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施錠される音がして、私と伊沢は同時にドアの方を見る。
「…マジ?」
-
撮影で借りた体育館、の倉庫。
立て付けが悪く、勢いよく扉を閉めると開きづらい上に反動で施錠されるから気をつけてね、と管理のおじさんに言われていた。
念には念をで伊沢と私はその引き戸の間にマットを噛ませていたんだけど、荷物を動かす弾みでそのマットが抜け…冒頭に至る。
「え、ちょ、伊沢。マジで開かない」
「青ちゃん退いて…っんー、マジだ…堅ってぇ…」
ガシャンガシャンと扉を鳴らすが、一向に開く気配はない。
「…これは厳しいな」
伊沢は早々に諦めたらしく、高飛び用のマットに腰かけた。まあ、はめ殺しの窓から光も射すし、室内倉庫とあって埃っぽくはあるが比較的綺麗だ。誰かが来るまで待つ方が得策だと思ったのだろう。
「福良さんたち何時着だっけ」
「11時だと」
「2時間…!」
罰ゲームで今日の動画準備を任された私達は、タイミングの悪さにため息。全く同じタイミングでつくものだから思わず目を見合わせて笑う。
「ほんと、体育倉庫に閉じ込められるなんてどこの漫画かねえ」
私がそう言って笑うと、伊沢はマットに寝転がりうーんと伸びをする。
「少女漫画的だよね、偶然閉じ込められてドキドキ。みたいな?」
しかも相手が青ちゃんときたらラッキー以外のなんでもないな。なんて笑いもって起き上がった。私が隣に座ると、伊沢は身体の向きを変えて私を見つめるから、なんだかどきりとしてしまう。
「…ドキドキかあ。伊沢とは無理だな」
「失礼な」
強がる私を見透かすように、伊沢は声を上げて笑った。
「ってか福良さん達に電話して早めに来てもらおうよ?」
「俺携帯倉庫の外。荷物んとこ置いて来ちゃった」
「え、じゃあ私から連絡するね?」
「ありがと」
メッセージアプリから"ふくら"の名前を検索して通話を押した瞬間、伊沢が少し私に身を寄せた、ような気がした。
-
『はい、福良だけど。青ちゃん?』
「わー福良さん!突然なんですけどお願いがありましてっ…?!」
会話が始まった途端、背中を撫ぜる感触に思わず身を捩る。犯人に目を向けると、やけに楽しそうな顔で「しー」と唇に人差し指を当てていて。
『お願い?』
「そ、なんです…」
『どしたの?手伝いには行かないよ~?』
「それが、ぁっ…!」
シャツの中に入った大きな手が背中を直に撫でる、熱い体に抱き寄せられるような体制になり、思わず携帯が手から落ちそうになる。
『青ちゃん?電波わるい?』
「あ、や、倉庫に、閉じ込められちゃって、…っ!」
瞬間、パチン、とブラのホックが外される。
(い・ざ・わ!)
どんどんと騒がしくなる心臓。伊沢は片方の口角を上げてニヤリと笑った。
(いいじゃん、少女漫画的で)
私にだけ聞こえる声で囁くと、電話続けて。と笑う。
『…倉庫?どういうこと?』
少し浮いたブラのアンダーをなぞるように手が動くたび、意識がそちらに持っていかれてしまう。
「立て付け、ん、悪くて…開かなくなって…」
彼のシャツの胸元を掴んで必死に言葉を紡ぐ、
『伊沢は?』
睨みつけた先にある彼の顔が、妙に色っぽく見えるなんて。
「一緒に中、にっ」
『ちょっと伊沢に代わってくれる?』
微かに漏れ聞こえていたらしい伊沢は、私の右手からひょいと携帯を奪いあげる。
「福良さん?ごめんごめん、いやー。マジで開かんのよ扉」
いつもの調子で、だけどいつもより妖艶な目つきで伊沢は笑う。その手はゆるゆると私を撫で回したまま。
漏れ聞こえてしまわぬよう、唇をきゅっと噛むと、伊沢は満足げにもう一度笑った。
「まあでも、別に電気もあるしそんな汚くもないから急がなくていいよ。準備はほぼできてるし。」
「ちょ、いざ…ん!」
言い返そうとした瞬間、胸ギリギリを彼の手が掠めた。
「10時ごろね、りょーかい。ま、青ちゃんと待ってますわ」
ぴ、と短い音を立てて切った携帯を、マットの逆の端に放り投げて。
ほんとうは2時間丸々の予定だったんだけど。そう言いながら伊沢は私をしっかりと抱き締めて。
「…1時間、なにする?」
なんて笑って唇を寄せられてしまったら。
「少女漫画、にしては…っ過激、じゃない?」
「…嫌いじゃないくせに」
にっこりと笑う彼。これが確信犯だった、なんて気づくのはもっと後のお話。
# ラディカルに酔う朝
(じゃ、手始めにキスでもしよっか?)
「…マジ?」
-
撮影で借りた体育館、の倉庫。
立て付けが悪く、勢いよく扉を閉めると開きづらい上に反動で施錠されるから気をつけてね、と管理のおじさんに言われていた。
念には念をで伊沢と私はその引き戸の間にマットを噛ませていたんだけど、荷物を動かす弾みでそのマットが抜け…冒頭に至る。
「え、ちょ、伊沢。マジで開かない」
「青ちゃん退いて…っんー、マジだ…堅ってぇ…」
ガシャンガシャンと扉を鳴らすが、一向に開く気配はない。
「…これは厳しいな」
伊沢は早々に諦めたらしく、高飛び用のマットに腰かけた。まあ、はめ殺しの窓から光も射すし、室内倉庫とあって埃っぽくはあるが比較的綺麗だ。誰かが来るまで待つ方が得策だと思ったのだろう。
「福良さんたち何時着だっけ」
「11時だと」
「2時間…!」
罰ゲームで今日の動画準備を任された私達は、タイミングの悪さにため息。全く同じタイミングでつくものだから思わず目を見合わせて笑う。
「ほんと、体育倉庫に閉じ込められるなんてどこの漫画かねえ」
私がそう言って笑うと、伊沢はマットに寝転がりうーんと伸びをする。
「少女漫画的だよね、偶然閉じ込められてドキドキ。みたいな?」
しかも相手が青ちゃんときたらラッキー以外のなんでもないな。なんて笑いもって起き上がった。私が隣に座ると、伊沢は身体の向きを変えて私を見つめるから、なんだかどきりとしてしまう。
「…ドキドキかあ。伊沢とは無理だな」
「失礼な」
強がる私を見透かすように、伊沢は声を上げて笑った。
「ってか福良さん達に電話して早めに来てもらおうよ?」
「俺携帯倉庫の外。荷物んとこ置いて来ちゃった」
「え、じゃあ私から連絡するね?」
「ありがと」
メッセージアプリから"ふくら"の名前を検索して通話を押した瞬間、伊沢が少し私に身を寄せた、ような気がした。
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『はい、福良だけど。青ちゃん?』
「わー福良さん!突然なんですけどお願いがありましてっ…?!」
会話が始まった途端、背中を撫ぜる感触に思わず身を捩る。犯人に目を向けると、やけに楽しそうな顔で「しー」と唇に人差し指を当てていて。
『お願い?』
「そ、なんです…」
『どしたの?手伝いには行かないよ~?』
「それが、ぁっ…!」
シャツの中に入った大きな手が背中を直に撫でる、熱い体に抱き寄せられるような体制になり、思わず携帯が手から落ちそうになる。
『青ちゃん?電波わるい?』
「あ、や、倉庫に、閉じ込められちゃって、…っ!」
瞬間、パチン、とブラのホックが外される。
(い・ざ・わ!)
どんどんと騒がしくなる心臓。伊沢は片方の口角を上げてニヤリと笑った。
(いいじゃん、少女漫画的で)
私にだけ聞こえる声で囁くと、電話続けて。と笑う。
『…倉庫?どういうこと?』
少し浮いたブラのアンダーをなぞるように手が動くたび、意識がそちらに持っていかれてしまう。
「立て付け、ん、悪くて…開かなくなって…」
彼のシャツの胸元を掴んで必死に言葉を紡ぐ、
『伊沢は?』
睨みつけた先にある彼の顔が、妙に色っぽく見えるなんて。
「一緒に中、にっ」
『ちょっと伊沢に代わってくれる?』
微かに漏れ聞こえていたらしい伊沢は、私の右手からひょいと携帯を奪いあげる。
「福良さん?ごめんごめん、いやー。マジで開かんのよ扉」
いつもの調子で、だけどいつもより妖艶な目つきで伊沢は笑う。その手はゆるゆると私を撫で回したまま。
漏れ聞こえてしまわぬよう、唇をきゅっと噛むと、伊沢は満足げにもう一度笑った。
「まあでも、別に電気もあるしそんな汚くもないから急がなくていいよ。準備はほぼできてるし。」
「ちょ、いざ…ん!」
言い返そうとした瞬間、胸ギリギリを彼の手が掠めた。
「10時ごろね、りょーかい。ま、青ちゃんと待ってますわ」
ぴ、と短い音を立てて切った携帯を、マットの逆の端に放り投げて。
ほんとうは2時間丸々の予定だったんだけど。そう言いながら伊沢は私をしっかりと抱き締めて。
「…1時間、なにする?」
なんて笑って唇を寄せられてしまったら。
「少女漫画、にしては…っ過激、じゃない?」
「…嫌いじゃないくせに」
にっこりと笑う彼。これが確信犯だった、なんて気づくのはもっと後のお話。
# ラディカルに酔う朝
(じゃ、手始めにキスでもしよっか?)