Summer time
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"明日の夜、予定を空けておいてほしい"
越知先輩からの唐突なお誘い。
先輩とはなんとなく波長が合うから
私達はいつの間にか一緒にいることが多く
よく一緒に散歩をしたり、買い出しに行ったり
食事をすることがあるのだけれど
前もって、しかも夜に予定を空けておいてほしい
なんて言われたのは初めてだった。
当日はなぜかそわそわしてしまって
何をするんだろう、夜に散歩したいのかな
なんて考えていたらあっという間に約束の時間になった。
「すまない、待たせただろうか」
いえ、待ってませんよ、と言いたかったのだけれど
私の口から出た言葉は『それ、なんですか?』だった。
だって、先輩が手にしていたものはバケツとビニール袋だ。
似合わなさすぎて違和感がすごい。
越知先輩は手にした物の説明はせずに
行くかと言って歩き出した。
わからないけど、とりあえずついて行ったみたらたどり着いたのは川べりだった。
『え?花火…?』
がさっとビニール袋から取り出されたのは、花火のセットだ。
「お前が花火をしたがっていると言っていたから買ってみたんだが
このサイズで良かったのだろうか」
パッケージには大容量と書いてあって
二人でするには相当時間が掛かりそうなくらい入っている。
わからないままに、私がしたいと言ったから
準備してくれたのかと思うとじんわり、胸が温かくなった。
二人で火種の準備をして、花火に火を付ける。
『わぁっ……!』
少し大きめの花火に火をつければ
勢いよく綺麗な火花が出てきて
辺りを明るくしてくれた。
手持ち花火なんて久しぶりにするから見惚れていたら
越知先輩がジッとこちらを見ていることに気づく。
『どうしました?』
「いや。……楽しいか?」
『はい!とっても!ありがとうございます』
そう告げると越知先輩は
フッと、優しく微笑んでくれた。
花火の灯りに浮かぶ先輩の姿が綺麗で
今度は私がジッと、越知先輩を見つめる。
このまま、時が止まれば良いのに。
そう思った瞬間、花火の火が消えて
同時に風によって火種までもが消えてしまった。
『あっ…!付けなきゃ…』
「触るな。火傷したらどうする。じっとしていろ」
越知先輩は咄嗟に伸ばした私の手を掴んで止めてくれた。
大きくて少し体温の低い先輩の手は
心地よくて、安心感があるけれど
触れられたことで意識しないようにしていたことが
一気に頭を過る。
今は、越知先輩とふたりきり。
川のせせらぎと、虫の声、月明かり
いつもと違う雰囲気にどくん、と胸が高鳴る。
「夏美」
少し掠れた声が耳に響いて
名前を呼ばれただけで胸がぎゅっと
掴まれたかのような感覚に陥る。
どんな顔をしたら良いかわからず
恐る恐る越知先輩を見ると彼はすっと上を指さした。
つられて空を見上げて見ると満点の星空だった。
『すごい……綺麗……』
「こんな夜もたまには良い」
『ふふっ…越知先輩と花火と星空なんて、贅沢すぎます』
「しばらくは付き合ってもらうぞ。
まだ山ほど花火が残っている」
『はい!』
本当は他の皆を呼んだほうが
きっと花火もすぐになくなるだろう。
だけど、越知先輩が何も言わないのは
二人で過ごしたいと思ってくれているのだと
期待せざるを得ないのだった。
(毛利くんも一緒に来るのかと思っていました)
(なぜだ)
(なぜって、いつも一緒にいるので)
(お前と過ごす時はいないと思うが)
(え……あ、言われてみればそうですね)
(毛利が遠慮してくれるからな)
(遠慮?)
(こちらの話だ、気にするな)
越知先輩からの唐突なお誘い。
先輩とはなんとなく波長が合うから
私達はいつの間にか一緒にいることが多く
よく一緒に散歩をしたり、買い出しに行ったり
食事をすることがあるのだけれど
前もって、しかも夜に予定を空けておいてほしい
なんて言われたのは初めてだった。
当日はなぜかそわそわしてしまって
何をするんだろう、夜に散歩したいのかな
なんて考えていたらあっという間に約束の時間になった。
「すまない、待たせただろうか」
いえ、待ってませんよ、と言いたかったのだけれど
私の口から出た言葉は『それ、なんですか?』だった。
だって、先輩が手にしていたものはバケツとビニール袋だ。
似合わなさすぎて違和感がすごい。
越知先輩は手にした物の説明はせずに
行くかと言って歩き出した。
わからないけど、とりあえずついて行ったみたらたどり着いたのは川べりだった。
『え?花火…?』
がさっとビニール袋から取り出されたのは、花火のセットだ。
「お前が花火をしたがっていると言っていたから買ってみたんだが
このサイズで良かったのだろうか」
パッケージには大容量と書いてあって
二人でするには相当時間が掛かりそうなくらい入っている。
わからないままに、私がしたいと言ったから
準備してくれたのかと思うとじんわり、胸が温かくなった。
二人で火種の準備をして、花火に火を付ける。
『わぁっ……!』
少し大きめの花火に火をつければ
勢いよく綺麗な火花が出てきて
辺りを明るくしてくれた。
手持ち花火なんて久しぶりにするから見惚れていたら
越知先輩がジッとこちらを見ていることに気づく。
『どうしました?』
「いや。……楽しいか?」
『はい!とっても!ありがとうございます』
そう告げると越知先輩は
フッと、優しく微笑んでくれた。
花火の灯りに浮かぶ先輩の姿が綺麗で
今度は私がジッと、越知先輩を見つめる。
このまま、時が止まれば良いのに。
そう思った瞬間、花火の火が消えて
同時に風によって火種までもが消えてしまった。
『あっ…!付けなきゃ…』
「触るな。火傷したらどうする。じっとしていろ」
越知先輩は咄嗟に伸ばした私の手を掴んで止めてくれた。
大きくて少し体温の低い先輩の手は
心地よくて、安心感があるけれど
触れられたことで意識しないようにしていたことが
一気に頭を過る。
今は、越知先輩とふたりきり。
川のせせらぎと、虫の声、月明かり
いつもと違う雰囲気にどくん、と胸が高鳴る。
「夏美」
少し掠れた声が耳に響いて
名前を呼ばれただけで胸がぎゅっと
掴まれたかのような感覚に陥る。
どんな顔をしたら良いかわからず
恐る恐る越知先輩を見ると彼はすっと上を指さした。
つられて空を見上げて見ると満点の星空だった。
『すごい……綺麗……』
「こんな夜もたまには良い」
『ふふっ…越知先輩と花火と星空なんて、贅沢すぎます』
「しばらくは付き合ってもらうぞ。
まだ山ほど花火が残っている」
『はい!』
本当は他の皆を呼んだほうが
きっと花火もすぐになくなるだろう。
だけど、越知先輩が何も言わないのは
二人で過ごしたいと思ってくれているのだと
期待せざるを得ないのだった。
(毛利くんも一緒に来るのかと思っていました)
(なぜだ)
(なぜって、いつも一緒にいるので)
(お前と過ごす時はいないと思うが)
(え……あ、言われてみればそうですね)
(毛利が遠慮してくれるからな)
(遠慮?)
(こちらの話だ、気にするな)