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「あ!今日カレンダーめくってなかった!
みっくんめくって!」
「はいよ〜っと。」
キッチンから朝ごはんの片付けをしている紗夜が呼ぶ。
同棲を始めた日に、彼女が突然日めくりカレンダーを持ってきた。
『ね、今日からこれめくろうよっ』
『日めくりカレンダー?なんで?』
『1日ずつめくっていって、2人で過ごした日を残していくの。
デートの日はデートって書いたり、何かあればここに書いたりして、そしたら日記みたいになるじゃない?』
『ふふ、いいな。楽しそう』
『よし決まりーっ!
あ、めくった紙は、残しとこうねっ!』
『おう』
なんていって、リビングに掛けたのが懐かしい。
「今日で1年だって。早いねぇ〜」
「私はみっくんと出会ってからの3年間もすごく早いよ」
「まぁ…それは俺もだね。
んじゃ、仕事行ってくるわ。行ってきます」
と、玄関に向かうとパタパタと駆け寄ってくる
「ん、いってっしゃい!」
そう言って手を振って送り出してくれる。
けど、本当は気づいてた。
笑顔で送り出してくれる時に少しだけ、ほんの少しだけ寂しそうな表情をすることに。
多分彼女自身は気づいてないけど。
ここの所、ありがたいことに俺は忙しくて休みもほとんど無いし、帰りも遅くなることなんて今では当たり前だ。
でも、どんなに遅くなっても、自分も仕事があるのに寝ずに待っててくれて、「ただいま」と言うと目に涙を溜めながら笑って「おかえり」って言ってくれる。
いつも笑顔の紗夜が唯一弱さを見せる時。
本当は寂しがり屋なくせに強がって気丈に振る舞う姿が愛しくて、申しわけなくて…
今日こそは出来るだけ早く帰ろう。
はりきってご馳走を用意していてくれるだろうから。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「七時前…か。よしっ」
次の歌番組の衣装合わせと、雑誌のインタビューが終わってささっと身支度を整えた。
すると、次々とインタビューを終えたメンバーが楽屋に入ってくる
「あれ?ミツ、今日早いね」
「あぁ、たまか。 宮田待ってるよ。
俺、宮田の次だった」
「そうなんだ。あ、宮田ー!待っててくれてありがと」
「いいってことよ〜んっ!それよりどっか飯行く?
あ、北山さんもついでにどう?」
「ついでってなんだよ!」
「テヘペロ☆」
「うざー…まぁ良いですよ、おれは。今日はもう帰るわ。藤ヶ谷たちに言っといて」
「「はーい おつかれ」」
「おう」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「【これから帰る】と。よし」
一言メールを送って家路を急ぐ。
「ただ…」
「おかえり!早かったね!!」
「ただいま、紗夜。ウッキウキだね」
「もちろん!だってみっくん早く帰ってきてくれたんだもん、嬉しい!上着もらうよ」
「ありがとう」
ただいま、と言いながら玄関のドアを開くと、食い気味にとびきりの笑顔で迎えてくれた。
そして、俺のいつもより早い帰宅にこんなに喜んでくれるから「いつもゴメンな」って思う。
リビングに入ると、テーブルの上には思った通りたくさんのご馳走が並べられていた。
「みっくん?どうしたの?」
「ん?なんでもねぇよ。さっ、飯食おうぜっ!」
「うん!」
「「いただきます」」
「ん!めっちゃうめぇ!!」
「へへ、どういたしまして」
「なんで照れてんの?」
「いや、なんとなく?ふふ」
〜〜
「美味かった〜!ご馳走さま」
「ありがとう」
「ほんとに美味しかった」
「恥ずかしいって! もう、お風呂行ってきて!片付けとくからっ」
「ちぇっ、」
いつもあまり言えねぇから、俺も少し恥ずかしかったのに…なーんて。
褒められ慣れてないからなのか、照れてどうすればいいかわかんなくなって結局突っぱねる不器用な姿も可愛い。
こういう所、お互い似てるのかもしれない。
お風呂から上がると、ソファの上から可愛い寝息が聞こえる。隣に座って頬をすっと撫でながら話しかけてみた。
「お疲れさま。いつもいつもありがとう、愛してる…って何言ってんだ俺 」
「ん…みつ…?」
「わりぃ、起こした?」
「みつ!?みっくん、みっくんっ…よかった…いる…ちゃんと…」
「えっ!どうしたっ!? 大丈夫、俺はここにいるよ?」
起きたかと思えばいきなり泣きながらぎゅっと抱きしめてきた。
とりあえず背中をさすりながらゆっくりなだめてあげる。
「大丈夫か?よしよし。落ち着いたか?」
「…大丈夫、ごめんね…なんか、みっくんが遠くに行っちゃった夢見て、怖くなった…寂しかった…」
「…ごめんな、いつも不安にさせて」
思わず抱きしめ返す腕に力がこもる
きっと、こうやって一人で泣いた日もあると思う。
仕事上何日も家を空ける事や、同棲前だって何日も電話すらできない時もあった。
「し、しょうがないよ。お仕事だもん…」
「…今日は強がらなくていい。今日だけじゃない、俺の前では強がらないで」
「大丈夫だよ…、」
「もっと甘えていいんだよ、お前は」
「う、うぅ〜…」
子供みたいに泣き出した紗夜は、力の入らない腕で俺の身体をぎゅっと、それこそ子供が親に甘えるみたいに抱きしめた。
しばらくして泣き止んだ紗夜が、か弱い声で話しはじめた。
「た、たまにね?怖くなる時がある。私もみっくんのこと好きだし、みっくんが好きでいてくれてるってこと分かってるのに、なんだか怖くなってどうしようって…ごめんね…」
「謝らないでよ。謝らないといけないのはこっちなんだから。本当にごめん。紗夜のこと、不安にさせて寂しくさせて、本当にごめん。
あと、そういうこと、もっと言ってほしい。
お前の気持ち全部受け止めたい。」
「みっくん…、」
「愛してるよ。」
「わ、私も愛してる…っ」
どちらからとも無くキスをした。
触れるだけ、「好きだよ」って愛を伝えるためにいつもより少しだけ長く。
「ふふっ」
「ふっ…恥ずかしいね」
「うんっ」
「あのさ、これ受け取って…くれるかな」
顔を離すと照れくささから笑みがこぼれた。
用意していたものをポケットから取り出す
「なに〜?…!これ…、」
意味を理解してまた彼女の目から、今度は嬉し涙がこぼれた。
「俺と…結婚してください。」
「みっくん…」
「俺、これからも仕事とかで、お前のこと不安にさせちゃう事もあるかもしれないけど、寂しくなった時にそれを見て、俺のこと思い出してほしい。
紗夜には俺しかいないって思ってるし、俺には紗夜しかいないよ。」
「ありがとう… よろしくお願いします!」
彼女はとびっきりの笑顔で答えた。
この指輪が、俺の愛を証明すると紗夜の笑顔に誓う。
「今日は、泣いたり笑ったり大変だね。」
「うるさいよっ」
「これからも紗夜のいろんな表情見せてね。」
「みっくんもだからね。」
「ん。」
「みっくん、」
「ん?」
「好き。」
「俺も。」
またちゅってキスをして、二人で笑いあった。
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