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「っさむ~い!!」
「ほんと青ちゃんは寒いのダメなんだねえ。」
「祥彰が強いんじゃない?さむ…」
同じ大学、同じ学部の祥彰とは、入学当初からなんとなく気があってよく一緒にいて。
彼がQuizKnockに入った後、私もなぜかそれを追うようにしてメンバー入りして。
「この冬も隣にいるのは祥彰か~」
はあ、と息を吐くと白く浮かんで溶ける。12月の東京はどうしてこんなに寒いのか。
「…悪口?」
「ちがうよ~祥彰が隣でよかったな~と思って」
「はいはい、気持ちのこもってない言葉をありがとう。」
撮影の物品買い出しを福良さんにお願いされて、2人で肩を並べて出かける。
「にしても、ほんとカップルばっかりで腹立つ」
「まあ時期も時期だしね。」
去年のクリスマスは、偶然お互いの恋人と直前に別れてしまったと言うこともあって、馬鹿みたいに飲んでカラオケに行った。
「去年は面白かったな~」
「でもあんなクリスマスはもうごめんよ、私は」
「ふふ、確かに。」
来年はいいクリスマスにするぞ!なんて意気込んだものの、きっと今年も望み薄だ。
「祥彰、まだクリスマスまでに彼女欲しいとか思うの?」
「まあ、諦めてはないかな~。」
ネオンで装飾された街路樹に、肩を寄せ合うカップルたち。
(…こうして好きな人が隣にいても、なかなか報われないんだよなあ)
私はそんな雑念を振り払うように、もう一度強く息を吐く。
ずっと近くにいる彼のことを、友人としてではなく1人の異性として意識しだしたのは、随分と経ってからだった。最初の方はお互いに彼氏ができた彼女ができたと報告しあったり、夜通し話したり、お互いの家に泊まったって何にもなかったし。なのに或る日、急に。
だから、こうしてある程度の距離を保ちつつも、笑いあえる「親友」という関係を崩してしまうことが怖くて、ずっとその気持ちには触れないままでいた。
「そーなんだ、…今回もしっかり応援するよ」
「…青ちゃんは?」
「うーん、なんか、今年はやっぱりいいかな。」
「ふふ、ならまた今年も僕ら2人で祝うクリスマスかもね」
「わ、やっぱり彼氏探そっかな」
「ちょっと~」
肩と肩が触れ合う距離で歩けないのがもどかしい。
そんな気持ちをかき消すように、やっぱり、もう一度息を吐くしかできなかった。
「買い物しゅーりょー」
「いえい!」
「じゃ、オフィス戻りますか。」
いつもより少し多めのおつかい。荷物は全部祥彰が持ってくれていて…こう言う優しいところも、本当はすごく好きなのに。
「私持つよ?」
「いーの、今日は結構重たいから。」
ほんの少し見上げた先にある彼の目を見る。大丈夫!と笑う顔をみて、思わず頬が緩んだ。
「なーに笑ってんの」
「いや、なんか、…頼れるお兄ちゃんみたいだなって」
また、こうして嘘をつく。
「…寒いし、はやく帰ろ。」
そんな自分が少し惨めで、目をそらしてからそう言った。
オフィスは住宅街の中にあるので、市街地に比べると行き交う人の量はめっきり減る。けれど、ツンと冷たい空気が頬を撫でる感じとこの静けさが、私は嫌いではなかった。
「青ちゃん、今日の動画撮影出るっけ?」
「今日は…1本だけ出るって話だったかな。祥彰は?」
「僕3本撮りなんだよね~…長い夜になりそう」
「ふふ、お疲れさ…っくしゅん」
しかし、寒さに耐えかねて、思わず小さなくしゃみ。
「…ふふ、ほんとくしゃみ、って感じのくしゃみするよね。」
「うるさい、寒いんだもん」
2人でけらけらと笑い合う。街頭に照らされた祥彰のまつ毛が綺麗だ。
「じゃあ。」
祥彰は荷物を逆の手に持ち替えて、空いた手で私の手のひらを掴んだ。
「わ、冷た!」
「…え?」
「…こうしてたら、あったかいかなって。」
指を絡めるように繋いだ手を、彼は自分のコートのポケットに仕舞う。
「…なにこれ」
「寒がりな青ちゃんをあっためてあげてんの。」
「…なにそれ、勘違いしちゃうよ?」
ふざけて笑うと、祥彰はふと立ち止まって。
「…勘違い、させてる。って言ったら?」
その声に驚いて彼の目を見ると、大きくて綺麗な目が小さく揺らぐ。不安がちらつくその表情をみて、私は小さく吹き出した。
「…ふふ」
「なに。らしくないって?」
「ううん」
彼のコートの中の手を、きゅっと握り返す。
ほんの少しびっくりした祥彰の顔を見て、小さく笑う。
「なーんだ、って」
「?」
「こんなところまで、おんなじ気持ちだったんだ。って」
祥彰は困ったように小さく笑って、なんかカッコつかないな。とはにかんだ後、触れるだけのキスをした。
街灯が照らす2人の影が重なった時、まるで祝福するかのように粉雪がちらつきだした。
# 聖なる夜は違う2人で
(今年のクリスマスも祥彰と過ごすことになりそうだね)
(ふふ、飲み屋とカラオケはごめんだけどね。)
「ほんと青ちゃんは寒いのダメなんだねえ。」
「祥彰が強いんじゃない?さむ…」
同じ大学、同じ学部の祥彰とは、入学当初からなんとなく気があってよく一緒にいて。
彼がQuizKnockに入った後、私もなぜかそれを追うようにしてメンバー入りして。
「この冬も隣にいるのは祥彰か~」
はあ、と息を吐くと白く浮かんで溶ける。12月の東京はどうしてこんなに寒いのか。
「…悪口?」
「ちがうよ~祥彰が隣でよかったな~と思って」
「はいはい、気持ちのこもってない言葉をありがとう。」
撮影の物品買い出しを福良さんにお願いされて、2人で肩を並べて出かける。
「にしても、ほんとカップルばっかりで腹立つ」
「まあ時期も時期だしね。」
去年のクリスマスは、偶然お互いの恋人と直前に別れてしまったと言うこともあって、馬鹿みたいに飲んでカラオケに行った。
「去年は面白かったな~」
「でもあんなクリスマスはもうごめんよ、私は」
「ふふ、確かに。」
来年はいいクリスマスにするぞ!なんて意気込んだものの、きっと今年も望み薄だ。
「祥彰、まだクリスマスまでに彼女欲しいとか思うの?」
「まあ、諦めてはないかな~。」
ネオンで装飾された街路樹に、肩を寄せ合うカップルたち。
(…こうして好きな人が隣にいても、なかなか報われないんだよなあ)
私はそんな雑念を振り払うように、もう一度強く息を吐く。
ずっと近くにいる彼のことを、友人としてではなく1人の異性として意識しだしたのは、随分と経ってからだった。最初の方はお互いに彼氏ができた彼女ができたと報告しあったり、夜通し話したり、お互いの家に泊まったって何にもなかったし。なのに或る日、急に。
だから、こうしてある程度の距離を保ちつつも、笑いあえる「親友」という関係を崩してしまうことが怖くて、ずっとその気持ちには触れないままでいた。
「そーなんだ、…今回もしっかり応援するよ」
「…青ちゃんは?」
「うーん、なんか、今年はやっぱりいいかな。」
「ふふ、ならまた今年も僕ら2人で祝うクリスマスかもね」
「わ、やっぱり彼氏探そっかな」
「ちょっと~」
肩と肩が触れ合う距離で歩けないのがもどかしい。
そんな気持ちをかき消すように、やっぱり、もう一度息を吐くしかできなかった。
「買い物しゅーりょー」
「いえい!」
「じゃ、オフィス戻りますか。」
いつもより少し多めのおつかい。荷物は全部祥彰が持ってくれていて…こう言う優しいところも、本当はすごく好きなのに。
「私持つよ?」
「いーの、今日は結構重たいから。」
ほんの少し見上げた先にある彼の目を見る。大丈夫!と笑う顔をみて、思わず頬が緩んだ。
「なーに笑ってんの」
「いや、なんか、…頼れるお兄ちゃんみたいだなって」
また、こうして嘘をつく。
「…寒いし、はやく帰ろ。」
そんな自分が少し惨めで、目をそらしてからそう言った。
オフィスは住宅街の中にあるので、市街地に比べると行き交う人の量はめっきり減る。けれど、ツンと冷たい空気が頬を撫でる感じとこの静けさが、私は嫌いではなかった。
「青ちゃん、今日の動画撮影出るっけ?」
「今日は…1本だけ出るって話だったかな。祥彰は?」
「僕3本撮りなんだよね~…長い夜になりそう」
「ふふ、お疲れさ…っくしゅん」
しかし、寒さに耐えかねて、思わず小さなくしゃみ。
「…ふふ、ほんとくしゃみ、って感じのくしゃみするよね。」
「うるさい、寒いんだもん」
2人でけらけらと笑い合う。街頭に照らされた祥彰のまつ毛が綺麗だ。
「じゃあ。」
祥彰は荷物を逆の手に持ち替えて、空いた手で私の手のひらを掴んだ。
「わ、冷た!」
「…え?」
「…こうしてたら、あったかいかなって。」
指を絡めるように繋いだ手を、彼は自分のコートのポケットに仕舞う。
「…なにこれ」
「寒がりな青ちゃんをあっためてあげてんの。」
「…なにそれ、勘違いしちゃうよ?」
ふざけて笑うと、祥彰はふと立ち止まって。
「…勘違い、させてる。って言ったら?」
その声に驚いて彼の目を見ると、大きくて綺麗な目が小さく揺らぐ。不安がちらつくその表情をみて、私は小さく吹き出した。
「…ふふ」
「なに。らしくないって?」
「ううん」
彼のコートの中の手を、きゅっと握り返す。
ほんの少しびっくりした祥彰の顔を見て、小さく笑う。
「なーんだ、って」
「?」
「こんなところまで、おんなじ気持ちだったんだ。って」
祥彰は困ったように小さく笑って、なんかカッコつかないな。とはにかんだ後、触れるだけのキスをした。
街灯が照らす2人の影が重なった時、まるで祝福するかのように粉雪がちらつきだした。
# 聖なる夜は違う2人で
(今年のクリスマスも祥彰と過ごすことになりそうだね)
(ふふ、飲み屋とカラオケはごめんだけどね。)