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夕暮れのバスの中。
人差し指と薬指だけを拓也の小指にからませたなんちゃって手繋ぎ。
お互いに顔は合わせないし、喋りもしない。
友人達と遊びに出かけた今日、たまたま2人になった時に告白をした。
「拓也のことが好き。」
「ごめん。」
数秒の沈黙の後、彼から出てきた言葉。
一瞬泣きそうになったが、答えはだいたい分かっていたので涙は出なかった。
「うん」
「他に好きな人がいて、紗夜の気持ちには応えられない」
「…知ってるよ…ずっと拓也のこと見てたもん」
「俺も知ってる。俺も紗夜のことずっと好きだった」
「…うん…」
ずっと想ってた人から好きと言われて嬉しいはずのに、こんなに嬉しくない好きがあるのだろうか。
お互い両片思いだったのに拓也の心は途中から離れていった。
離れてしまった理由は分からないけれど、もう拓也の思いの先が私じゃないことは明確で。
わかりきった答えを自ら聞いて勝手に傷つくなんて、きっと他人から見たら馬鹿げてるんだろうなぁ。
「あのさ、」
「じゃぁ、」
同じタイミングで発した言葉に2人とも止まる。
「なに?」
「ううん、紗夜から言いなよ」
「あ、うん…じゃぁ、帰りの時間だけ彼女にして欲しい。そうしたら、諦める、から」
びっくりしたような顔でこちらを見下ろす彼はやっぱり格好よくて、大好きでたまらない。
拓也は言いかけた言葉を飲み込んで、いいよ。とだけ答える。
人差し指と薬指だけを拓也の小指にからませたなんちゃって手繋ぎ。
隣に座っているのに顔は合わせないし、喋りもしない。
友人達には私は寝たと思われたらしい。
同じバス停で降りて、じゃぁ、ありがとう。と反対方向に歩き出した拓也の背中にぎゅっとしがみつく。
「紗夜?」
「ごめん。引き止めてごめん」
「うん、いいけど…どうした?」
「…帰るまでは彼女にしてほしい」
「送っていけばいい?」
「そうじゃなくて、」
振り返った拓也に抱きしめられる。
「あのさ、紗夜」
「分かってるよ…」
「そーいうのはさ。ちがうじゃん。」
そう聞いた瞬間我慢できずにめいっぱい背伸びをして頬にキスをした。
堪えきれなくなった涙が流れ落ち、拓也の頬をそっと濡らす。
「私は今でもずっと拓也のことが好きだよ」
人差し指と薬指だけを拓也の小指にからませたなんちゃって手繋ぎ。
お互いに顔は合わせないし、喋りもしない。
友人達と遊びに出かけた今日、たまたま2人になった時に告白をした。
「拓也のことが好き。」
「ごめん。」
数秒の沈黙の後、彼から出てきた言葉。
一瞬泣きそうになったが、答えはだいたい分かっていたので涙は出なかった。
「うん」
「他に好きな人がいて、紗夜の気持ちには応えられない」
「…知ってるよ…ずっと拓也のこと見てたもん」
「俺も知ってる。俺も紗夜のことずっと好きだった」
「…うん…」
ずっと想ってた人から好きと言われて嬉しいはずのに、こんなに嬉しくない好きがあるのだろうか。
お互い両片思いだったのに拓也の心は途中から離れていった。
離れてしまった理由は分からないけれど、もう拓也の思いの先が私じゃないことは明確で。
わかりきった答えを自ら聞いて勝手に傷つくなんて、きっと他人から見たら馬鹿げてるんだろうなぁ。
「あのさ、」
「じゃぁ、」
同じタイミングで発した言葉に2人とも止まる。
「なに?」
「ううん、紗夜から言いなよ」
「あ、うん…じゃぁ、帰りの時間だけ彼女にして欲しい。そうしたら、諦める、から」
びっくりしたような顔でこちらを見下ろす彼はやっぱり格好よくて、大好きでたまらない。
拓也は言いかけた言葉を飲み込んで、いいよ。とだけ答える。
人差し指と薬指だけを拓也の小指にからませたなんちゃって手繋ぎ。
隣に座っているのに顔は合わせないし、喋りもしない。
友人達には私は寝たと思われたらしい。
同じバス停で降りて、じゃぁ、ありがとう。と反対方向に歩き出した拓也の背中にぎゅっとしがみつく。
「紗夜?」
「ごめん。引き止めてごめん」
「うん、いいけど…どうした?」
「…帰るまでは彼女にしてほしい」
「送っていけばいい?」
「そうじゃなくて、」
振り返った拓也に抱きしめられる。
「あのさ、紗夜」
「分かってるよ…」
「そーいうのはさ。ちがうじゃん。」
そう聞いた瞬間我慢できずにめいっぱい背伸びをして頬にキスをした。
堪えきれなくなった涙が流れ落ち、拓也の頬をそっと濡らす。
「私は今でもずっと拓也のことが好きだよ」
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