甘い毒 [降谷零]
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ー甘い毒ー
仕事も、まぁ順調な方で、休みの日には実家に帰ったり友達と出掛けたりして、そこそこ充実した日々を送っていたと思う。
そこに色めいたものは何もないけれど。
「ねぇ、あんたもそろそろイイ人いないの?」
ニヤニヤしながら聞いてくる母にいつも通り『いないいない』と軽く返しながら、ふと思い浮かべるのは...一人だけ。
零ちゃん...
今頃、何してるんだろう?
警察官になるって言ってたから、きっと頑張ってるんだろうなぁ...
記憶の中の零ちゃんは、いつも自信満々で、お喋りが好きで、でも聞き上手で、優しくて、かっこよくて...
大好きだった。
だった、なんて過去形にしてるけど、未だに気持ちの整理が出来てないあたり、まだ...すき、なんだと思う。
でも、スマホに登録してる連絡先も、まだ繋がるかどうかなんてわからないし、探そうったって、どこにいるのかもわからないし...
そもそも、今更会ってどうするって言うんだろう。
だって、...私から、別れようって言って、離れたのに。
『なのに!未だに全然気持ちが薄れてないって、どういう事よーーー!!』
クッションに頭突っ込んで叫ぶ私は、きっと端から見れば異常だ。でも大丈夫、一人暮らしの部屋の中だから、クッションから聞こえる私の小さな叫びなんて誰も聞いてないんだから。
かっこよくて、いつも私を一番に考えてくれるような、優しくて素敵な恋人。
何も不満なんて、なかった。
でも、恋人がいるってわかってても、近付いてくる女の子もいたし、外で声を掛けられて誘われてる光景だって、何度も見てて。
勿論零ちゃんは、全て断ってたけれど...そんな光景を目にして、いつか零ちゃんに八つ当たりしたりするのが、怖くて、自信も、なくて...嫉妬に染まった自分を見られたくなくて、私は零ちゃんから、逃げた。
重たい女だと思われたくなくて、大丈夫だと、何でもないと嘘をついて、
気付いた時には嫉妬の渦に飲まれて、抜け出せなくなってた。
『ごめんなさい、別れて下さい。』って、理由を聞かれても、何も言えなくて、溢れてくる涙も拭わずに
名前を呼ばれても、振り返ることなく、逃げた。
『それっきり、だったなぁ...』
引っ越し先も教えてなかったし、私の方は携帯の紛失を理由に番号まで変えたから、私と零ちゃんを繋ぐものは、何もなくなった。
たぶん、いつか私よりも素敵な人に出会って、私が邪魔になるんじゃないか、とか、捨てられるんじゃないか、なんて怖かったんだと思う。
ずっと私だけを好きでいてくれる保証なんてどこにもないし、人の心なんて、変わってしまったらどうにもならないってこと、知ってるから...。
いつも真っ直ぐに見つめてくれていた、綺麗な青から、目を背けたかった
『零ちゃん、私の事、憎んでるかな』
いや、それとも、私の事なんてもう記憶にないかもしれない。そんな女いたかな?程度にしか残ってないかも。
だとしても、
『でも流石に、もう会うこともない、か...』
そろそろ、未練も何もかも断ち切って、前に進まないと。そう口に出して言ってみても、やっぱり記憶の中の彼の笑顔が胸を締め付けた。
『はぁ...普段考え事しないのに考え込んだりするから、お腹すいた』
冷蔵庫の中を確認したら、空っぽ。
そういえば、昨日使いきっちゃったんだったっけ。
『取り敢えず、何か食べに行って...買い物して帰ろ』
もう会うことはないだろう
その筈だったのに
仕事も、まぁ順調な方で、休みの日には実家に帰ったり友達と出掛けたりして、そこそこ充実した日々を送っていたと思う。
そこに色めいたものは何もないけれど。
「ねぇ、あんたもそろそろイイ人いないの?」
ニヤニヤしながら聞いてくる母にいつも通り『いないいない』と軽く返しながら、ふと思い浮かべるのは...一人だけ。
零ちゃん...
今頃、何してるんだろう?
警察官になるって言ってたから、きっと頑張ってるんだろうなぁ...
記憶の中の零ちゃんは、いつも自信満々で、お喋りが好きで、でも聞き上手で、優しくて、かっこよくて...
大好きだった。
だった、なんて過去形にしてるけど、未だに気持ちの整理が出来てないあたり、まだ...すき、なんだと思う。
でも、スマホに登録してる連絡先も、まだ繋がるかどうかなんてわからないし、探そうったって、どこにいるのかもわからないし...
そもそも、今更会ってどうするって言うんだろう。
だって、...私から、別れようって言って、離れたのに。
『なのに!未だに全然気持ちが薄れてないって、どういう事よーーー!!』
クッションに頭突っ込んで叫ぶ私は、きっと端から見れば異常だ。でも大丈夫、一人暮らしの部屋の中だから、クッションから聞こえる私の小さな叫びなんて誰も聞いてないんだから。
かっこよくて、いつも私を一番に考えてくれるような、優しくて素敵な恋人。
何も不満なんて、なかった。
でも、恋人がいるってわかってても、近付いてくる女の子もいたし、外で声を掛けられて誘われてる光景だって、何度も見てて。
勿論零ちゃんは、全て断ってたけれど...そんな光景を目にして、いつか零ちゃんに八つ当たりしたりするのが、怖くて、自信も、なくて...嫉妬に染まった自分を見られたくなくて、私は零ちゃんから、逃げた。
重たい女だと思われたくなくて、大丈夫だと、何でもないと嘘をついて、
気付いた時には嫉妬の渦に飲まれて、抜け出せなくなってた。
『ごめんなさい、別れて下さい。』って、理由を聞かれても、何も言えなくて、溢れてくる涙も拭わずに
名前を呼ばれても、振り返ることなく、逃げた。
『それっきり、だったなぁ...』
引っ越し先も教えてなかったし、私の方は携帯の紛失を理由に番号まで変えたから、私と零ちゃんを繋ぐものは、何もなくなった。
たぶん、いつか私よりも素敵な人に出会って、私が邪魔になるんじゃないか、とか、捨てられるんじゃないか、なんて怖かったんだと思う。
ずっと私だけを好きでいてくれる保証なんてどこにもないし、人の心なんて、変わってしまったらどうにもならないってこと、知ってるから...。
いつも真っ直ぐに見つめてくれていた、綺麗な青から、目を背けたかった
『零ちゃん、私の事、憎んでるかな』
いや、それとも、私の事なんてもう記憶にないかもしれない。そんな女いたかな?程度にしか残ってないかも。
だとしても、
『でも流石に、もう会うこともない、か...』
そろそろ、未練も何もかも断ち切って、前に進まないと。そう口に出して言ってみても、やっぱり記憶の中の彼の笑顔が胸を締め付けた。
『はぁ...普段考え事しないのに考え込んだりするから、お腹すいた』
冷蔵庫の中を確認したら、空っぽ。
そういえば、昨日使いきっちゃったんだったっけ。
『取り敢えず、何か食べに行って...買い物して帰ろ』
もう会うことはないだろう
その筈だったのに
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