第一章 始まり
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一般企業のOLとして無事就職した私は、妹を見送った後会社へと出掛ける。
いつも通る河川敷のそば。今の季節はそこの桜並木がとても綺麗で私のお気に入りスポットだったりする。
自転車で爽やかな風邪を感じながらスースーと漕いで行くと、河川敷の土手に座り込み一心不乱に手元のキャンバスに絵を描いている人がいた。
「(絵描きさん…?今どき珍しいなぁ…どんな絵を描いてるんだろ…)」
思わず自転車を漕いでいた足を止め、どうにかその人の絵が見えないか、その場でその人の絵を覗き込んでみる。…いや、さすがにダメだよな。どうしようバレたりしてプライバシーの侵害だ!なんて言われたら…
「(うん、やっぱり覗き込むのは止めよう)」
そう思い、前を向こうとした瞬間その人がぱっと後ろを振り返り、ぱちりと目が合ってしまった。
「…?」
「あ、あっ、あの…す、すみません!!別に覗き込もうとか、そんな!!」
うわぁぁ、どうしよ!思いっきり覗き込もうとしてたのバレたよね!?と、焦っていると、その人はふにゃ、と笑って
「お仕事は、時間大丈夫?」
「…へ?」
「何の仕事か分かんねぇけど、時間あるならこそこそしないで堂々と見りゃいいじゃん」
俺は大歓迎だよ
ふにゃ、と笑って言うその人に私は初めて「ああ、これが一目惚れなんだ」ってストンと胸に落ちてきた。
「は、はい!全然大丈夫です!!」
「んふふ、すげぇいい返事」
じゃあ、どうぞ?と新聞を拡げて、キャンバスが見えるように座る場所を用意してくれた所に座って絵を眺める。
「うわぁ…すごい…」
そこにはいつも見ているはずの景色が切り取られて描かれていた。
思わずそのキラキラとした絵に吸い込まれるようにして魅入ってしまう。こんなに素敵な絵を描けるなんて…
「すごいですね…こんなに素敵に描けるなんて…」
「あんがと。…俺あんまり風景画とかって描かないからそうやって言われっと嬉しい。」
そう笑って言う男の人。…何かこの人、成瀬さんに似てる…
思わず成瀬さんが筆を手にあーでもない、こーでもないと絵を描く姿を思い浮かべ…ないか。成瀬さんが絵描きは似合わないや。
思わずくすっ、と笑うと「お、いい顔。」と男の人に言われる。
「え?」
「んにゃ、だってさっきすんげぇ緊張した顔してたのにさ」
やっぱ女の子は笑顔がかわいーね。
んふふ、なんて笑う顔が優しくて。
ああ、私恋をしたんだ。ってこの時改めて思ったんだ。
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