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明日はお互い仕事が休みなので、彼氏の家に泊まりに来た。
付き合って3ヶ月も経てば泊まりに来るのは普通のことだと思うのだが。
その、私たちは、えっと、…キスより先に進んでいない。
原因は私にあって、その理由は、怖い。ということ。
年齢も20代半ばではあるが、恥ずかしながら誰とも付き合ったことがなく、渉くんが初めての彼氏になる。
お泊まりは今まで何度もしてきているし、その度に下着も彼の好みはわからないけど、派手すぎないキレイめのものを用意しているが、実際そんな雰囲気になると逃げ出してしまう。
いつもサラッと受け流してくれる彼には申し訳無いとは思うけど、なかなか勇気が出せない。
でもさすがに…そろそろ…
少し決心が着いたところで、お風呂に入っていた彼が戻ってきた。
「ただいま、あちぃ〜」
「おかえり。じゃぁお風呂いただくね」
「行ってらっしゃい」
「…暑…」
お風呂の中でもそんなこと考えててばかりいたら逆上せそうだ。
ささっとスキンケアを済ませて寝室へ入ると、渉くんはいつものように読書をしていた。
「長かったね?大丈夫?」
「うん、大丈夫」
「…あの、さ。」
「ん?どうしたの?…っ…」
「なんか急にハグしたくなっちゃって…」
「ふふ、ぎゅー」
どうしたの?と聞きながら彼の隣へ座ると、ふわっと私の体に手が回され、抱きしめられたんだと実感した。
少し体を離してキスをする。
ちゅって軽めの、唇を合わせるだけの。
「…て、照れるな…」
「渉くんが照れるの可愛い」
「可愛いとか、言わないで」
そう言いながら照れ笑いしてる彼はやっぱり可愛い。
「もう1回、」
「んっ…んふ…」
頬に手を添えられ唇を重ねた。
キスはどんどん深くなっていくと同時に、気がつけば私の視界には渉くんの顔と天井が。
「渉くん…」
「やっぱり、怖い?」
こ、怖く…なくはない…
多分少し脅えた顔をしてしまったのかもしれない。
渉くんが優しい優しいキスをくれた。
そして、ドサッと私の横に寝転ぶ。
「ごめん、寝よっか」
「…」
「僕らは僕らのペースでゆっくりいこう。ね?
ほら、頭ここ。」
そう向けられた顔は笑っていて、腕を伸ばしてくれた。
けど、ちょっとだけ寂しそうに見える笑顔に、自分から唇を合わせて先程より強く彼を抱きしめる。
「…!?…いいの?」
私は恥ずかしくて、彼の胸で顔を隠してこくりと頷いた。
「ありがとう。できる限り優しくするから。」
そう言いながら彼の細くて綺麗な指が、ガラスでも触るような優しさで私の頭を撫でた。
どれくらい経過したのか分からないが、眼を覚ませば私は渉くんの腕の中にいた。
「ん…?」
「あ、紗夜起きた???」
「うん…力はいんないや」
「ごめんね、もしかして疲れさせちゃったかな?」
「ううん、大丈夫。」
「紗夜、」
「ん?」
「頑張ってくれてありがとう」
「!う、うん! 」
お礼!?
私こそ、逆に待たせてごめんね、って気持ちの方が強いのにお礼なんか言われたら何も言えなくなっちゃうじゃん!
けど、ちゃんと伝えなきゃね。
「私こそ、たくさん待たせてごめんね?」
「ん〜…そこは紗夜の可愛さに免じて許してあげる」
「かわっ!?可愛くない!」
「ふふ。可愛かったよ。
これからも紗夜の初めてや、見たことの無い顔沢山見せてね」
「それは、またおいおい…」
「えぇ!?」
そう言って驚く顔は、困ったなぁなんて笑ってる。
溺れそうな甘い雰囲気の中、無意識に再び目を閉じればすぐに夢の中だった。
「紗夜?寝ちゃった…?おやすみ、いい夢見てね。っ、」
おでこにキスをされたような感覚があったけど、それもきっと夢の中。