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朝の光が差し込む朝、柔らかいベッドに沈む体。起き抜けってどうしてこんなにもどかしいんだろう、はあ、まだまだ寝たいのに今日は休日出勤だなんて。
仕方なく薄眼を開けると隣には白い花のように美しい拓哉の寝顔。セパレートしたまつげも、薄い唇も、まるで人形のようで。随分と経った今でも自分の恋人だと言う事が信じられない。
(...なんて考えてる場合ではなく)
もぞもぞと身を捩り、枕元のスマートフォンを手に取る。
(せっかく拓哉がお休みなのに、出勤だなん、てっ…?!)
9:05、と表示されたロック画面を見て、私は飛び起きた
「えっ?!え、ちょ、ま、嘘、う、拓哉、えっ」
「びっ…くりした…どしたの青…」
非常に緩徐に、けれど上品に目を覚ます姿。まるで何処かの貴族のような…とか言っている場合ではなくて。
「やばい!寝坊!完全に寝坊!」
騒々しく声を上げベッドから飛び降りようとした私を捕らえる様に後ろからぎゅっと抱きしめる拓哉。
「ちょ、拓哉、今日は本当にだめ。ごめんね?離して?」
「だめ」
「だめじゃなくてっ…ん〜!」
首筋を這う彼の唇に思わず身を捩り、向かい合う体勢になる。
「大丈夫」
そのままゆっくりと、もう1度私をベッドに引き摺り込む拓哉。
「大丈夫くないの!」
「まあまあ」
「拓哉ってば…」
「青は、仕事と僕と、どっちのことがすき?」
彼らしくもない質問。けれど、柔らかくもひとつひとつの言葉が粒立つような甘い声はいとも簡単に私の心を捉えてしまう。
腰に回された白い腕に力が篭っていく。仕事のこと、妙に色っぽく甘い彼のこと、起き抜けの頭では処理しきれないこの状況に動揺した私を見つめる彼の口元に浮かぶ微笑み。まだ頭の冴えない私にも分かる程滲む余裕の色が妙に憎たらしくも愛おしいのは惚れた弱みか。
唇が触れるか触れないかまで拓哉が近づいてきたとき、私は一先ず仕事のことを諦めてその口付けを受け入れた。
「ね、寝ぼけてる…?」
となると、次に処理すべきはいつもよりも色香の強い彼の事だ。
「いいえ、全く。それより…さっきの答えは?」
そんな私を揶揄うように、至極真面目に、けれどやっぱり…凄く楽しそうな声で囁かれて。
「…そ、そりゃ、拓哉の方が大事ですけど…」
「ふふ、耳まで真っ赤」
拓哉は小さく笑って、もう1度優しい口づけを落とした。
「…じゃあ、問題ないね」
「…へ?」
先程の甘い声から一転。いつもの声色を纏う言葉が私に降る。
そして、問題ない、と言いながらも拓哉の両手はしっかり私の身体をホールドしてて…なんだかとっても嫌な予感。
「青があんまりにも気持ちよさそうに寝てたから、38度の熱が出たのでお休みしますって会社の人にメールしちゃったけど、…なんの問題もないね?」
ばっと拓哉の顔を見ると、色香や上品さなんて嘘のような少年の眼差しを携えて笑っていて。
「...」
「沈黙は同意とみなします。」
「もう、好きにして…」
「好きにされたい、の間違いでしょう?」
…なのに、最後に降る声は、昨日の夜より甘いんだから堪らない。
# すきにされたい
(じゃ、今日は一日ベッドにいましょうか)
(…お手柔らかにどうぞ…)