ko-chan
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「青さん」
「…はい」
「問題です」
「なんでしょう…」
「酒は飲んでも?」
「飲まれるな…です…」
航平は項垂れるわたしを見つめてもう…と小さく呟く。反射的にすみませんと溢すと、こめかみを押さえながら深いため息をひとつおまけしてくるあたり、相当呆れているらしい。
「俺はね、泥酔した先輩を介抱するマシンじゃないんですよ?」
「すんません…」
「第一、どんだけ気心の知れた人でも男の人と飲んでそんな風になるのはよくないって俺何回言いました?」
もともと酒は強い方だ。けれど伊沢、福良、河村あたりと飲むとどうもいつも酔っ払ってしまう。その上2-3軒目辺りで航平を呼び出し、毎回航平の家に上がってはひと暴れして寝る…らしい。ちなみに全員うろ覚えなのでこの辺は全部航平から聞いた話だ。
「そんなんだから彼氏できないんですよ、ほんと」
航平はコトンとダイニングテーブルに冷たい麦茶を出してまたため息。私はすいませんbotと化して、小さく頭を下げてそれを受け取った。
「で、青さん。今回の約束覚えてますよね?」
「はい…なんでも言うこと聞きます…」
次またやったら俺の言うことなんでも聞いてもらいますからね!という約束をした(らしい履歴がメッセージアプリに残っていた)ため、クイズノック業務が休みの本日意を決して彼の家に来たわけだけれど。
(…素面で家上がんの、初めてかもしれないな)
失礼なことを思いながら、整頓された彼の部屋を一度見渡す。何度か目覚めをここで迎えたことはあるが、起き抜けベッド越しに床で寝ている航平を見つめるシーンしか覚えていない(、ごめん。そしていつもベッド譲ってくれてありがとう。)
「…随分余裕があるみたいですね」
「ヒッ、すみませ…」
辺りを見渡すわたしに釘を刺すように航平が言葉を紡ぐ。
「マジなんでもしますから、ほんと!」
両の手を顔の前で合わせて、本日何度目かのすみませんを溢す。
「じゃ、来てください」
「は、ぇ…?」
「言うこと聞くんでしょ」
「…はい」
いつもの笑みを一切浮かべない航平に連れられたのは、何度かお邪魔した寝室だった。訳もわからずそこに立ち尽くすわたしを見つめながら、航平はベッドの淵に腰掛ける。
「ここ、座ってください」
言われて、恐る恐る腰掛ける。
「青さん、」
「な、っ…」
航平がこちらを見た瞬間、背中に走る柔らかいベッドの感触。そして彼の向こう側に見えるものは、壁から天井になっていて。
「え、ちょ、こうへっ、」
「黙って」
航平は、真剣な眼差しのまま言葉を制す。
「言うこと、聞くんでしょ」
「や、でも」
好きな人とこんな関係になってしまうのはちょっと…!なんて乙女な感情が頭を過るが、記憶無くとも泥酔して家に上がっているわたしが言えたもんじゃない。けれど、でも、と焦るわたしとは裏腹、航平はゆっくりと言葉を紡いだ
「…俺がずっと心配してるのは、こう言うことなんです」
「…航平?」
彼の眼差しの奥に灯るものは、怒りではなく切なさと不安で、思わずごくりと唾を飲む。
「酔って…こう言う風に青さんが誰かに襲われたりしたら、すっごくヤなんです。俺は、本当に心配してるんです。」
一片の曇りもないその眼差しと言葉に、胸が締め付けられる。
「…酒は飲んでも飲まれるな、です。次は本当に…襲いますからね」
ほんの少し照れを孕んだ言葉と共に、私の上から退く航平。釣られるように起き上がったわたしは、その腕を…気づけば無意識に掴んでいて。
「…こう、へい」
「…冗談ですし、別に言うこと聞くみたいなのも本気にしなくていいですから」
「でも、」
(相変わらず呆れた声と表情なのに、そっぽ向いたその耳が赤いのはずるくない?)
「…そうやって酔うと人のこと誘ってるんですか?」
「今日は素面…だから」
「じゃあ、」
「航平」
わたしは彼の腕を引き寄せて、唇が触れる直前まで顔を寄せる。
(そんな顔、されたら)
「…期待、しちゃうよ」
飾らない、素直な感情が言葉になり溢れた瞬間、苦しそうな切なそうな、けれど愛の篭った眼差しがわたしを捕らえた。
「もう、…知りませんから」
噛み付くようなキスと共にベッドにもう一度雪崩れ込む。素直じゃない言葉を皮切りに、私たち2人のはじめてが、始まる。
# アルコールより君に溺れて
(…もー!なんであんなこと言うんですか!)
(だって…嬉しいこというから…)
(ちゃんと告白してからにしようと思ってたのに…!)
(じゃ、今してくれてもいーよ?)
(…考えときます!)
(航平~!)
「…はい」
「問題です」
「なんでしょう…」
「酒は飲んでも?」
「飲まれるな…です…」
航平は項垂れるわたしを見つめてもう…と小さく呟く。反射的にすみませんと溢すと、こめかみを押さえながら深いため息をひとつおまけしてくるあたり、相当呆れているらしい。
「俺はね、泥酔した先輩を介抱するマシンじゃないんですよ?」
「すんません…」
「第一、どんだけ気心の知れた人でも男の人と飲んでそんな風になるのはよくないって俺何回言いました?」
もともと酒は強い方だ。けれど伊沢、福良、河村あたりと飲むとどうもいつも酔っ払ってしまう。その上2-3軒目辺りで航平を呼び出し、毎回航平の家に上がってはひと暴れして寝る…らしい。ちなみに全員うろ覚えなのでこの辺は全部航平から聞いた話だ。
「そんなんだから彼氏できないんですよ、ほんと」
航平はコトンとダイニングテーブルに冷たい麦茶を出してまたため息。私はすいませんbotと化して、小さく頭を下げてそれを受け取った。
「で、青さん。今回の約束覚えてますよね?」
「はい…なんでも言うこと聞きます…」
次またやったら俺の言うことなんでも聞いてもらいますからね!という約束をした(らしい履歴がメッセージアプリに残っていた)ため、クイズノック業務が休みの本日意を決して彼の家に来たわけだけれど。
(…素面で家上がんの、初めてかもしれないな)
失礼なことを思いながら、整頓された彼の部屋を一度見渡す。何度か目覚めをここで迎えたことはあるが、起き抜けベッド越しに床で寝ている航平を見つめるシーンしか覚えていない(、ごめん。そしていつもベッド譲ってくれてありがとう。)
「…随分余裕があるみたいですね」
「ヒッ、すみませ…」
辺りを見渡すわたしに釘を刺すように航平が言葉を紡ぐ。
「マジなんでもしますから、ほんと!」
両の手を顔の前で合わせて、本日何度目かのすみませんを溢す。
「じゃ、来てください」
「は、ぇ…?」
「言うこと聞くんでしょ」
「…はい」
いつもの笑みを一切浮かべない航平に連れられたのは、何度かお邪魔した寝室だった。訳もわからずそこに立ち尽くすわたしを見つめながら、航平はベッドの淵に腰掛ける。
「ここ、座ってください」
言われて、恐る恐る腰掛ける。
「青さん、」
「な、っ…」
航平がこちらを見た瞬間、背中に走る柔らかいベッドの感触。そして彼の向こう側に見えるものは、壁から天井になっていて。
「え、ちょ、こうへっ、」
「黙って」
航平は、真剣な眼差しのまま言葉を制す。
「言うこと、聞くんでしょ」
「や、でも」
好きな人とこんな関係になってしまうのはちょっと…!なんて乙女な感情が頭を過るが、記憶無くとも泥酔して家に上がっているわたしが言えたもんじゃない。けれど、でも、と焦るわたしとは裏腹、航平はゆっくりと言葉を紡いだ
「…俺がずっと心配してるのは、こう言うことなんです」
「…航平?」
彼の眼差しの奥に灯るものは、怒りではなく切なさと不安で、思わずごくりと唾を飲む。
「酔って…こう言う風に青さんが誰かに襲われたりしたら、すっごくヤなんです。俺は、本当に心配してるんです。」
一片の曇りもないその眼差しと言葉に、胸が締め付けられる。
「…酒は飲んでも飲まれるな、です。次は本当に…襲いますからね」
ほんの少し照れを孕んだ言葉と共に、私の上から退く航平。釣られるように起き上がったわたしは、その腕を…気づけば無意識に掴んでいて。
「…こう、へい」
「…冗談ですし、別に言うこと聞くみたいなのも本気にしなくていいですから」
「でも、」
(相変わらず呆れた声と表情なのに、そっぽ向いたその耳が赤いのはずるくない?)
「…そうやって酔うと人のこと誘ってるんですか?」
「今日は素面…だから」
「じゃあ、」
「航平」
わたしは彼の腕を引き寄せて、唇が触れる直前まで顔を寄せる。
(そんな顔、されたら)
「…期待、しちゃうよ」
飾らない、素直な感情が言葉になり溢れた瞬間、苦しそうな切なそうな、けれど愛の篭った眼差しがわたしを捕らえた。
「もう、…知りませんから」
噛み付くようなキスと共にベッドにもう一度雪崩れ込む。素直じゃない言葉を皮切りに、私たち2人のはじめてが、始まる。
# アルコールより君に溺れて
(…もー!なんであんなこと言うんですか!)
(だって…嬉しいこというから…)
(ちゃんと告白してからにしようと思ってたのに…!)
(じゃ、今してくれてもいーよ?)
(…考えときます!)
(航平~!)