寝た子を起こすな [赤井秀一]
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ー寝た子を起こすなー
いつも秀一さんに翻弄されてばかりの私だけど、今日の私は一味違う。
ふっふっふ…
起きてる間に勝てないなら、寝てる間を狙って悪戯しちゃうもんね!
今の時間帯、バーボンを飲んでソファでうたた寝しているであろうことは調べがついている。(コナン君から聞いた)
合鍵で工藤邸に侵入した私は…
抜き足差し足忍び足で目的の人物を目指した。
家主に許可は取ってあるし、秀一さんにもいつでも来て良いって言われてるし。
細心の注意を払って静かにドアを開けて、目当ての人物を見つけた。
長い足を組んでソファに横になってる。
『(睫毛が長くて、整ったお顔……足、長……)』
服越しでも分かる引き締まった肉体は最早芸術的で、まるで西洋の彫刻作品の様。
普段はじっくり見ることなんて出来ないから、ここぞとばかりに見つめる。
だって、あの綺麗な翡翠の瞳に見つめられたら……直視できなくなるんだもん。心の中まで読まれちゃいそうで。
トレードマークであるニット帽は今は無い。
少しクセのある前髪がくるんとしていて可愛い。
あぁ、どうしよう。髪を撫でたりしたら起きるかな。
ぐぬぬ、流石にそれは難しいか…
無防備な今しか触れる機会はないだろうに、…悔しい。いや、頼めば快く承諾してくれそうだけど、面と向かって触れたい、なんて…恥ずかしすぎて言えない。難易度高すぎる。
ならば…と、次の策を考える。
『(キス……は、起きる…かな…)』
…もっと危険度が上がった気がするな。
いつもなら、優しく降り注ぐキスの雨に身を任せることしか出来ないけれど、…今なら、私にも出来るはず。
寝込みを襲うだなんて、なんだか凄く悪いことをしてる気分になるけど…
『(腹を決めるんだ、ヒロイン!チャンスは今しかないぞ!)』
意を決して、静かにソファへと近付いた。
そっとカーペットに膝をついて、ソファで眠る秀一さんの口唇に視線を注ぐ。
き、キスくらい、何度もしたことあるでしょ。
何を恥ずかしがってるの私…!もうちょい!あとちょっと…頑張って…!
心の中で自分にエールを送る。
私の口唇が秀一さんのそれに、触れるまであと数センチ……
緊張で喉がごくり、と鳴った。
ーーーちゅ、
小さなリップ音を鳴らして、…気付いた。
あれ?いつもの口唇の感触じゃない。
「Baby......流石に焦らし過ぎじゃないか...?」
『ひぇっ……?!!!』
その声に目を開けて慌てて離れようとしたけど、腰に回った逞しい腕がそうさせてくれない。
『え、…えっ???お、起き、起きてたの?!』
「忍び足で入ってきたから、目覚めのキスを期待していたんだが...?」
腰に回された腕にゆっくり引き寄せられて、鼓動が早まる。
「たっぷり焦らしておきながら、口唇の横にキスするなんて、…どうしてそんな意地悪をするんだ」
『あ!』
その言葉にハッとした。
緊張で口唇が重なる前に目を閉じてしまったから、横にズレちゃったんだ。あんなに近付いてたのに…。
『あの、…意地悪するつもりじゃなくて…』
「ヒロイン、……俺を虐めるつもりがないのなら、ちゃんとここに、くれるんだろう?」
秀一さんは自分の口唇を指でトントンと指し示しながら甘さを含んで微笑む。
『うぅ、……はい……』
この展開は予想してなかった。
さっきとは違って、起きてる状態の秀一さんに私の方からキス…するなんて、難易度爆上がりだ。
どうしよう…
「あぁ、ずっと膝をついたままだと疲れるだろう。…おいで、」
『わ、…』
ひょい、とまるで重さを感じないように軽々と持ち上げられた私の身体はそのまま秀一さんの上へ。
えっ、なんだか…私が秀一さんを押し倒してるみたいな体勢なんですけど…?!
「いつでもいいぞ」
そう言って目を閉じる秀一さん。
どうしてそう試練を与えるのか。ただ秀一さんの寝てる間にこっそり気付かれないようにキスしようとしただけだったのに。
もう秀一さん起きてるし、私馬乗り状態だし、最初考えてた展開と違いすぎてアワアワしてしまう。
耳が、熱い。きっと頬も赤くなってるだろう。
『……や、やっぱり…、』
ムリ、そう言ってしまいそうになった時、腰に回された腕に引き寄せられて身体が倒れていく…
「残念だが、Time's up だ。これ以上焦らされると...無理をさせてしまいそうだからな」
秀一さんの指先が耳から頬へと輪郭をなぞり、首筋をゆるゆると辿る。
『…んっ、』
まるで、さっきのお返しのように、焦らされてるみたい。ちゅ、と小さなリップ音が耳元へ。
ぬるりとした舌の感触が耳の形を辿って、思わず声が漏れた。
『…あっ、…ゃ、…』
その刺激に反射的に身体を起こそうとしたら、ギュッと抱き締められて阻止された。その間もずっと舌で、口唇で私の耳への愛撫は止まらない。
気を抜けば勝手に出そうになる声を押し殺すだけで、何も出来ない私はただ身体を震わせるしかない。
虐めてるのは、どっちだろう。
少なくても、私はこんなに刺激的な攻撃なんて、仕掛けた覚えはない。
『…も、やぁ……秀一、さん……いじわる、しないでっ……』
私の言葉に、秀一さんの動きが、ピタリと止まる。
「意地悪?…可愛い反応をする恋人を愛でているだけだが…?まだキスすらしていないのに」
『そ、そんな……』
「無理をさせるつもりはないが…焦らされた分は、いただくつもりだ」
いただくって、一体何をいただくつもりなんだろう。
『ちょ、ちょっと待っ…』
「散々待っただろう?」
う、...それを言われると待って欲しいと言えなくなるじゃないか。
「ちゃんと待てが出来たんだ。褒めて欲しいくらいだ。…なぁ、ヒロイン…?」
『…っ、ゃ、…』
耳元で吐息混じりに名前を呼ばれ、肩がぴくんと小さく跳ねた。
「嫌か…?」
『そう、じゃなっ……ぁっ、』
耳朶を甘く食まれて、また声が漏れる。
これ、…絶対わざとだ。
『耳、ばっかり…!私が弱いの知ってて虐めるなんて…!秀一さんの、…ばか……』
「ほぅ、……俺はそういう趣味はなかったんだが、」
『ぇ…?』
「君になら、罵倒されるのも悪くないなと、思ってな」
『ぇえっ…?!』
「しかし、まぁ、……嫌われたくないからな、焦らすのはこれくらいにしておくよ」
あぁ、良かった。
ドキドキし過ぎて、もうそろそろ心臓が爆発するんじゃないかと心配していたから。
ホッとして脱力した。
今回は、私から仕掛けたようなものだし、自業自得…かな。今後は絶対バレないようにするしかないかなぁ……でも切れ者のFBI捜査官である秀一さんを相手に、そんなこと出来るだろうか…?
頭の中で、そんなことをぐるぐると考えてたら、不意にくるんと秀一さんと場所が入れ替わった。一瞬で。
『……え?』
「言っただろう?…焦らすのはやめると」
熱を帯びた翡翠の瞳に囚われて、息を飲む。
どうやら私は、自分から罠に飛び込んでしまったみたい。
「Let sleeping dogs lie...日本にもあることわざだったな。…寝た子を起こすな、と。」
そう言って、ニヤリと笑うと
秀一さんは私の口唇に、噛みつくようなキスをした。
(寝込みを襲うような真似をすると、食べられても文句は言えないぞ?)
食べられてから、気付いてももう遅いのに。
最初から狼は、寝たふりをして餌が飛び込んでくるのを大人しく待っていたのだ。
ーfinー
いつも秀一さんに翻弄されてばかりの私だけど、今日の私は一味違う。
ふっふっふ…
起きてる間に勝てないなら、寝てる間を狙って悪戯しちゃうもんね!
今の時間帯、バーボンを飲んでソファでうたた寝しているであろうことは調べがついている。(コナン君から聞いた)
合鍵で工藤邸に侵入した私は…
抜き足差し足忍び足で目的の人物を目指した。
家主に許可は取ってあるし、秀一さんにもいつでも来て良いって言われてるし。
細心の注意を払って静かにドアを開けて、目当ての人物を見つけた。
長い足を組んでソファに横になってる。
『(睫毛が長くて、整ったお顔……足、長……)』
服越しでも分かる引き締まった肉体は最早芸術的で、まるで西洋の彫刻作品の様。
普段はじっくり見ることなんて出来ないから、ここぞとばかりに見つめる。
だって、あの綺麗な翡翠の瞳に見つめられたら……直視できなくなるんだもん。心の中まで読まれちゃいそうで。
トレードマークであるニット帽は今は無い。
少しクセのある前髪がくるんとしていて可愛い。
あぁ、どうしよう。髪を撫でたりしたら起きるかな。
ぐぬぬ、流石にそれは難しいか…
無防備な今しか触れる機会はないだろうに、…悔しい。いや、頼めば快く承諾してくれそうだけど、面と向かって触れたい、なんて…恥ずかしすぎて言えない。難易度高すぎる。
ならば…と、次の策を考える。
『(キス……は、起きる…かな…)』
…もっと危険度が上がった気がするな。
いつもなら、優しく降り注ぐキスの雨に身を任せることしか出来ないけれど、…今なら、私にも出来るはず。
寝込みを襲うだなんて、なんだか凄く悪いことをしてる気分になるけど…
『(腹を決めるんだ、ヒロイン!チャンスは今しかないぞ!)』
意を決して、静かにソファへと近付いた。
そっとカーペットに膝をついて、ソファで眠る秀一さんの口唇に視線を注ぐ。
き、キスくらい、何度もしたことあるでしょ。
何を恥ずかしがってるの私…!もうちょい!あとちょっと…頑張って…!
心の中で自分にエールを送る。
私の口唇が秀一さんのそれに、触れるまであと数センチ……
緊張で喉がごくり、と鳴った。
ーーーちゅ、
小さなリップ音を鳴らして、…気付いた。
あれ?いつもの口唇の感触じゃない。
「Baby......流石に焦らし過ぎじゃないか...?」
『ひぇっ……?!!!』
その声に目を開けて慌てて離れようとしたけど、腰に回った逞しい腕がそうさせてくれない。
『え、…えっ???お、起き、起きてたの?!』
「忍び足で入ってきたから、目覚めのキスを期待していたんだが...?」
腰に回された腕にゆっくり引き寄せられて、鼓動が早まる。
「たっぷり焦らしておきながら、口唇の横にキスするなんて、…どうしてそんな意地悪をするんだ」
『あ!』
その言葉にハッとした。
緊張で口唇が重なる前に目を閉じてしまったから、横にズレちゃったんだ。あんなに近付いてたのに…。
『あの、…意地悪するつもりじゃなくて…』
「ヒロイン、……俺を虐めるつもりがないのなら、ちゃんとここに、くれるんだろう?」
秀一さんは自分の口唇を指でトントンと指し示しながら甘さを含んで微笑む。
『うぅ、……はい……』
この展開は予想してなかった。
さっきとは違って、起きてる状態の秀一さんに私の方からキス…するなんて、難易度爆上がりだ。
どうしよう…
「あぁ、ずっと膝をついたままだと疲れるだろう。…おいで、」
『わ、…』
ひょい、とまるで重さを感じないように軽々と持ち上げられた私の身体はそのまま秀一さんの上へ。
えっ、なんだか…私が秀一さんを押し倒してるみたいな体勢なんですけど…?!
「いつでもいいぞ」
そう言って目を閉じる秀一さん。
どうしてそう試練を与えるのか。ただ秀一さんの寝てる間にこっそり気付かれないようにキスしようとしただけだったのに。
もう秀一さん起きてるし、私馬乗り状態だし、最初考えてた展開と違いすぎてアワアワしてしまう。
耳が、熱い。きっと頬も赤くなってるだろう。
『……や、やっぱり…、』
ムリ、そう言ってしまいそうになった時、腰に回された腕に引き寄せられて身体が倒れていく…
「残念だが、Time's up だ。これ以上焦らされると...無理をさせてしまいそうだからな」
秀一さんの指先が耳から頬へと輪郭をなぞり、首筋をゆるゆると辿る。
『…んっ、』
まるで、さっきのお返しのように、焦らされてるみたい。ちゅ、と小さなリップ音が耳元へ。
ぬるりとした舌の感触が耳の形を辿って、思わず声が漏れた。
『…あっ、…ゃ、…』
その刺激に反射的に身体を起こそうとしたら、ギュッと抱き締められて阻止された。その間もずっと舌で、口唇で私の耳への愛撫は止まらない。
気を抜けば勝手に出そうになる声を押し殺すだけで、何も出来ない私はただ身体を震わせるしかない。
虐めてるのは、どっちだろう。
少なくても、私はこんなに刺激的な攻撃なんて、仕掛けた覚えはない。
『…も、やぁ……秀一、さん……いじわる、しないでっ……』
私の言葉に、秀一さんの動きが、ピタリと止まる。
「意地悪?…可愛い反応をする恋人を愛でているだけだが…?まだキスすらしていないのに」
『そ、そんな……』
「無理をさせるつもりはないが…焦らされた分は、いただくつもりだ」
いただくって、一体何をいただくつもりなんだろう。
『ちょ、ちょっと待っ…』
「散々待っただろう?」
う、...それを言われると待って欲しいと言えなくなるじゃないか。
「ちゃんと待てが出来たんだ。褒めて欲しいくらいだ。…なぁ、ヒロイン…?」
『…っ、ゃ、…』
耳元で吐息混じりに名前を呼ばれ、肩がぴくんと小さく跳ねた。
「嫌か…?」
『そう、じゃなっ……ぁっ、』
耳朶を甘く食まれて、また声が漏れる。
これ、…絶対わざとだ。
『耳、ばっかり…!私が弱いの知ってて虐めるなんて…!秀一さんの、…ばか……』
「ほぅ、……俺はそういう趣味はなかったんだが、」
『ぇ…?』
「君になら、罵倒されるのも悪くないなと、思ってな」
『ぇえっ…?!』
「しかし、まぁ、……嫌われたくないからな、焦らすのはこれくらいにしておくよ」
あぁ、良かった。
ドキドキし過ぎて、もうそろそろ心臓が爆発するんじゃないかと心配していたから。
ホッとして脱力した。
今回は、私から仕掛けたようなものだし、自業自得…かな。今後は絶対バレないようにするしかないかなぁ……でも切れ者のFBI捜査官である秀一さんを相手に、そんなこと出来るだろうか…?
頭の中で、そんなことをぐるぐると考えてたら、不意にくるんと秀一さんと場所が入れ替わった。一瞬で。
『……え?』
「言っただろう?…焦らすのはやめると」
熱を帯びた翡翠の瞳に囚われて、息を飲む。
どうやら私は、自分から罠に飛び込んでしまったみたい。
「Let sleeping dogs lie...日本にもあることわざだったな。…寝た子を起こすな、と。」
そう言って、ニヤリと笑うと
秀一さんは私の口唇に、噛みつくようなキスをした。
(寝込みを襲うような真似をすると、食べられても文句は言えないぞ?)
食べられてから、気付いてももう遅いのに。
最初から狼は、寝たふりをして餌が飛び込んでくるのを大人しく待っていたのだ。
ーfinー
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