小さなあなたと
あなたの名前は?
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ほぼ下着状態でれい君の前に出たのはまずかったらしい。
スマホを渡した後、ちゃんと着替えを済ませてれい君の居るリビングへ戻ったら、怖い顔したれい君に正座させられた。
「いくら、僕が子どもだからと言ってあんな恰好で出てきたらダメです」
「……はい、お見苦しいものをお見せして申し訳ございません」
深々と頭を下げたら、焦ったような声がする。
「見苦しいとかそういうんじゃないですけど…!
とにかく、その……困るんです、僕が!」
「………れい君が?」
「………権兵衛さんっ!」
は、しまった。
つい、可愛くて笑ってしまったのがバレたらしい。
怖い顔してても可愛いって罪よな…。
僕が困るって、可愛すぎる…何、この子、天使なの?
でも、確かに私が悪かったと思う。
初心な少年の心を弄んだお姉さんを許しておくれ。
そうだよね、いきなり下着姿のお姉さんが現れたらびっくりするわな。
れい君には刺激が強すぎたのよね、大した身体じゃないケド。
まだプンプンしているれい君にごめんね、と改めて謝ると次からは気をつけるようにと言われた。
はーい、とどっちが子どもかわからないような返事をして、この話題は終わりにすることにした。
「それよりも、れい君。
調べものとか、スマホとかはどうだった?」
「え?ああ……調べものに関しては…あまり収穫はありませんでした。
スマホは僕の物ですが、圏外で通じませんでした。
ただ……何かのタイマーがセットされてることはわかりましたが…それが何なのかは」
「圏外?え、なんでだろ…?」
「……多分ですが、僕が此処に来る前にあった事と関係しているのかと」
「何があったのかは思い出せた?」
「……いえ…」
「そっか…まぁ、慌てなくていいから。
焦っても仕方ないからね」
時折言葉に詰まるれい君に、少し詮索し過ぎた気がしてこれ以上の事を聞くのはやめた。
それより今後の事をしっかりと話さないとなぁ、とぼんやり考えた。
「えっと、れい君、ここで過ごすためのルールというか決まりを作っておきましょうか。
まぁ、ルールなんて言ったけど、特にやっちゃいけないことはないし……好きなように過ごしてもらえばいいよ。
あ、でも、料理は一人でやるのはやめてね。
あと、外出の時は一緒についてきてほしいかな」
「わかりました、一応、置いてもらうわけですから、家事とか手伝いはさせてください。
できる範囲でいいので」
「別に何もしなくていいけど…れい君がしたいのならお手伝いをお願いしましょう」
「はい、何でもできるので遠慮なく言ってくださいね」
家事は任せろ、と言わんばかりのれい君に、本当にしっかりした子だなぁ…と感心していた。
「あと…外出の際について行くのは良いんですが、権兵衛さんが仕事の時はどうしたらいいですか?」
「え?ああ……あー…………」
「…権兵衛さん?」
こてんと首を傾げるれい君に苦笑しながら、なんて答えようか考える。
仕事辞めました、なんてれい君に言うことでもないかな。
妙に大人っぽい彼の事だから、仕事辞めたなんて言ったら金銭面を心配されそうだ…まぁ、余計なことは言わなくてもいいか。
「仕事は長いお休みを貰ってるので、れい君を置いて仕事にってことはないよ。
だから、外出って言っても買い物行くとか近所に散歩とかそういうものになるかな」
「そうですか……わかりました」
れい君は少し納得していなさそうな顔をしたが、追及するのはやめたようだ。
まぁ、追及されたところでなんてことはないが。
別にやましいことなどない。
「えっと、私が言いたいのはそれくらいだけど、れい君からは何かある?」
「そうですね……僕はたまにパソコン貸していただければ」
「ああ、いいよ、使いたいときに言ってね」
「ありがとうございます」
「他は良かった?」
「今のところは…」
「そうだね、また何か問題があったら話をしよっか」
「わかりました」
取り敢えず簡単にここでの生活を話した後は、ちょっと早めの夕食の準備を始めた。
朝食は微妙な時間だったのと、お風呂やらなんやらしてたら結構時間が過ぎていたのだ。
がっつり系でお腹いっぱいになってもらおう。
れい君は食べ盛りの男の子だもんね。
私はキッチンに立つとそれに気付いたれい君がパソコンを触るのをやめて「手伝います」とそばによって来た。
可愛い…癒される。
簡単な作業をれい君にお願いし、着々と支度をしていく。
それにしてもれい君は本当に手際が良いな。
「そういえば、れい君の好きな食べ物は?」
「うーん…なんでも食べますが、セロリとかは好きですよ」
「セロリ」
食の好みまで子どもっぽくない。
まぁ、そういう子が居てもよいでしょうとも。
…私にセロリ料理のレパートリーが無いため、今度調べようと思ったけど。
そして、コナンに出てくる安室さんの事も頭に浮かぶ。
彼もセロリ好きだよね?
こんな偶然ってあるのかなぁ。
もしかして………彼の家族とかに安室さんファンがいるとか?
見た目が似てるから、寄せてるとか。
あ、もしくは本人が好きで似せてるって可能性もあるよね。
好きな食べ物まで寄せられるのかは微妙なところだけど。
私は、隣でサラダ作りに専念しているれい君を見ながら思ったことを聞いてみる。
「れい君って、コナン観てたりするの?」
「………こなん?」
「あー……ごめんね、覚えてないよね」
「いえ…えっと…」
「あ、次はこのお皿に盛り付けしてね」
「はい」
きょとんとするれい君の顔を見てやってしまった、と思った。
そう、例え知っていたとしても、今、記憶喪失のれい君に聞いたところでわかるわけがない。
確かめようがないわけだ。
そうね、大したことじゃない。
別に真似してようかしてなかろうが、れい君の可愛さはプライスレスだ。
それに、何となくだが……この話題はしてはいけないような気がした。
中途半端に話題を切り上げたため、れい君は何か言いたそうだったが、結局、何も聞いてこなかった。