アーユーマネージャー?
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最初はべつに、ただの変なバイトで、面白いファンで。それからそのあと、そーちゃんの彼女で、次に、優しくないマネージャー。
でも、それから、たまに優しかったり、たまに頬を引っ叩いてきたり、厳しかったり、でも面白い。ゲームも得意で、甘いものも好きで、車が運転できて、それから。それから、すげー、そーちゃんのことが、すき。
もやってした。やだって思った。いつもは俺と友達みたいに話すのに、そーちゃんの前では、なんか、女子みたいになる。女子だけど、さらに女子。それがやだ。なんでだよ。俺にはそんな風に、話してくれないのに。
もやもやってしたまま、でも、一緒にいて、ゲームの話とかしてると、楽しかった。仕事の話でも、なんか、楽しい。もっと話がしたい。そーちゃんに、独り占めなんて、させたくない。だから、ちょっとだけ、そーちゃんから引き離したかった。
そーちゃんに恋してるから、俺よりそーちゃんと話すんだって思ったら、悔しかった。じゃあ、俺にだってそういう感情を向けてくれればいいのにって思った。そーちゃんばっか、ずるい。ただそれだけ。
くるり。そーちゃんが呼んでるのに、俺の方に戻ってきてくれた。それだけで嬉しい。初めて、俺のこと選んでくれた。とか思ってたら、マネージャーの手が、座ってる俺の頭に乗っかって。えっ。「そうかそうか甘えたいのか!なんだよ最初からそう言え、ういやつめ」マネージャーは、ぐしゃぐしゃ、ってほど激しい乱し方じゃないけど、髪をくしゃっと撫でてくる。
「は?え、ちょ、」
「名字さん!?」
「なんかあったの?聞くよ?」
「……な、なんも、ないけど」
顔があつい。なんで。撫でられてるだけじゃん。つか、デコ触れんな、熱いのばれる。けど、唐突に手の動きが止まったと思ったら、「だがしかし甘やかしてやるにはもっと良い子になってもらわんと」って、そう言ってマネージャーは手を離していく。
繋がってた体温が消えた。また、そーちゃんのとこに戻るの。やだ。もっと、もっと、「まっ、待って」気が付いたら口が彼女の行動を止めていた。次いで、左手がマネージャーの右手をつかむ。ほっそ。
「………えっ?なに、痛いよ」とか言うから、力はちょっとだけ緩めた。まだ、やめないで。どっか行かないで。まだもうちょっと、俺のこと、選んでて。
「………ま、前払い」
「はい?」
「…い、良い子に、なる、と思う、はず、だから、前払い…」
「まさかの前払いシステムだし契約条件が不安すぎ」
「な、なる!良い子ってやつになるから!」
「……まあいいか。うむ。よしよし」
また髪が乱された。さっきよりも緩く、でも、なんか、ふわふわしてて、…あー、嫌いじゃない。「た、環くん!!」そーちゃんが慌ててた。いいだろこれくらい。前払いシステム。ケイヤクジョウケン安心。
「背の高い人は頭を撫でられるのが好きって言うけど、環くんも?」手を止めずに聞いてくるけど、知らない。たまにヤマさんが撫でてきたりするけど、それとはなんか、違う、気がする。「両刀」手が増えた。あ、なんかちがう。シャンプーみたい。「ちがうのか」首を振ればひとつに戻った。
あったかい。なんか、子供扱いされてるみたいだけど、嫌じゃない。おかしい。「ほい、前払いぶん終わり」えっ、と思って顔を上げたらそーちゃんがすごい顔してた。一瞬びくっとしたけど、嫌なら嫌って言えばいいのに。なにが不満なんだよ。いつも、甘えられるのに。
「…いーじゃん。そーちゃんいつも、マネージャーにあまえてんじゃん」
「ん!?なんの話」
「そ、それはっ、…こ、恋人だからだよ!!」
「んっ!!?まままま待って逢坂くんそういうこと大声で」
「じゃあいいだろ!!たまにくらい、」
「まあ待て落ち着けどうした」
「だいたい環くんは恋人でもないだろう!!歳の変わらない女性に、甘えたいだとかそういう…!!」
「歳変わらないのに、いつもガキ扱いされてんだよ!!ならいいだろ、ずりーよ、そーちゃんばっか!!」
「すすすすすストップ!!え!?なに!?もしかしてこれわたしのために争わないで的な!?待って逢坂くん落ち着こう」
マネージャーがそーちゃんを抑えにかかればそーちゃんはぐっと言葉を詰まらせた。「名字さんも、どうして環くんの肩ばっかり持つんだ…!!」はあ!?いつもそーちゃんの方がひいきされてんじゃん!!
「へえあ!?よ、よしよし!!ごめんね、いつも逢坂くんが頑張ってくれてるからわたしも甘えてて…!!」マネージャーも変な声あげて混乱してて、普段どっちをひいきしてるかなんて考えてない。納得いかねえ。そりゃ、俺よりそーちゃんが色々やってんのは分かってるけど。
そーちゃんも、もっとわがまま言えばいいのに。いま、咄嗟に出てきたそれが、あんたの本心なんだろ。「…っ、い、や、僕こそ、ごめん…」ああっ、ああもう、甘えたいって言うんならなんでそこで引き下がるんだよ!!
「…ゆーとーせー」
「ん?」
「なっ、…僕は、大人、だからね、子供の環くんみたいになんでも許されるわけじゃないんだ」
「そんなこと思ってねーよ!!」
「待って待ってなにがどうなってるのかまったくわからんが、逢坂くん待ってあげて、環くんはわたしが逢坂くんにばっかり優しくてムカついてるだけだから!ただ二人の格差が気に入らないだけだから!!」
「ちがっ、」
「そーだよ!!」
「…………えっ」
俺だって頑張ってるとか、そういうことを言う気はないけど、ちょっとくらいそーちゃんと対等に見て欲しい。格差っていうか、恋人だからって、そーちゃんばっかり構ってるのは、むかつく。
そーちゃんと一緒に過ごしたぶん、俺とも一緒に過ごしてほしい。一分一秒まったく同じ、なんてけちくさいこと言う気もないけど、ずるいって思うから、俺だってマネージャーと話がしたい。
「え、あ、」かああ。そーちゃんの顔が赤くなっていく。えっ、なんだよ、いきなり。「……逢坂くん?」マネージャーも気付いたみたいで目を丸くしていた。
「……ご、ごめん、環くん」
「は?なにが…」
「な、なんでもないけど、ごめん。言いすぎた…」
「お、おう…?」
「どしたの逢坂くん」
「なんでもない、なんでもないけど、名字さんも、ごめん…」
「え?う、うん…」
急に大人しくなって俯いたそーちゃんに、マネージャーと顔を見合わせ首を傾げる。どーしたんだろ。「…逢坂くんも、撫でていい?」あっ、ずるい。って思うけど、さっき前払いもらったし、うー、まあいいか。