引く。
「じゃあ、...こっちも飲んでみるか?」
赤井さんが飲んでるコーヒーを差し出される。
別に間接キスだなんて、...気にしてないんだから。
それに、さっきのセリフには私の色んな気持ちが凝縮されてるんだって、気付いてる?
『...飲んでみる』
受け取って、その真っ黒な液体を口に含むと、想像以上に苦味が強くてお世辞にも飲みやすいとは言えなかった。
「フッ...ヒロインにはココアの方が口に合うだろう」
『お砂糖とミルク入れたら飲めるもん』
「そうか、なら次はヒロインの分も用意しよう」
『......うん、』
微笑んで私の頭を優しく撫でる大きな手。
でも、優しいだけなの。
頬にキスをくれるけど、その先には進んでくれない。
『ね、......キス、して』
目を閉じてねだるけど、額や瞼、頬に触れるだけのキスを落として、離れていく温もり。
今まで心の中で少しずつ降り積もっていた、モヤモヤとした陰りがほんの少しの隙間から漏れ出していく...
『...どうして?...どうして、口唇にはキス、してくれないの?私に魅力がない?...経験の無い初めての女が面倒なの?だから......』
私は赤井さんに触れたくて仕方ないのに、同じ気持ちじゃないのかな。手を伸ばせば触れられる距離なのに、遠く感じる。
悲しくて、虚しくて、指先が冷えていく。
瞬きをするとポロリと、生暖かい雫が頬を伝った。
『じゃあ、…初めてじゃなくなれば、私をちゃんと見てくれるの…?』
なんて、馬鹿な考えが頭を過る。
駄目だ。これ以上この場にいると、赤井さんを感情のままに責めてしまいそうで怖い。
今の質問なんて完全に重たい女みたいじゃないか。
少し冷静にならないと。
『...何でもない。今のは忘れて?...ちょっと出掛けてくるね』
外は雪が降ってるけど、頭を冷やすにはちょうどいいだろう。
そう思って立ち上がった時、後ろから伸びてきた腕にギュッと抱き締められた。
「......どこへ行く?」
『.........えっと、』
行先は考えてなかった。
「俺には言えない所か?」
『頭を冷やそうと思って......どこに行くかは、考えてなかったの...。このままじゃ、私、赤井さんに酷いこと言っちゃいそうで...』
「その必要はないさ。それに、...さっきの質問に応えてなかったろう?」
『さっきの、質問......?』
勢いのまま口走っちゃったアレだろうか。
「そのまま聴いてくれ」
私が頷くと、私を後ろから抱き締めた状態のまま、赤井さんは話を続ける。
「まず、君は俺の事を少々誤解している。面倒だなんて考えた事も無い。それに魅力がない、だと?...俺がどれだけ理性が飛ばないようにしているか...君は知らないだろう...?」
『えっと、...はい...。』
「余裕そうに見せているだけで、実際はそんなもの無いに等しい。それなのに、君は小悪魔のようにキスをねだって煽るような真似をするし」
ポスッと右肩が少し重くなる。ちらりと視線を向けると至近距離に整った赤井さんのお顔があった。
少しだけ拗ねたような雰囲気で、...ちょっと可愛い、なんて思ってしまった。
「初めてじゃなくなれば、...なんてセリフには心臓が止まるかと思ったぞ」
『それは、...ごめんなさい。』
「俺はヒロインを怖がらせたくなくて、強引に迫るような事はしたくなかったんだが...それがヒロインを悩ませる事になるとは...すまない。」
『ううん、...私、怖がったりしないよ?それに、赤井さんなら、私の嫌がる事はしないでしょう?』
「あぁ、勿論だ」
さっきまで遠くに感じていた筈なのに、今はこんなに近い。
頬と頬が触れる程の距離にドキドキする。
『あ、』
「ん?どうした...?」
『なんだ...、最初からそうしていれば良かったんだ』
「Darling...?」
あんなに悩んでいたのが嘘みたいに、心のモヤモヤの解決策は 案外簡単に見付かった。
遠くに感じるなら、私が近寄ればいい。
キスして欲しい時は、
『私から、しちゃえばいいんだ』
くるりと振り向いて、赤井さんの口唇にキスをする。
はむ、と下唇を甘噛みして離れると「こら、煽るんじゃない」と怒られた。でも、そんな嬉しそうに微笑みながら言われたって、全然怖くないんだから。
『もう、待たないもん。いっぱい誘惑しちゃうから、覚悟してよね!』
「......後で後悔しても知らんぞ?」
『ふふ、そこは後悔させないって言ってよ』
「全く......Darling, 君には敵わないよ」
降参だ、そう言って手を上げる赤井さんを見て、これからどうやって彼を誘惑しようかと...ワクワクしながら計画を立て始めた。
早く、理性なんて捨ててしまってよ。
心の準備なんて、もうとっくに出来てるんだから。
ーfinー
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