小さなあなたと
あなたの名前は?
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今日、仕事を辞めた。
疲れてしまった。
毎日、可愛い子どもたちの相手をするのは良い。
でも、それ以上にやることが多く、子どもたちのために頑張らなきゃ、と頑張り続けた結果がこれだ。
とにかく疲れてしまったのだ。
心も、体も。
これからは自分の為に時間を使おう。
まずは帰ったら、思う存分睡眠を貪ろう…あまり回らない頭でそう考えていた。
誰もいない自分の部屋に帰る。
「ただいま…」
返事なんて帰ってくるわけないのだが、一応、言ってしまう。
荷物をダイニングの椅子に適当に置き、コップに水を注いで、のどを潤す。
「はぁ……つかれた」
ふっと、ソファを見ると……ん?何やら見慣れ物体が…。
あんなところに洗濯物を置いた覚えもないし…見覚えのない服…。
なんだこれ…そう思い、塊に近づいたところで、その塊が動いた。
……え。動いた?
思わず足を止めた私は、この得体のしれない物体にほんの少し恐怖を感じていた。
私に同居人はいないし、ペットも飼っていない。
では、この動くものは一体…。
いつまでもこうしていても仕方がないので、勇気を出して、一番上の布をそーっとめくってみる。
すると……え?子ども?
そこにすやすやと眠る一人の子どもが……え、誰?
何で、私の部屋に見知らぬ子どもが…?
頭の中は疑問でいっぱいだ。
ただよく見ると…その子どもはところどころ汚れているし、怪我もしているようだった。
そして…もしかして熱がある?
よく見ていると時折息苦しそうな呼吸が聞こえる。
そっと額に手を当てれば、かなり熱い。
「………とりあえず、冷やさないと…」
子どもは眠っているようで起きる気配が無い。
巻き巻きになっている布を起きないようにそっと外せば、汗もかいている。
全く知らない子どもだが、放ってはおけない。
取り敢えず怪我してるし、汚れてる部分がある為、おしぼりでそっと体を拭いてやる。
何故か、成人男性用の大きな服を着ている。
サイズが全然あっていない。
さすがに脱がす訳にはいかないため、服をまくってできる部分をきれいにする。
「……傷が……」
尋常じゃない傷の量。
普通に転んだんじゃ付きそうにない傷に…嫌な考えが頭をよぎる。
「……まさか……虐待されてるとか……」
着ているものも子ども用じゃないし、こんな怪我だし…どうやって私の部屋に入ったのかわからないけど、逃げてきたとか…。
そんな嫌な想像をしたら…さすがに胸が痛くなってしまった。
実際はどうなのかわからないけど、知らない人に家にこんな状態で入り込むなんて尋常じゃないことがあったのではないかと私は思った。
「………少しでも良くなるといいけど」
少しだけ呼吸が落ち着いてきた子どもをそっと抱きかかえて、自分のベッドに運ぶ。
さすがにソファじゃ、転げ落ちそうだもの。
私の睡眠を貪ろうっていうあれは、まぁ、いいわ。
自分のベッドにおろして頭を撫でる。
ああ、きっとちゃんとシャンプーしてあげれば、サラッサラだな、この子。
少し色黒で綺麗な金色の髪の毛…顔だちも整ってる。
将来はきっとイケメンだな…そんなことをぼんやりと思いながら、少しでも体が楽になるように頭や背中を撫でてやる。
気分的なものかもしれないけど、人の体温って痛みが和らぐ気がする。
少しだけ、子どもの表情が和らいだのが分かり、少し安心した。
「ゆっくり休んでね…」
少し落ち着いたことで、私も眠気に襲われた。
ご飯も食べてないし、お風呂も入ってないけど、ダメだ、子どもの看病でバタバタして…もう疲れた。
子どもの頭を撫でながら、私もベッドの横で意識が落ちていった。
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