｢けーんと｣
｢んー？｣
｢なんでもない｣
｢そう？｣
｢うん。んふふ｣

座り心地の良い絨毯に座って本を読んでいると、
紗夜が後ろから抱きしめてきた。
普段から甘えん坊の彼女は、よくハグをしてきたり、手を自分から繋いできたりと俺にくっついてくる。
まぁそれがたまらなく可愛いんだけどね？

｢かまって欲しい？｣
｢んーん。私はこれだけで充分。健永が本読んでるの邪魔しないから、こうさせて｣
｢いいよ｣

可愛いでしょ。俺の彼女。
くっつくけど、あまりベタベタしないの。
その線引きがすごく気持ちよくて、一緒にいて落ち着くんだ。
そう思っていたら、なんだかもっと紗夜と時間を過ごしたくなって本を閉じた。

｢あれ？どうしたの？｣
｢んー…本よりも紗夜のことかまいたくなっちゃった｣
｢えー…えへへ。改めて言われると照れくさいね。嬉しい ｣

そんな可愛い顔しないでー！
いつもは自分からくっついてくるのに、こちらの押しには弱い紗夜は顔を赤らめて下を向く。

｢膝枕して？｣
｢いーよ｣

というと、ソファーに座るからその脚に頭を置く。
するとふわふわと頭を撫でてくれる彼女の手が優しくて最高に幸せな時間だなーと思う。
俺らの歌にもあるように｢最幸｣ってこういうことを言うのかもしれない。

｢紗夜、｣
｢ん？なにどう…っ｣
｢へへっ。｣
｢もう！｣
｢好きだよ。大好き。｣
｢…私も、健永のこと大好きだよ｣

手を伸ばして紗夜の顔を引き寄せてキスをして何度もしてきた告白をする。
すると、俺の手をぎゅっと握って言葉を返してくれる。
はたから見たらバカップルかもしれないが、こんなバカップルな休日をずっと過ごせていけたらいいと改めて思った。