小さなあなたと
あなたの名前は?
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一つ目の爆弾は爆発する前に無事に解体することができた。
犯人も捕まったと、無線で知らせが入る。
ほっと胸をなでおろしたものの、何か違和感を感じた。
同じようなことを以前も経験したような気がする。
何か見落としているものがあるのかもしれないと思い、事件を振り返っていると後ろから声をかけられる。
「ゼロ、ここに居たのか」
「ん?ああ、ヒロ」
さっきまで顔を合わせていたはずなのに何故か久しぶりに会ったような気がしている。
そんな違和感が顔に出ていたのだろう、相手にも尋ねられた。
「どうしたんだ?
犯人も捕まったし、俺たちもそろそろ引き上げた方がいいと思うんだけど」
「ああ……でも、何か見落としているような気がして…」
何となく腕を組むと、スーツの胸ポケットに違和感を感じた。
不思議に思い、中に入っているものを取り出す。
「……これは」
中から出てきたものを見て、はっとする。
そうだ、爆弾はもう一つある。
どうしてだかわからないが、僕はそれの場所を知っている。
時計を見れば、まだ二つ目の爆弾が爆発するまでに15分ほどある。
爆発処理を呼んでいる時間はない。
僕たちが行った方が早いだろう。
「ヒロ、爆弾はもう一つある」
「何だって?」
「詳しいことは後で話すが、僕らが居る場所が一番近い。
爆弾処理班を呼んでいる時間はない」
「つまり俺たちでどうにかしようってことか?」
「ああ…手伝ってくれるだろ?」
「もちろん」
お互いに顔を見て頷く。
ヒロに爆弾の場所を知らせ、付近にいる一般人の避難を頼んだ。
確か、爆弾は一つ目と同じで簡単な構造の物だったはず。
すぐに目的地に着くと、やはりその場所に爆弾は仕掛けてあった。
解体には5分もかからなかった。
無事に解体できたことを、ヒロに電話で伝える。
その後の処理については部下に連絡をし、対応するように指示した。
「………ふう」
一息ついたところで、先程ポケットから出てきたものをもう一度見てみる。
根付だ。
魔除けの意味を持つパワーストーンが付いている。
これを見て思い出すのは、桜の花と、後ろ姿の着物の女性、そして“れい君”と僕の名前を呼ぶ優しい声だ。
もっといろいろなことを知っているはずなのに、それ以上の事が思い出せない。
いや、知っている以上の想いがあったはずなのに、彼女の顔も名前も思い出せない。
それでも、思うことは…彼女には幸せでいてほしい、ということだ。