彼らの始まり青春の終わり
「…あっ。そうか今日は満月か。」
誰もいない部屋でひとりポツリと呟いた
それに答えるように廊下から子供の走るような音がする
廊下を見ても何もいない
多分それは見えないなにかが走る音
昔から聞こえる不思議な音
俺は見えないものは信じない
だからそれは廊下の軋む音
満月だし、折角だからおつまみでも持ってきて縁側で月見酒でもしようか
酒と言っても米麹で作ったアルコール度数の少ないソフトドリンクに入るくらいの甘酒だ
昔から満月の日には甘酒を呑むと言う事を欠かさなかった
そう言えば昨日安売りしてた甘酒に合いそうなみたらし団子買ったっけ?
冷蔵庫見て来ないと
「さむっ…」
5月上旬はまだ肌寒いのにも関わらずお気に入りの肩出しファッションで家を彷徨いている俺は普通に馬鹿なのかもしれない
キッチンにあるちゃんちゃんこでも着よう
花が散り始め緑が見え始めている桜の木が見える縁側に、用意したものを並べる
家の庭は昔からのお気に入り
そんな事を考えながら、自分で入れた甘酒を一気に飲み込んだ
「…!?」
左目に激痛が走り思わず盃を離し、目を抑える
「なにこれ…」
左目を抑えていた手を離し見てみる
赤い紅い痛い
涙の様に俺の頬を伝う紅いもの
時折襲ってくる激痛に耐えながら、小さく縮こまっていた
「終わった…?」
そう絞り出した言葉に答えるように、強い風が吹く
「え…?」
顔を上げるとさっきまで緑が見えていた桜が、春先の満開に咲いている桜になっていた
俺の好きな庭は、水で満たされている
いや満たされてるだけじゃなくて、無かった花が咲いている
「…意味わかんない…これ…夢?」
でも左目はチクチクと痛む
「竜蛇様大丈夫かな?」
「大丈夫だよ!!竜蛇様は僕らの主なんだから!!」
子供の声?
「誰…?」
部屋の中を目を凝らしてみる
着物を着た幼児の男の子と女の子がこちらを心配そうに、見つめている
「竜蛇様…僕達の声聞こえるの?」
「そんな訳ないよ!!だってうち達妖怪だよ?大きくなったら見えなくなるって鈴彦様も言ってたもん。」
妖怪?
この子供達は何を言ってるんだ?
しかも鈴彦って…俺の苗字だし…
意を決して子供たちに声を掛ける
「…居るんだろ?」
そう語りかけると、子供達は同時に驚いた声を上げたかと思うと、こちらにドタドタと走って来て勢い良く俺に飛びついた
「竜蛇様!!僕らが見えるんですね!!」
「もうこの先ずっと見てもらえないのかと思ってた!!」
急展開が過ぎて本当に意味が分からない
赤い着物を着た女の子は、俺に抱きつきながら涙ぐんでるし、青い着物の男の子は満面の笑みでこちらを見つめている
「えっと…待って…とりあえずタオルで目拭きたいから…」
そう言うと、2人は顔を見合わせて勢い良くどこかへと走っていったかと思えば、すぐ戻って来てタオルを差し出した
「あ…ありがとう…」
「〜〜!!凄い!!僕達竜蛇様の手助けしても気味悪がられないね!!」
「うん!!いつも凄い変な顔で見られてたもん!!」
そう言えば前に口に出した事をしようと思って、いざその場に向かうともう終わってたり…と言う事が多かった
そうか…こいつらがしてたのか…
俺は、はしゃいでいる2人を横目にふらふらしながら目を確認するために洗面台へと足を向ける
目眩がして上手く歩けない
少し休もうと襖にてを掛ける
すると指先にぬるっとした感触がして何かと思い襖を見る
「ひっ…!!」
襖いっぱいの目が広がっていた
普段見られることのない光景に足が竦む
なにこれと頭の中で自問自答を繰り返していると自動に襖が空いた
それと同時に目が閉じられる
俺が怖いと思ってる事を察した…?
「あっ…ありがとう…」
壁に手を付きながらやっとの思いで洗面所につく
まず血を洗い流さないとと思い左目を水で濡らす
勿論のこと、流れていく水は真っ赤に染まっていた
何回も洗って赤も薄れてきた位、鏡を覗き込む
「…もう…そう言うの冗談じゃ済まされないって…」
左目は青色から赤色へと変色していた
誰もいない部屋でひとりポツリと呟いた
それに答えるように廊下から子供の走るような音がする
廊下を見ても何もいない
多分それは見えないなにかが走る音
昔から聞こえる不思議な音
俺は見えないものは信じない
だからそれは廊下の軋む音
満月だし、折角だからおつまみでも持ってきて縁側で月見酒でもしようか
酒と言っても米麹で作ったアルコール度数の少ないソフトドリンクに入るくらいの甘酒だ
昔から満月の日には甘酒を呑むと言う事を欠かさなかった
そう言えば昨日安売りしてた甘酒に合いそうなみたらし団子買ったっけ?
冷蔵庫見て来ないと
「さむっ…」
5月上旬はまだ肌寒いのにも関わらずお気に入りの肩出しファッションで家を彷徨いている俺は普通に馬鹿なのかもしれない
キッチンにあるちゃんちゃんこでも着よう
花が散り始め緑が見え始めている桜の木が見える縁側に、用意したものを並べる
家の庭は昔からのお気に入り
そんな事を考えながら、自分で入れた甘酒を一気に飲み込んだ
「…!?」
左目に激痛が走り思わず盃を離し、目を抑える
「なにこれ…」
左目を抑えていた手を離し見てみる
赤い紅い痛い
涙の様に俺の頬を伝う紅いもの
時折襲ってくる激痛に耐えながら、小さく縮こまっていた
「終わった…?」
そう絞り出した言葉に答えるように、強い風が吹く
「え…?」
顔を上げるとさっきまで緑が見えていた桜が、春先の満開に咲いている桜になっていた
俺の好きな庭は、水で満たされている
いや満たされてるだけじゃなくて、無かった花が咲いている
「…意味わかんない…これ…夢?」
でも左目はチクチクと痛む
「竜蛇様大丈夫かな?」
「大丈夫だよ!!竜蛇様は僕らの主なんだから!!」
子供の声?
「誰…?」
部屋の中を目を凝らしてみる
着物を着た幼児の男の子と女の子がこちらを心配そうに、見つめている
「竜蛇様…僕達の声聞こえるの?」
「そんな訳ないよ!!だってうち達妖怪だよ?大きくなったら見えなくなるって鈴彦様も言ってたもん。」
妖怪?
この子供達は何を言ってるんだ?
しかも鈴彦って…俺の苗字だし…
意を決して子供たちに声を掛ける
「…居るんだろ?」
そう語りかけると、子供達は同時に驚いた声を上げたかと思うと、こちらにドタドタと走って来て勢い良く俺に飛びついた
「竜蛇様!!僕らが見えるんですね!!」
「もうこの先ずっと見てもらえないのかと思ってた!!」
急展開が過ぎて本当に意味が分からない
赤い着物を着た女の子は、俺に抱きつきながら涙ぐんでるし、青い着物の男の子は満面の笑みでこちらを見つめている
「えっと…待って…とりあえずタオルで目拭きたいから…」
そう言うと、2人は顔を見合わせて勢い良くどこかへと走っていったかと思えば、すぐ戻って来てタオルを差し出した
「あ…ありがとう…」
「〜〜!!凄い!!僕達竜蛇様の手助けしても気味悪がられないね!!」
「うん!!いつも凄い変な顔で見られてたもん!!」
そう言えば前に口に出した事をしようと思って、いざその場に向かうともう終わってたり…と言う事が多かった
そうか…こいつらがしてたのか…
俺は、はしゃいでいる2人を横目にふらふらしながら目を確認するために洗面台へと足を向ける
目眩がして上手く歩けない
少し休もうと襖にてを掛ける
すると指先にぬるっとした感触がして何かと思い襖を見る
「ひっ…!!」
襖いっぱいの目が広がっていた
普段見られることのない光景に足が竦む
なにこれと頭の中で自問自答を繰り返していると自動に襖が空いた
それと同時に目が閉じられる
俺が怖いと思ってる事を察した…?
「あっ…ありがとう…」
壁に手を付きながらやっとの思いで洗面所につく
まず血を洗い流さないとと思い左目を水で濡らす
勿論のこと、流れていく水は真っ赤に染まっていた
何回も洗って赤も薄れてきた位、鏡を覗き込む
「…もう…そう言うの冗談じゃ済まされないって…」
左目は青色から赤色へと変色していた
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