悪い魔法使い [赤井秀一]
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ココアを一口。冷えた身体に、その暖かさが染み渡る。
『…美味しい……。』
「それは良かった」
ちらりと横を見ると、赤井さんはコーヒーを口にしていた。
ただそれだけなのに、凄く様になってる。
改めて、どうして私なんかに構うのか…不思議に思えてくる。
『赤井さんは…どうしてそんなに優しいんですか?』
「…誰にでもって訳じゃないさ」
『どうして……私、なんだろう…って。』
「どうして、…か…。気が付けば、放っておけなくなって、…目が離せなくなっていた」
『それ、ただの危なっかしいやつなんじゃ…』
「フッ……否定出来ないな」
『え、そこは否定して下さいよ!』
「漸く笑ったな…」
『ぁ、…』
本当だ。私、笑ってる。
あんなに落ち込んでたはずなのに。
『ふふ、…赤井さん、実は魔法使えたりしません?』
「俺が魔法使い、か…。可愛いことを言う。もしそうなら、魔法でこのままヒロインを閉じ込めて帰さないかもしれんぞ?」
『ふふふっ……そこは悪い魔法使いなんだ…』
「そうだな、俺は悪い男で、悪い魔法使い。ヒロインはただ、そいつに目を付けられただけ。それだけだ」
そう言って、悪い魔法使いの赤井さんは
私の髪を一房掬い…それにちゅ、と口付けた。
「好きなだけ甘えて、心を休めるといい。
困った時は何度でも助けてやろう。
罪悪感なんて感じる必要はない。」
『…っ……でも、』
「ただ、一つ。……残念だが、俺からは、もう逃げられない」
いつの間にか、手の中にあったマグカップはテーブルに移されてて、
私は赤井さんの腕の中。
暖かい。
仄かに煙草と、コーヒーの香りが混ざった…赤井さんの香り。
逃げられない、だなんて…
私が嫌がることなんて、しないクセに…。
『逃がさなくて、…いいよ』
赤井さんの腕の中で、くぐもった声がポツリと零れる。
「あぁ、…そのつもりだ」
ロブ・ロイ
"あなたの心を奪いたい"
あのカクテルを飲み干した時から、こうなることは決まっていたのかもしれない。
きっと、私も、それを心のどこかで望んでいたから。
自称悪い魔法使いさんが掴まえたのは、
私という悪い女。
顔を上げたら、翡翠色の瞳と視線が交わる
私が目を閉じると
それを合図に、二つの影が重なった
宝石のような翡翠の瞳と…
視線を絡めて
私の手よりも随分と大きな手に
指を絡めて
吐息さえ逃がさぬように…
舌先を絡めて
まるで二人はもともと一つだったみたいに、ぴったり寄り添い合う。
『私、…悪い女なのかもしれない…』
「ほぉ……それは面白い。ヒロインの悪い女っぷりを知りたいな」
『心に空いた穴を……貴方で、埋めようとしてるんだよ?』
「それのどこが悪い?俺で傷が塞がるなら、いくらでも上書きすればい。もし、辛い記憶に耐えられなくなって、ヒロインが忘れたければ……俺が、忘れさせてやろう…」
なんて甘美な、その言葉。
中毒になってしまいそう。
『…傷口が、全部塞がった後も、……赤井さんとの記憶で、いっぱいにして、欲しい……』
「フッ……喜んで。」
その優しさと、腕の温もりに包まれて
私は身を委ねた。
ーfinー
『…美味しい……。』
「それは良かった」
ちらりと横を見ると、赤井さんはコーヒーを口にしていた。
ただそれだけなのに、凄く様になってる。
改めて、どうして私なんかに構うのか…不思議に思えてくる。
『赤井さんは…どうしてそんなに優しいんですか?』
「…誰にでもって訳じゃないさ」
『どうして……私、なんだろう…って。』
「どうして、…か…。気が付けば、放っておけなくなって、…目が離せなくなっていた」
『それ、ただの危なっかしいやつなんじゃ…』
「フッ……否定出来ないな」
『え、そこは否定して下さいよ!』
「漸く笑ったな…」
『ぁ、…』
本当だ。私、笑ってる。
あんなに落ち込んでたはずなのに。
『ふふ、…赤井さん、実は魔法使えたりしません?』
「俺が魔法使い、か…。可愛いことを言う。もしそうなら、魔法でこのままヒロインを閉じ込めて帰さないかもしれんぞ?」
『ふふふっ……そこは悪い魔法使いなんだ…』
「そうだな、俺は悪い男で、悪い魔法使い。ヒロインはただ、そいつに目を付けられただけ。それだけだ」
そう言って、悪い魔法使いの赤井さんは
私の髪を一房掬い…それにちゅ、と口付けた。
「好きなだけ甘えて、心を休めるといい。
困った時は何度でも助けてやろう。
罪悪感なんて感じる必要はない。」
『…っ……でも、』
「ただ、一つ。……残念だが、俺からは、もう逃げられない」
いつの間にか、手の中にあったマグカップはテーブルに移されてて、
私は赤井さんの腕の中。
暖かい。
仄かに煙草と、コーヒーの香りが混ざった…赤井さんの香り。
逃げられない、だなんて…
私が嫌がることなんて、しないクセに…。
『逃がさなくて、…いいよ』
赤井さんの腕の中で、くぐもった声がポツリと零れる。
「あぁ、…そのつもりだ」
ロブ・ロイ
"あなたの心を奪いたい"
あのカクテルを飲み干した時から、こうなることは決まっていたのかもしれない。
きっと、私も、それを心のどこかで望んでいたから。
自称悪い魔法使いさんが掴まえたのは、
私という悪い女。
顔を上げたら、翡翠色の瞳と視線が交わる
私が目を閉じると
それを合図に、二つの影が重なった
宝石のような翡翠の瞳と…
視線を絡めて
私の手よりも随分と大きな手に
指を絡めて
吐息さえ逃がさぬように…
舌先を絡めて
まるで二人はもともと一つだったみたいに、ぴったり寄り添い合う。
『私、…悪い女なのかもしれない…』
「ほぉ……それは面白い。ヒロインの悪い女っぷりを知りたいな」
『心に空いた穴を……貴方で、埋めようとしてるんだよ?』
「それのどこが悪い?俺で傷が塞がるなら、いくらでも上書きすればい。もし、辛い記憶に耐えられなくなって、ヒロインが忘れたければ……俺が、忘れさせてやろう…」
なんて甘美な、その言葉。
中毒になってしまいそう。
『…傷口が、全部塞がった後も、……赤井さんとの記憶で、いっぱいにして、欲しい……』
「フッ……喜んで。」
その優しさと、腕の温もりに包まれて
私は身を委ねた。
ーfinー
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