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最近見なくなった"肩幅"くん。合同深夜練の折に東工の子にちらと聞いたところ、どうももうダンスサークルの方には殆ど顔を出していないらしい。
「ええー、次のショーケースもまた一緒にできると思ってたのに」
「んー、なんかクイズ?が好きみたいでそっちの方頑張ってるみたい。あと、…伊沢拓司、って知ってる?」
「いざ…?誰?」
「えーとね」
曰く、高校生クイズとやらに出ていた凄いクイズプレイヤーらしい。その子とwebメディアを立ち上げて色々と活動し始めたとのこと。
休憩時間、彼に教えられた団体名をyoutubeで検索して、久しぶりに"肩幅"くんの声を聞いた。
懐かしさと恋しさに浸っていると、誰かの煙草の香りが鼻腔を突くもんだから、その気持ちがぐっと増す。
確かに、ダンスサークルらしからぬ人ではあったけどなあ。なんて思いながら、複雑な気持ちを掻き消すようにこめかみから流れる汗を拭うしか出来なかった。
-
「青ちゃん、肩幅来てるよ」
「…え?」
あれから数週間後の合同練、先日福良くんのことを教えてくれた彼が私に耳打ちをした。
…休憩時間、久しぶりの横顔を見つけて声を掛ける。
「福良くん、」
「あ、青ちゃん。」
いつもの柔らかい笑みを浮かべる彼をみて、心が踊る。もう来ないのかと思った、と笑うと、肩幅…もとい、福良くんはほんの少し困ったような顔になってしまって。嗚呼これはきっと、もう来ない、って顔だ。
「…次のショーケースも、出ない?」
「うん、今日はだから、最後の…挨拶がてら…」
「そ、っか」
言葉の最後を濁し、眉を下げて笑う福良くんに合わせて私もぎこちない笑みを浮かべた。
「…あ、あと」
「ん?」
「…青ちゃんが会いたがってるってアイツから聞いたから」
沈みかけた雰囲気を救うような意地悪な声。福良くんの向こう側、サムズアップをして笑う彼に愛を込めて冷たい視線を送る。
「…そんなこと言ってたの?」
「あれ、もしかしてアイツの嘘?」
「や、嘘、じゃないけど~」
俺ら先戻るよ!という声に対して福良くんと私は軽く右手を上げて合図を送る。そうすれば講義棟の裏、2人きり。
「…辞めちゃうんだね」
「ん、まあ」
「なんか、見たよ。youtube」
「え?!もう?なんか恥ずかしいな」
細い目をさらに細くして照れたように笑う福良くんを見ると、胸がちくりと痛んだ。私はやっぱりこの人に恋をしている、らしい。
「面白かった。あれで頑張っていくんだよね?」
「まあ、そうかな?色々やっていくつもりではあるけど」
「そ、っか。応援してる。」
「…ありがと」
その声色に不意に切なさが込み上げ、思わず視線を逸らす。
…私達の唯一の繋がりは、今日で終わるのだ。
「俺、別に挨拶とかせずに辞めようかな、って思ってたの」
まあサークル長くらいには直接、と思ってたけど。急に呟いた福良くんの方を向くと、今度は福良くんがどこか遠くを見ていて。
「…でも、実は、青ちゃんにだけはちょっと会いたいな、って思ってて」
まあでも、ダンスしないつもりなのに顔出すのもな、なんて渋ってたら…青ちゃんが俺に会いたがってた、なんて聞いちゃって。といつもよりほんの少し早口に紡ぐ福良くん。
「だから…迷惑じゃ、なかったらでいいんだけど。」
やっと私を捕らえた、柔らかい眼差し。
「連絡先…教えてほしいな。」
予想だにしなかった展開に、すっかり置いてけぼりの頭。…だめ?と首を傾げられて我に還る。
「や、…むしろ、いい、の?」
「…ふふ、ほんとに俺に会いたがってたくれてたんだね?」
そんな意地悪を言うくせに、その顔には隠しきれない照れの色、と…これは私の思い込みかもしれないが…喜びの色が浮かぶ。
「これからもっと仲良くなれるって、期待していい…かな?」
その言葉と瞳に、甘い目眩。
「も、もちろん!」
「…ふふ、よかった。これからも、よろしくね?」
差し出された右手、答えるようにそっと自分の右手を差し出すと、思っていたよりも男らしく暖かい手が私を包み込み、心臓が一気に高鳴る。
柔らかい夏の風と、彼の掌の温もり。
…多分、今日のことは、暫く忘れられそうにない。
# ショーケースはこれから
(で、俺が青ちゃんにめちゃくちゃアタックして付き合って、結局QuizKnockにまで引き込んで今に至る感じ)
(狙った獲物は逃がさない…怖いねえ福良は。)
(えーなに?呼んだ?)
(ううん、可愛い彼女との馴れ初めを思い出してたの)
(あ、なーんか怖い顔してる。河村くん、ほんと?)
(まあ、…嘘ではない)
「ええー、次のショーケースもまた一緒にできると思ってたのに」
「んー、なんかクイズ?が好きみたいでそっちの方頑張ってるみたい。あと、…伊沢拓司、って知ってる?」
「いざ…?誰?」
「えーとね」
曰く、高校生クイズとやらに出ていた凄いクイズプレイヤーらしい。その子とwebメディアを立ち上げて色々と活動し始めたとのこと。
休憩時間、彼に教えられた団体名をyoutubeで検索して、久しぶりに"肩幅"くんの声を聞いた。
懐かしさと恋しさに浸っていると、誰かの煙草の香りが鼻腔を突くもんだから、その気持ちがぐっと増す。
確かに、ダンスサークルらしからぬ人ではあったけどなあ。なんて思いながら、複雑な気持ちを掻き消すようにこめかみから流れる汗を拭うしか出来なかった。
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「青ちゃん、肩幅来てるよ」
「…え?」
あれから数週間後の合同練、先日福良くんのことを教えてくれた彼が私に耳打ちをした。
…休憩時間、久しぶりの横顔を見つけて声を掛ける。
「福良くん、」
「あ、青ちゃん。」
いつもの柔らかい笑みを浮かべる彼をみて、心が踊る。もう来ないのかと思った、と笑うと、肩幅…もとい、福良くんはほんの少し困ったような顔になってしまって。嗚呼これはきっと、もう来ない、って顔だ。
「…次のショーケースも、出ない?」
「うん、今日はだから、最後の…挨拶がてら…」
「そ、っか」
言葉の最後を濁し、眉を下げて笑う福良くんに合わせて私もぎこちない笑みを浮かべた。
「…あ、あと」
「ん?」
「…青ちゃんが会いたがってるってアイツから聞いたから」
沈みかけた雰囲気を救うような意地悪な声。福良くんの向こう側、サムズアップをして笑う彼に愛を込めて冷たい視線を送る。
「…そんなこと言ってたの?」
「あれ、もしかしてアイツの嘘?」
「や、嘘、じゃないけど~」
俺ら先戻るよ!という声に対して福良くんと私は軽く右手を上げて合図を送る。そうすれば講義棟の裏、2人きり。
「…辞めちゃうんだね」
「ん、まあ」
「なんか、見たよ。youtube」
「え?!もう?なんか恥ずかしいな」
細い目をさらに細くして照れたように笑う福良くんを見ると、胸がちくりと痛んだ。私はやっぱりこの人に恋をしている、らしい。
「面白かった。あれで頑張っていくんだよね?」
「まあ、そうかな?色々やっていくつもりではあるけど」
「そ、っか。応援してる。」
「…ありがと」
その声色に不意に切なさが込み上げ、思わず視線を逸らす。
…私達の唯一の繋がりは、今日で終わるのだ。
「俺、別に挨拶とかせずに辞めようかな、って思ってたの」
まあサークル長くらいには直接、と思ってたけど。急に呟いた福良くんの方を向くと、今度は福良くんがどこか遠くを見ていて。
「…でも、実は、青ちゃんにだけはちょっと会いたいな、って思ってて」
まあでも、ダンスしないつもりなのに顔出すのもな、なんて渋ってたら…青ちゃんが俺に会いたがってた、なんて聞いちゃって。といつもよりほんの少し早口に紡ぐ福良くん。
「だから…迷惑じゃ、なかったらでいいんだけど。」
やっと私を捕らえた、柔らかい眼差し。
「連絡先…教えてほしいな。」
予想だにしなかった展開に、すっかり置いてけぼりの頭。…だめ?と首を傾げられて我に還る。
「や、…むしろ、いい、の?」
「…ふふ、ほんとに俺に会いたがってたくれてたんだね?」
そんな意地悪を言うくせに、その顔には隠しきれない照れの色、と…これは私の思い込みかもしれないが…喜びの色が浮かぶ。
「これからもっと仲良くなれるって、期待していい…かな?」
その言葉と瞳に、甘い目眩。
「も、もちろん!」
「…ふふ、よかった。これからも、よろしくね?」
差し出された右手、答えるようにそっと自分の右手を差し出すと、思っていたよりも男らしく暖かい手が私を包み込み、心臓が一気に高鳴る。
柔らかい夏の風と、彼の掌の温もり。
…多分、今日のことは、暫く忘れられそうにない。
# ショーケースはこれから
(で、俺が青ちゃんにめちゃくちゃアタックして付き合って、結局QuizKnockにまで引き込んで今に至る感じ)
(狙った獲物は逃がさない…怖いねえ福良は。)
(えーなに?呼んだ?)
(ううん、可愛い彼女との馴れ初めを思い出してたの)
(あ、なーんか怖い顔してる。河村くん、ほんと?)
(まあ、…嘘ではない)