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「っはよーございます」
「青ちゃん、相変わらず元気ねえ」
「っす」
汗に濡れたランニング用キャップを外し、汗で張り付いた前髪をかきあげる。声をかけてくれた須貝さんがその辺に置きっぱなしだった私のスポーツタオルをポイと投げて笑った。
「今日は何キロ?」
「10kmす」
「ひー、すげえな」
お、と短い声をあげてキッチンから出てきた河村さんの方を見ると、柔らかい笑みと共に右手を上げてくれて。
「いつもお疲れ様。バスタオル、準備してあるから。」
「ありがとございます」
河村さんに小さく頭を下げてから、相変わらず私の方を見て笑っている須貝さんの足元に置いてあったバックパックを掴む。
「シャワー、借ります」
「あいよ」
毎週水曜日と金曜日だけ、職場に来る前にランニングをするようになった。エンジニア職は缶詰になることも多いので、意識的に運動をしないと直ぐに身体が鈍ってしまう。
ジムに通っていたが、伊沢さんの「今のオフィス、シャワーもあんだし朝走ってくれば?」なんていう冗談に本気で乗っかってみたら案外悪くなくて。
早い時間に行けば大体河村さんと須貝さんだけのことが多く、この2人は変にバカにしたりちょっかいを掛けてくることもないので、この習慣はあっという間に定着した。
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「ふいー、」
ざっとシャワーを済ませて、脱衣所で小さく伸びをする。先程まで着ていたウェアと下着をネットに入れ洗濯機に突っ込む。
軽く身体を拭いた後にバックパックから今日の服を取り出し、洗濯機の上に置く。その後1番底に入っている下着の袋を取り出した。
しっとりと濡れた金色のウルフヘアが洗面所の鏡に映る。そろそろ根本やばいかな、なんて暢気なことを考えながらタオルドライを軽くしたのち、新調したばかりの黒のブラとショーツ身につけ整える。
本当はもうちょっと派手な服が着たいけれど、今の職場の雰囲気的にはあまりよろしくないのかもしれない、そう感じてからすっかりワイドサイズのパーカーにボトムを履き回すだけの様な格好になってしまったが、ならば下着だけでも。と最近は少し派手なデザインで遊んでいる。
バッククロスのフロントホックのブラに、今日は薄手のフレアパンツを選んだから、響かないようにとタンガスタイルのショーツ。
(腹筋、だいぶ戻ってきたな)
年末の自堕落が響きすこし膨よかになっていたお腹周りもだいぶと元の雰囲気に近づいてきた。
うっすらと浮いた縦線をそっと撫でて、もう一度身体のラインチェック。
別に見せるような相手もいないんだけど、やっぱり綺麗でありたいと思うのは性みたいなもんなんだろうか。"見せる相手"と言う言葉を思い浮かべると共に、黒縁メガネにへにゃへにゃの笑顔が思い浮かんだ気がしたが、小さく頭を振ってその笑顔を掻き消す。
「福良!」
思い浮かべた笑顔の主の名前が呼ばれるのがドア越しに聴こえて、思わずびくりと肩を揺らし反射的にそちらを向く。
…にしても、河村さんの大声なんて珍しい、そう思ったと同時に洗面所の扉がドン、と開かれた。
「は?」
「え?」
キョトン顔の福良さんと、同じくキョトン顔の私が見つめ合う。
数秒後、首元から頭の天辺まで一気に赤く染め上げた福良さんが、「ご、ごめん!」とこれまた大声をあげて勢いよくその扉を閉める。
ゆっくりと鏡の方を見ると、濡れ髪に下着姿の自分。福良さんと同じようにみるみるうちに身体中が真っ赤に染まっていく。
「な、なんにも見てないから!」
ほんの少しうわずった声の福良さんの言い訳がましい声の向こう、河村さんと須貝さんの叫び声が聞こえた気がした。
# 僕は何にも見てません
(なんで、いつも以上に派手な下着の日に!)
(なんで、あのへにゃへにゃに!!)