小さなあなたと
あなたの名前は?
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食事が終わると、権兵衛さんはこれからの話をしようと言ってきた。
ここは慎重に行かないければいけないな、と気を引き締めたところだったが、まず最初に言われたのは、僕がどうしたいのか、だった。
しかも、パソコンを使いたい旨を伝えるとあっさりと許可が出た。
何の制限もなく。
そして権兵衛さんはと言うと、そのままパソコンを僕に託し、シャワーに行ってしまった。
さすがに無防備すぎやしないか?
まぁ、子どもの姿の僕に警戒をしていないからなのかもしれないが…人が良すぎるのか…。
少し権兵衛さんの危機管理意識に疑問を持ったが、この状況は自分にとっては都合がいいため、これに関して何かを言うのはやめた。
権兵衛さんから借りたパソコンを使って、いろいろ調べたが……予測していた通り、あまり情報は得られなかった。
だが、時折、検索して引っかかるものに共通点があることが分かった。
僕が調べているものが、ある漫画の中には存在しているものがあるということだ。
どうやら推理物のようだ。
地名や建物名が検索するとその漫画に引っかかるのだ。
まぁ、架空の物語ではあるが、現実にあるものをもじったり、実際の名前を使っていたりすることもある為、これは偶然かもしれない。
事実、その漫画のタイトルを見てみても、思い当たることが無いのだ。
「名探偵…コナン……?」
小学生の男の子が探偵っていうことか?
酷くファンタジーなことを考えてしまってから、首を横に振る。
そんなすごい小学生がいたら、ぜひともお目にかかりたいものだ。
現実的でない考えに、自虐的に笑った。
しかし、どこかでつっかえるものがあるのも確かだ。
「……もし、それが正しかったとしたら…」
嫌な汗が流れる。
先程出てきた漫画の内容をもっと詳しく見るべきではないだろうか?
そう思い、再び検索をしようとしたら、扉が閉まる音と、パタパタと慌てるような足音がした。
もちろん、浴室の方からだんだん近づいて来るので音の主は権兵衛さんしかいないが、一体どうしたというのだろうか?
「れい君!」と権兵衛さんの大きな声と勢いよく開けられた扉に注目した。
バンッと扉が開いて、目に飛び込んできたのは……。
「れい君!これってれい君の…!?」
「なっ……なんて恰好してるんですか!?
ちゃんと服着てください!!」
「えっ…あ、ごめんなさい」
下着姿の権兵衛さんだった。
下は短パンを履いていたが、上は完全にブラ一枚だ。
しかも、服を着ていた時にはそこまで気にならなかったが、意外と胸が大きい。
想像もしなかった姿に酷く動揺してしまった。
ちゃんと服を着るように言ったのに、権兵衛さんは何てことないように謝るとそのまま会話を続けてきた。
え、ちょ、本当に勘弁してくれ…!
「それよりも、これ!
れい君のじゃない!?」
「………スマホ…」
僕の視線に合わせて四つん這いになって、スマホを目の前に出す。
確かにこれは僕のスマホで間違いないだろう。
どういうことか聞こうと顔をあげると、僕と視線を合わせるために四つん這いになっているせいで権兵衛さんは胸を強調するような恰好になっていた。
思わずそこに目が向いてしまった。
これは不可抗力だ。
「……僕の、だと思います」
「そっか!良かったぁ」
「取り敢えず…服を着てきてください…」
「はーい」
自分のものだと伝えると権兵衛さんは心底ほっとしたようだった。
スマホを僕に渡した権兵衛さんはさっさとまた脱衣場に戻っていったようだった。
いくら僕が子どもの姿をしているとはいえ、もう少し権兵衛さんには危機感を持ってほしいと切実に思った。
じゃないと向こうは気にしなくても、こっちが気になる。
あまりにも無防備すぎて動揺してしまう。
いっそのこと、ハニートラップの方がよっぽど平気だ。
はぁ、とため息を吐きつつ、渡されたスマホを見る。
確かにこれは自分のものだ。
電源は入るが、圏外になっている。
電話をかけてみるが、やはり繋がらない。
「……使えない、か…ん?」
よく見てみると、使用した覚えないタイマーがセットされている。
まるで時限爆弾みたいだな、なんてことを思う。
そういえば、自分が此処に来る前は爆弾事件があった。
……何か関係があるのだろうか?
そのあとも、スマホをいろいろ動かしてみるが、特に変わったところはなかった。