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「ひえ~!!」
最近のドラマってば、どうしてこんなに甘ったるいシーンを地上波でも平気でやるんだろうか。
オフィスで夜からの作業。休憩時間中つけたテレビに映ったのは今流行りの俳優が演じる人気ドラマ。その香るほどの甘いシーンに思わず声を上げる。
「青ちゃんうるさい~」
「ご、ごめんごめん」
夜ご飯に、と誰かが買ってきたサンドイッチを頬張りながら声を上げる私を見てけらけらと笑う山本くん。
「恋愛耐性なさすぎじゃね?」
後ろからひょこっと顔を出してニヤつくのは、
「わ!…びっくりした。伊沢くーん!」
「はいはい、すみませんでしたぁ」
ふざけながら元の場所に戻ろうとした伊沢くんは何かを思いついた様な顔をしてから
「…今度、死ぬほど甘ったるい恋愛映画でも見に行く?」
なんてニヤニヤしながら言ってきて。
「バカにしないでよ~」
「おー、怖い怖い!」
心なしか嬉しそうににんまりと笑ったあと、私の頬をつねってから「お先に仕事に戻ります」なんて言って執務室に向かった。
「ほんとあの人は~」
「伊沢さん、青ちゃんのこと大好きだからね、仕方がない。」
「まあいい仕事仲間ではあるけどねえ」
「…そういう意味じゃないことぐらい、もうわかってるんでしょ?」
リモコンを手に取り、テレビの電源を落とす山本くん。
真っ黒の画面越しの彼の眼差しに、言葉を詰まらせる。
「…山本くんは、知ってるの?」
「何を?」
(伊沢くんに、2日前に告白されたこと。)
…とは言えなくて
「いや、なんでもない、なんか知ってるのかなって。」
「伊沢さんのこと?あんなの見てたらわかるじゃん。」
山本くんはいつもの愛くるしい笑顔のまま、最後の一口を頬張る。
「…そう、だね」
「…青ちゃん、動揺を隠すのが下手だね?」
「飲み込むまでお口は閉じておこうか。」
「はいはーい。」
山本くんがん、と短い声を上げてそれを飲み込む。
「…私、飲み物でも買ってこようかな。」
「ふふ、そんな焦らなくても」
「なんのことでしょうか~?」
机に広がったゴミを手近な袋に入れ、山本くんに立つよう促す。
テレビの音も消えたこの部屋、気づけば二人きりで。
「さ、山本くんも仕事に戻りましょ」
「そだね」
何かいる?と聞くとコーラ!と笑う山本くんにつられる様に笑う。
.
そうして玄関に向かう私を見送る彼は、何かを思い出したように私を呼び止めて。
「あ。」
「なに?」
玄関ドアに手をかけて首をかしげる私に一歩、二歩近づいて。山本くんは柔らかい手で私の両頬を包んだ。
「なになにどうしたの。」
「んーん。」
冗談めいた言葉とは裏腹、色を帯びた彼の瞳に捕らえられた私はその場から動けなくなってしまって。
「もしああいうラブロマンスを撮るとしたら」
彼はその続きを紡ぐ前に触れるだけのキスをした。
「な、…」
狼狽える私を笑う様に、数センチだけ唇を浮かせたまま山本くんは言葉を紡いだ。
「僕と、伊沢さん。どっちがいい?」
頬を包んでいたはずの両手が私の腰元まで滑り、くっと抱き寄せられる。
冗談はよしてよ、という前に「なんてね」と山本くんは両手を上げて笑った。
「ロマンスは、見るより溺れるほうが楽しいよ。
…相手が僕なら、なおさら」
私の答えも聞かず、彼はふわりと身を翻し部屋へ戻る。
叩きつける様な鼓動は、しばらく収まりそうになかった。
# 一枚上手の「甘ったるい」を
(あれ、山本。青ちゃんは?)
(飲み物買いに行くって。ま、さっきのラブロマンスに浸ってるのかも)
(…あのドラマ、そんなに良かった?)
(演じてみたくなってるかも、ですね)
最近のドラマってば、どうしてこんなに甘ったるいシーンを地上波でも平気でやるんだろうか。
オフィスで夜からの作業。休憩時間中つけたテレビに映ったのは今流行りの俳優が演じる人気ドラマ。その香るほどの甘いシーンに思わず声を上げる。
「青ちゃんうるさい~」
「ご、ごめんごめん」
夜ご飯に、と誰かが買ってきたサンドイッチを頬張りながら声を上げる私を見てけらけらと笑う山本くん。
「恋愛耐性なさすぎじゃね?」
後ろからひょこっと顔を出してニヤつくのは、
「わ!…びっくりした。伊沢くーん!」
「はいはい、すみませんでしたぁ」
ふざけながら元の場所に戻ろうとした伊沢くんは何かを思いついた様な顔をしてから
「…今度、死ぬほど甘ったるい恋愛映画でも見に行く?」
なんてニヤニヤしながら言ってきて。
「バカにしないでよ~」
「おー、怖い怖い!」
心なしか嬉しそうににんまりと笑ったあと、私の頬をつねってから「お先に仕事に戻ります」なんて言って執務室に向かった。
「ほんとあの人は~」
「伊沢さん、青ちゃんのこと大好きだからね、仕方がない。」
「まあいい仕事仲間ではあるけどねえ」
「…そういう意味じゃないことぐらい、もうわかってるんでしょ?」
リモコンを手に取り、テレビの電源を落とす山本くん。
真っ黒の画面越しの彼の眼差しに、言葉を詰まらせる。
「…山本くんは、知ってるの?」
「何を?」
(伊沢くんに、2日前に告白されたこと。)
…とは言えなくて
「いや、なんでもない、なんか知ってるのかなって。」
「伊沢さんのこと?あんなの見てたらわかるじゃん。」
山本くんはいつもの愛くるしい笑顔のまま、最後の一口を頬張る。
「…そう、だね」
「…青ちゃん、動揺を隠すのが下手だね?」
「飲み込むまでお口は閉じておこうか。」
「はいはーい。」
山本くんがん、と短い声を上げてそれを飲み込む。
「…私、飲み物でも買ってこようかな。」
「ふふ、そんな焦らなくても」
「なんのことでしょうか~?」
机に広がったゴミを手近な袋に入れ、山本くんに立つよう促す。
テレビの音も消えたこの部屋、気づけば二人きりで。
「さ、山本くんも仕事に戻りましょ」
「そだね」
何かいる?と聞くとコーラ!と笑う山本くんにつられる様に笑う。
.
そうして玄関に向かう私を見送る彼は、何かを思い出したように私を呼び止めて。
「あ。」
「なに?」
玄関ドアに手をかけて首をかしげる私に一歩、二歩近づいて。山本くんは柔らかい手で私の両頬を包んだ。
「なになにどうしたの。」
「んーん。」
冗談めいた言葉とは裏腹、色を帯びた彼の瞳に捕らえられた私はその場から動けなくなってしまって。
「もしああいうラブロマンスを撮るとしたら」
彼はその続きを紡ぐ前に触れるだけのキスをした。
「な、…」
狼狽える私を笑う様に、数センチだけ唇を浮かせたまま山本くんは言葉を紡いだ。
「僕と、伊沢さん。どっちがいい?」
頬を包んでいたはずの両手が私の腰元まで滑り、くっと抱き寄せられる。
冗談はよしてよ、という前に「なんてね」と山本くんは両手を上げて笑った。
「ロマンスは、見るより溺れるほうが楽しいよ。
…相手が僕なら、なおさら」
私の答えも聞かず、彼はふわりと身を翻し部屋へ戻る。
叩きつける様な鼓動は、しばらく収まりそうになかった。
# 一枚上手の「甘ったるい」を
(あれ、山本。青ちゃんは?)
(飲み物買いに行くって。ま、さっきのラブロマンスに浸ってるのかも)
(…あのドラマ、そんなに良かった?)
(演じてみたくなってるかも、ですね)