ko-chan
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またそんなことして、と歪ながらも笑えるようになった彼を見て複雑な心境になりながらシャンパングラスに口を付ける。
もちろん、私がそう仕立て上げたことに違いはないのだけれど。
「青さんは、本当に誰かに愛されてないとダメなんですね」
最初は、その熱い眼差しにほんの少し悪戯心が働いてしまっただけだった。彼なら、私を愛し続けてくれるかもしれない、なんて淡い期待と共に。
「こうちゃんは、…愛してくれる?」
意地悪な質問をすると先程より少し苦しそうな顔をして、「俺じゃ、ダメなくせに」とこぼす。年齢より少し幼いその顔が曇る度愛情を感じてしまう私は、ほんの少し、とても、歪んでいるみたいだ。
「ふふ、そんなことないのに」
「じゃあ、青さん、…もうやめましょうよ」
居酒屋の喧騒に消えてしまいそうな細い声。この言葉に安堵する。
「…何を?」
「色んな人と、そういう、…寝たりするの」
声色とは裏腹、真剣な眼差しが私を捉える。本当の愛情が鋭い刃のように私の心に突き立てられる。
愛されている、という安心感と同時に襲ってくる傷口から赤黒い血がどくどくと溢れるような感覚に、心の中だけで顔をしかめる。
「そう、だね」
張り付いたような笑みと心の伴わない返事に、こうちゃんは呆れたように、けれど優しくため息をつく。
「…ごめんなさい、俺にそんなこと言う権利ない、よね」
(違うよ、私にそんなこと言われる価値がないだけなのに。)
店を出て、終電のない街を歩く。
「今日も誰かとホテルですか?」
「いつになったらこうちゃんはご一緒してくれるのかなあ」
「青さんが、…俺だけ見てくれる日がきたらね」
私を深く愛するからこそ、私に触れない彼の意地らしさが愛おしくて、その愛情を確かめるように今日も誰かの影をちらつかせる。
本当は彼だけに溺れてしまいたい、けれど、いつか冷めて、彼が私の元から離れてしまうことがあるならば…私は今以上に誰かを求めてしまうような気がして。
わかっている。
こんなことを繰り返すから、本当に大切なものはいつも私の手元から離れてしまうことを。
(心のどこかで、離れて欲しいのかもしれない)
私のような愚か者を、愛さないでいて欲しいのかもしれない。揺れ動くままならない感情を素直に恋と呼べるなら、こんなに悩まないのだけれど。
「…青さん?」
そうなるには、穢れすぎたのだ。
「こうちゃん」
「…なんです、か?」
「…もし、私が、愛されるのが怖いって言ったらどうする?」
彼の手を握ると、柔らかく握り返されてしまう。
「…怖くなくなるまで、愛し続けるだけです」
彼の様な美しい人と一緒になりたい、
私の様な醜い人と一緒になってほしくない、
手に入れたい、
失いたくない、
揺れる感情が私の心を締め付ける。
それでも、まだ。
力を緩めた手を振り解いてくれたら楽なのに、なんてまた身勝手なことを思って、その切ない横顔に触れるだけのキスを落とした。
# 好きになるから、嫌いになってよ
(それでも、愛されなくなる明日がまだ怖くて)
もちろん、私がそう仕立て上げたことに違いはないのだけれど。
「青さんは、本当に誰かに愛されてないとダメなんですね」
最初は、その熱い眼差しにほんの少し悪戯心が働いてしまっただけだった。彼なら、私を愛し続けてくれるかもしれない、なんて淡い期待と共に。
「こうちゃんは、…愛してくれる?」
意地悪な質問をすると先程より少し苦しそうな顔をして、「俺じゃ、ダメなくせに」とこぼす。年齢より少し幼いその顔が曇る度愛情を感じてしまう私は、ほんの少し、とても、歪んでいるみたいだ。
「ふふ、そんなことないのに」
「じゃあ、青さん、…もうやめましょうよ」
居酒屋の喧騒に消えてしまいそうな細い声。この言葉に安堵する。
「…何を?」
「色んな人と、そういう、…寝たりするの」
声色とは裏腹、真剣な眼差しが私を捉える。本当の愛情が鋭い刃のように私の心に突き立てられる。
愛されている、という安心感と同時に襲ってくる傷口から赤黒い血がどくどくと溢れるような感覚に、心の中だけで顔をしかめる。
「そう、だね」
張り付いたような笑みと心の伴わない返事に、こうちゃんは呆れたように、けれど優しくため息をつく。
「…ごめんなさい、俺にそんなこと言う権利ない、よね」
(違うよ、私にそんなこと言われる価値がないだけなのに。)
店を出て、終電のない街を歩く。
「今日も誰かとホテルですか?」
「いつになったらこうちゃんはご一緒してくれるのかなあ」
「青さんが、…俺だけ見てくれる日がきたらね」
私を深く愛するからこそ、私に触れない彼の意地らしさが愛おしくて、その愛情を確かめるように今日も誰かの影をちらつかせる。
本当は彼だけに溺れてしまいたい、けれど、いつか冷めて、彼が私の元から離れてしまうことがあるならば…私は今以上に誰かを求めてしまうような気がして。
わかっている。
こんなことを繰り返すから、本当に大切なものはいつも私の手元から離れてしまうことを。
(心のどこかで、離れて欲しいのかもしれない)
私のような愚か者を、愛さないでいて欲しいのかもしれない。揺れ動くままならない感情を素直に恋と呼べるなら、こんなに悩まないのだけれど。
「…青さん?」
そうなるには、穢れすぎたのだ。
「こうちゃん」
「…なんです、か?」
「…もし、私が、愛されるのが怖いって言ったらどうする?」
彼の手を握ると、柔らかく握り返されてしまう。
「…怖くなくなるまで、愛し続けるだけです」
彼の様な美しい人と一緒になりたい、
私の様な醜い人と一緒になってほしくない、
手に入れたい、
失いたくない、
揺れる感情が私の心を締め付ける。
それでも、まだ。
力を緩めた手を振り解いてくれたら楽なのに、なんてまた身勝手なことを思って、その切ない横顔に触れるだけのキスを落とした。
# 好きになるから、嫌いになってよ
(それでも、愛されなくなる明日がまだ怖くて)