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「でもその案は3ヶ月前のとダブるな…」
「朝それの二番煎じを自分たちでしちゃうっていうのはリスキーかも」
「お、その案いい。広げていこう。」
定期的に開かれる企画会議は、コアメンバーらでぽんぽんと意見交換が交わされる。
高学歴の円卓…須貝さんが言う文殊の知恵越え状態では、私は議事録取りで手一杯。
「…ちょっと休憩しよっか」
福良さんが置いたメガネを掛け直し、みんなに声をかける。
「青ちゃんの顔も死んでるしね」
「えへへ、すみませ…」
「俺たちも冷静な視点失うから休憩は大事!ってことで俺筋トレしてくるわ」
「10分で?」
「3種3セットは余裕」
伊沢さんはううん、と伸びをした後会議室を出る。トップが離席した方がみんな休憩を取りやすいから、という気遣いだろうと感動していると、ふと目があった福良さんと小さく微笑み合う。
すると、ちょっと青ちゃんとおしゃべりしーよっと、なんて福良さんは可愛いことを言いながら椅子を私の方へ寄せた。あ、俺も混ぜてくださいよ。なんて逆隣のこうちゃんも椅子を寄せる。
「いやー、伊沢はああ言うところほんとトップって感じだね」
「あー、ほんと、こう言うちょっとした気遣いめっちゃぐっときます俺」
「こうちゃんはなんだかんだ伊沢のこと大好きだもんね」
伊沢さんのいいところ、なんて他愛ない話題を、こうちゃんと福良さんと私で繰り広げる。
(…?)
その時、足元を誰かに蹴られるような感覚がして、福良さんを見る。
「あ、ごめん、足当たっちゃってた?」
「あ、大丈夫です。」
「ごめんね?あ、でね、こうちゃん…」
しばらくすると、今度はしっかりと足先を引っ掛けるようにしてくる福良さん
(これ、は)
相槌を打ちつつ、ちらと福良さんの方を見る。どうしたの?とでも言いたげな、けれど悪い目で笑う。
(確信犯だ…!)
メンバーに内緒で付き合って3ヶ月程、優しくて思いやりのある福良さんだけど、実はちょっと意地悪だってことが最近わかってきた。
-
「ねー、青さんもそう思いません?」
「あ、え、うん。」
とんとん、と揺らしたり、足を絡めたり。絶妙な触れ合いのせいで会話が全然頭に入ってこない。
そんな私とは裏腹、福良さんは全然なんでもない顔をしてこうちゃんと話をする。
(くそう…涼しい顔して…!)
そのとき、ミモレ丈のスカートの下、くるぶしからふくらはぎのあたりまでゆっくりと福良さんのつま先が這う。
「そうだね、~ん、っ!」
「え、青さん、大丈夫ですか?」
こうちゃんがわたしの顔を覗き込む。
「あ、いやあ~なんか急にゾワっとしちゃって…」
「あー、たまになるやつだ」
ははは、と笑う福良さんをきっと睨む。でもそんなことは知らんぷりで、今度は机の下の手が私の太ももに触れる。ゆるゆると撫でるような動き…思わず唇を嚙む。
隣にも周りに人がいる。そんなことを意識してか、心臓だけが、どんどんうるさくなる。
「~…」
「…青さん、風邪っぽいとかですか?」
「え、え?」
こうちゃんがずいと身を乗り出す。
「気分悪いなら議事録俺が変わりますけど…」
「だ、大丈夫大丈夫!ほんとに!」
福良さんの方をみると、口元を押さえている。このっ…笑っているな…!?
「こうちゃんー、ちょっと来て~!」
伊沢さんがこうちゃんを呼んで、席を立ってくれたから良いものの。
相変わらず太ももを柔く撫でる手に少し身をよじる。
「…福良さ、んっ」
「なあに?」
「なあにじゃありません。」
すると、福良さんは私の耳元に手を添えて囁く
(そんな動いたら、みんなに気づかれちゃうかもしれないよ?)
悪い顔をして、私がノーって言えないの知って、気づかれたらまずいことをしているのは福良さんなのに。なぜか言い返せないその甘い声に言葉を噤む。
「ちょ、…!」
「しーっ」
太ももに添えられた手が、ゆっくりと私のスカートを捲り上げていく。
机の下だから誰にも見えない、けれど、ミモレ丈のスカートが脚を這うように上がる感覚についぞわぞわしてしまう。
-
(っ、けん、くん)
(オフィスでは福良さん、でしょ?)
福良さんはそれだけ告げると、まるで何もしてないみたいな顔で前を向く。
ちょうど膝ぐらいまでスカートが捲り上げられた時だった。
「はーい、会議再開します」
どん、と大きな音がして伊沢さんが部屋に戻ってきた。
「ざーんねん」
福良さんは嬉しそうにそれだけ言うと、ふわりと手を離し、座席を元に戻した。
(ほんと、何考えてるんだか…!)
私はふうと息を吐いてスカートを元に戻す。雑念を取り払って、ノートパソコンを開いた時だった。
(…あれ?)
喧騒が静まり、会議が始まろうとした時、一件のメッセージ通知に気づく。
『続きは今夜、僕の家で…どう?』
驚いて福良さんを見ると、すっかり仕事の顔でホワイトボードを見つめてて。
『行ってあげてもいいですけど』とだけ返し、もう一度議事録のメモを開く。今日ばっかりは誤字脱字も許してね、みなさん。
# 水面下のエトセトラ
(あれ、青ちゃん、休憩後の話丸々抜けてるくない?)
(ええ!?す、すみません伊沢さん…)
(僕メモとってるからあげるよー)
(お、さすが福良さん。ありがと)
(…。)