五月雨、恋催い
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彼の部屋は、思っていたよりもシンプルで、落ち着いた空間だった。
たしかに着飾るような人ではないけど…
家具は最低限。余計なものがなくて、無駄に生活感を出すこともない。
だけど、玄関で靴を脱いで入るとほんのりと柔軟剤の香りがして静かに息が抜けた。
「こっち、どうぞ」
ぼーっと立っているところを促されてリビングに入ると、すぐにタオルを差し出してくれる。
ふかふかで、それを濡れた顔に当てた瞬間、やっと生きてる心地がした。
「俺の妹の服がたしか、あったと思います」
豪炎寺くんは奥の部屋のクローゼットを開けて、器用に服をかき分けながら探している。
「妹さん?」
「前はたまに泊まりに来てたんですけど、 最近はめっきり、友達の家に行くことが多くて」
「そっかぁ」
少し遠慮しながらも、彼の背中を見つめた。
私は一人っ子だったから、妹とそういう関係なのってなんだかいいな、と思った。
「これ…どうですか。サイズ、合いそうですけど」
彼が差し出してくれたのは、シンプルなTシャツとさりげなくリボンのついたスウェットパンツ。
派手じゃないけど、ちょっと可愛らしさもあって、妹さんの雰囲気がなんとなく伝わる。
「かわいい。いいの?」
「しばらく来ないだろうし、大丈夫ですよ」
「ありがとう」
「良かったら、お風呂、使ってください」
「…うん、じゃあ借りるね」
脱衣所に入ってドアを閉めて、私は改めて鏡に映る自分を見つめた。
濡れてまとわりついた髪。
まつ毛にくっついた雨粒。
その下の、ほんの少しだけ赤くなった目。
この顔を見られたんだって思うと気恥ずかしくて、視線を逸らした。
「私、だめだなあ」
誰もいないのに、静かにこぼれた声。
また泣きそうになってる自分に気がついてふるふると首を振って考えるのをやめた。
スカートのホックを外して、ぐしょ濡れの服を脱いでいく。
そのとき、ふと、腕の内側に薄く残る痣に目が留まる。
嫌な記憶がぶり返して来そうで、一気に服を脱ぎ捨て、シャワーのノブをひねった。
お湯が背中を、髪を伝って、身体の冷たさを少しずつ流す。
やわらかい熱が体にじんわり染み込んでいく。
屋根のある場所で、お風呂に入れるのってこんなに幸せなんだ。
このまま、このお湯に溶けてしまってもいいかもしれない。
そう、妄想にふけってボディーソープを手に取った。
たしかに着飾るような人ではないけど…
家具は最低限。余計なものがなくて、無駄に生活感を出すこともない。
だけど、玄関で靴を脱いで入るとほんのりと柔軟剤の香りがして静かに息が抜けた。
「こっち、どうぞ」
ぼーっと立っているところを促されてリビングに入ると、すぐにタオルを差し出してくれる。
ふかふかで、それを濡れた顔に当てた瞬間、やっと生きてる心地がした。
「俺の妹の服がたしか、あったと思います」
豪炎寺くんは奥の部屋のクローゼットを開けて、器用に服をかき分けながら探している。
「妹さん?」
「前はたまに泊まりに来てたんですけど、 最近はめっきり、友達の家に行くことが多くて」
「そっかぁ」
少し遠慮しながらも、彼の背中を見つめた。
私は一人っ子だったから、妹とそういう関係なのってなんだかいいな、と思った。
「これ…どうですか。サイズ、合いそうですけど」
彼が差し出してくれたのは、シンプルなTシャツとさりげなくリボンのついたスウェットパンツ。
派手じゃないけど、ちょっと可愛らしさもあって、妹さんの雰囲気がなんとなく伝わる。
「かわいい。いいの?」
「しばらく来ないだろうし、大丈夫ですよ」
「ありがとう」
「良かったら、お風呂、使ってください」
「…うん、じゃあ借りるね」
脱衣所に入ってドアを閉めて、私は改めて鏡に映る自分を見つめた。
濡れてまとわりついた髪。
まつ毛にくっついた雨粒。
その下の、ほんの少しだけ赤くなった目。
この顔を見られたんだって思うと気恥ずかしくて、視線を逸らした。
「私、だめだなあ」
誰もいないのに、静かにこぼれた声。
また泣きそうになってる自分に気がついてふるふると首を振って考えるのをやめた。
スカートのホックを外して、ぐしょ濡れの服を脱いでいく。
そのとき、ふと、腕の内側に薄く残る痣に目が留まる。
嫌な記憶がぶり返して来そうで、一気に服を脱ぎ捨て、シャワーのノブをひねった。
お湯が背中を、髪を伝って、身体の冷たさを少しずつ流す。
やわらかい熱が体にじんわり染み込んでいく。
屋根のある場所で、お風呂に入れるのってこんなに幸せなんだ。
このまま、このお湯に溶けてしまってもいいかもしれない。
そう、妄想にふけってボディーソープを手に取った。