心配性darling [赤井秀一]
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『けほっ……?』
あれ?
風邪かな?乾燥かな?何だか喉の調子が悪いなぁ、と思っていたら突然、
声が出なくなりました。
いや、全く出ない訳ではないけれど、掠れた様な小さな声しか出なくて。
これは不便だなぁと、眉を寄せていたら
~~♪
聞き慣れた着信音。
私は何も考えずに無意識にスマホの画面をタップした。
『(あっ!録に声出ないのに、電話…出ちゃった)』
「ヒロイン?」
『しゅ…ち、こえ……な、い』
秀一!声が出なくなっちゃったの!
お願い察してー!
と、思いを込めたけれど、恐らく伝わってないぞ、これ。
暫くして騒々しい音が聞こえて、
「ヒロインっ!無事か?!」
勢いよく我が家のドアが蹴破られた。
しかも彼の手には黒光りする拳銃が。
ここ、日本なんですけど?!!!!
いつも持ち歩いてるの?!
『しゅ、ち………く、つ』
でもって土足禁止。
「どうした?……風邪か?」
声が出ないので小さく頷いた。
「驚いたぞ。SOSかと…」
取り敢えず靴を脱げ。
『く、…つ』
「あぁ、すまない。」
やっと言いたい事が通じて、きちんと靴を揃えて脱いでくれた秀一。
そのままくるりと振り向いて、
「よかった……お前に何かあったのかと思った…」
正面からギュッと強く抱き締められた。
きっと急いで向かってくれたんだろう。密着した身体を伝って秀一の乱れた心音が大きく聞こえた。
ごめん、って言ったつもりだったけど、やっぱり声にならなくて、代わりに私からもギュッと抱き締め返した。
「喉は……痛むか……?」
そのまま手を引かれるままにソファーへと誘導されて、熱はないか?とか、痛むか?とか、心配そうに聞かれた。
でも、喉の痛みは我慢出来ない程でもないし、多分、熱もないはずだから小さく首を横に振った。
「口を開けてみろ」
言われた通り口を開けると「少し赤く腫れてるな……ちょっと待っててくれ」
そう言い残して、部屋から出て行った。
ちょっとして、再び部屋に戻ってきた秀一の手には瓶。
瓶…?
あとは袋からガサガサ音をたてながら取り出されたのは風邪薬やらのど飴やらのど飴やら、……のど飴多いな。
取り敢えず瓶の正体が気になったのでジェスチャーで伝えた。
『(これ、なに?)』
「これか?……口を開けてみろ」
再び言われた通りに口を開けると、秀一はスプーンで瓶の中身を掬い、それは私の口の中へ。
トロリとした、甘さのそれは、
「マヌカハニーだ。殺菌作用もあって、喉にも良いらしい」
『(おいしい)』
普通の蜂蜜とは少し違った風味のそれは、何だかクセになる味で……一言で言うとハマった。これ、美味しい。
秀一に美味しいと伝えると、私の口唇の動きを読んで理解した彼は優し気な笑みを浮かべて「よかった…」と呟いた。
「他の蜂蜜は体内に入ると殺菌力が落ちてしまうんだが、マヌカハニーの殺菌力は体内でも維持できるそうだ」
マヌカハニー、凄いな。
口を開けておかわりを所望すると、ふわりとした笑みを浮かべながら、秀一は再びスプーンでマヌカハニーを掬い運んでくれた。
「ふ、……まるで親鳥にでもなった気分だ」
あまりにも優しい声で囁くものだから、
何だか、嬉しいような、恥ずかしいような、変な気分になって…
カッと、顔に熱が集まっていくのがわかった。
「ヒロイン…?どうした?熱か…?」
『……っ…!』
大きな手が私の頬に触れて、…更に熱くなる。
秀一の所為だよ、…ばか。
口パクで、伝えると、…少し困った顔をされた。
「…………早く治してくれ」
『……?』
「ヒロイン、」
困り顔の中にちらりと顔を覗かせたのは、熱を帯びたいつかの夜の瞳。細められたモスグリーンのそれに胸が、ざわついた。
「あまり我慢させると、…手加減できないぞ?」
頬に添えられた手は熱くて、
触れるだけの口付けは、
ほんのりと煙草の香り
「この続きは、……治ってから、な?」
思わず頷いてしまったけれど、
手加減出来ないぞ、なんていう言葉が頭を過って…少し後悔したのはここだけの話。
―fin―
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