小さなあなたと
あなたの名前は?
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ある程度、今後の事を決めたところで、子どもの名前の話になった。
私が名前を聞いたら少し考え込んでしまった。
もしかしたら名前も忘れちゃってるのかもしれない。
思い出せないのなら、新しくつければいいよね~と思いながら子どもにも提案した。
こんなかわいい子の名前を付けられるなんて美味しすぎる。
じっと少年の様子を眺める。
……やっぱり、あれだよね、コナンに出てくる安室さんに似てるから…透?
いや、でも、本名の方が私は呼びたいなぁ、零って。
響きもこっちの方が好きだな。
「れい、っていうのはどう?」
気が付いたら、すでに言葉に出していたらしい。
でも、それを聞いた子どもは目を大きく見開いた。
え、なんで?
もしかして嫌だった?
喜ぶとは思ってなかったけど、まさかのそんな表情。
いや、いくら私が呼ぶだけだと言っても一方的に決めるのはダメだよね、他の候補も出してみよう。
「あ、嫌だったら別の名前でもいいから…えーっと、じゃあ、しゅうってのはどう?」
「れいでお願いします」
「あ…はい」
れいは嫌だったかな、と思い、別の名前を言ったら、食い気味に「れい」の方に決めたようだった。
しゅうって名前の方が嫌だったみたいだ。
すごく嫌だって顔に書いてある。
さっきから話をしてて、大人っぽい子だとは思っていたけど…もしかしたら案外、子どもっぽく可愛いのかもしれない。
何か言いたそうな顔をした子ども…もとい、れい君。
しかし、その前にやらなくてはいけないことがある。
きっと聞きたいこともいろいろあるだろうけど…まずは。
「では、名前も決まったことだし、れい君」
「はい」
「これからのスケジュールを発表します」
「はい」
「まず初めに……れい君には、お風呂に入ってもらおうと思います」
「はい……はい?」
素直に返事をしていると思ったら、お風呂に入ってもらうという話になったら聞き返された。
何故?という顔をしている。
「昨日れい君を見つけた時には怪我もしてたし、熱もあったし、それに煤なのか埃なのかわからないけど、結構汚れてたのね。
見えてる範囲は拭いたんだけど…ちゃんと、綺麗にした方がいいと思うの」
「え…拭いたって…」
「まぁ、見えてる部分だけね。
腕とか足とか顔」
「ああ、なるほど…」
少しだけ顔を引き攣らせたれい君に状況を説明する。
あまり触られたくなかったかなぁ…と思いつつ、今度からはちゃんと本人の了承を得てから触ろう、と決めた。
「れい君にちょうどいいサイズの服が無いので、とりあえずこれを着てね」
「これは?」
「私のTシャツなんだけど、あんまり着てないヤツだから。
まぁ、れい君には大きいけど……今着てるのよりはサイズ小さいからはマシでしょう」
「ありがとうございます」
「じゃあ、お風呂案内するね」
「はい」
寝室のドアを開けて案内しようと思ったのだが…自分の体より大きな服を着ているれい君。
動きにくそう…そう思った時には思わず彼を抱き上げていた。
「ちょっ、何するんですか!?」
「ごめんね、その恰好だと動きにくいと思って…ちょっと我慢してね」
「だっ、大丈夫ですっ!」
「この方が早いから大人しくしてて、れい君」
「っ…!」
とんでもないものを見るかのような顔をしたれい君に多少傷つきながらも、抵抗する彼を抱き上げて浴室へ向かう。
すごーく抵抗されてるが…もっと強烈な抵抗する子を相手にしてきた私には大した抵抗ではない。
すまんな、れい君や。
「はい、到着!」
到着しておろすと、すっと距離を取られた。
酷いな。
しかも、後ろ向いたままだし…そんなに嫌だったの?
まぁ、強引に事を運んだ自覚はあるが……怒ってるかな…と彼の顔をそっと覗きこもうとすると、反対に顔をそらされた。
でも、耳が真っ赤になってるのはちゃんと見れました。
ああ、恥ずかしかったのね…。
思わず小さく笑ってしまった。
それが聞こえたのか、不機嫌そうな顔でれい君が私を見上げていた。
「ごめんね、次からはちゃんと聞くから」
「……ぜひ、そうしてください」
「はーい」
まだ不機嫌そうだが、れい君に浴室の説明を簡単にする。
そして部屋を出ようとして、ふっと思う。
大人っぽい彼だが……年齢的には4~5歳くらい。
……一人でお風呂入れるんだろうか…。
「れい君…」
「…何ですか?」
いきなり、真剣な声になった私に気付いたのか、れい君も真剣な顔をしている。
「……お風呂、一人で入れる?
あれだったら一緒に入ろうか?」
「大丈夫です!一人で入れますから!」
「本当に?
……そんなに言うなら…でも、何か困ったらすぐに呼んでね?」
「……はい…」
さすがに一緒に入ろう発言には、顔を真っ赤にしたれい君。
速攻で断られた。
心配ではあるが、大丈夫だと言っているのだから…仕方ない。
まぁ、抱っこもあんなに照れたれい君のことだ、お風呂一緒に入ったら逆にぶっ倒れるかもしれない。
意外とおませさんなのね、なんて思ってしまった。
浴室を後にした私は、次の行動へと移る。
まずは…取り敢えず、買い物に行くにしてのれい君の着るものが必要だ。
でも、れい君に留守番させて買いに行くのは難しい。
ということで、ネットで一式購入。
お急ぎ便で。
これで明日には出掛けられる格好になる。
他の日用品はそれから買えばいい。
必要なものをあれやこれやと考えながら、朝食の支度を始めることにした。