Summer time
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「なんで俺なんだよぉ」
『遠野が頼みやすいから!おねがーい!』
しぶしぶ承諾を得て
二人して向かったのは夜の薄暗い外にあるトイレ。
昼間の練習のときに
私はそこにポーチを置いてきてしまったのだ。
「明日じゃダメなのかよ」
『だってお風呂上がりに使うから絶対いるの』
乙女に化粧水は必需品なのだから
なんとしてでも回収しなければならない。
遠野は文句を言ってはいるが
なんだかんだちゃんとついてきてくれている。
こう見えて、面倒見が良い。
「この間もタオル忘れたとか騒いでただろ」
『ん?あぁ、結局あったんだけどね』
「落ち着きのねぇ奴」
言い返そうとしたけど
この人は試合となると狂犬じみているくせに
普段は割と落ち着いているし
なんか、ちゃんとしている。…ちょっと悔しい。
歩いていたら、徐々に空は暗くなり
コートから離れてくると
電灯の明かりもあまり届かなくなってきた。
待って、これけっこう怖いかも。
心霊系とかそういうの苦手なのに
雰囲気的にはどう見ても
夏の特番でよくありそうな肝試し状態じゃないか。
『ね、ねぇ…袖掴んでもいい?』
「はぁ?何言って……もしかして怖いのかぁ?」
心配してくれてるのかと期待してちらりと遠野を見ると
そうだよねー、そういう男だよねー
めっちゃニヤニヤしてて腹が立つ。
やっぱり袖なんか掴まない、頼らない、と言って
遠野より先に歩いてトイレへと向かった。
頼らないと断言したものの、トイレに着いた瞬間後悔した。
どうやら照明が切れかかっているらしく
チカッ、チカッ、と点滅し
入口の奥には、どんよりとした闇が広がっている。
真夏の夜なのに、首筋がゾワッとして寒気がする。
「どうしたんだよ。入らねぇのかぁ?」
挑発したような声色も、今はどうでも良いくらいに怖い。
どうしよう。絶対一人で入りたくない。
でも素直に助けを求めるのも悔しい。
うだうだしていたら、ふいに手を繋がれた。
『え?』
「取り行くぞ。どこに置いたんだよ」
遠野はぎゅっと手を握って
自分の身体に寄せるように、私を引き寄せて歩きだす。
ぴったりとくっついた体温は私を安心させてくれて
ポーチは難なく確保することができた。
『あの…ありがとう』
「今度なんか奢れよなぁ」
『……あの、手、離さないの?』
繋がれたままの手を
どうしたらいいのかわからずにいたら
離さないと言わんばかりの力で握りしめられた。
さっきから、触れる度に色々意識してしまって
心臓の音がうるさい。
「握り締めの刑だぜぇ」
『えっ、ちょっと痛い痛いっ!』
私のときめきを返せと睨むと
彼の耳は赤く染まっていた。
赤く染まった耳も
痛いけれど本気で痛めるつもりはないこの力強さも
どうやら彼の照れ隠しのようで
私はますます意識してしまうのだった。
(いきなり握り締めの刑とか意味わかんない)
(落ち着きねぇお前を見張ってやってるんだぜぇ。
感謝しろよな)
(…遠野って、私のこと好きだったりする?)
(はぁ?)
(いや、冗談です)
(気づいてなかったのかよこいつ…)
『遠野が頼みやすいから!おねがーい!』
しぶしぶ承諾を得て
二人して向かったのは夜の薄暗い外にあるトイレ。
昼間の練習のときに
私はそこにポーチを置いてきてしまったのだ。
「明日じゃダメなのかよ」
『だってお風呂上がりに使うから絶対いるの』
乙女に化粧水は必需品なのだから
なんとしてでも回収しなければならない。
遠野は文句を言ってはいるが
なんだかんだちゃんとついてきてくれている。
こう見えて、面倒見が良い。
「この間もタオル忘れたとか騒いでただろ」
『ん?あぁ、結局あったんだけどね』
「落ち着きのねぇ奴」
言い返そうとしたけど
この人は試合となると狂犬じみているくせに
普段は割と落ち着いているし
なんか、ちゃんとしている。…ちょっと悔しい。
歩いていたら、徐々に空は暗くなり
コートから離れてくると
電灯の明かりもあまり届かなくなってきた。
待って、これけっこう怖いかも。
心霊系とかそういうの苦手なのに
雰囲気的にはどう見ても
夏の特番でよくありそうな肝試し状態じゃないか。
『ね、ねぇ…袖掴んでもいい?』
「はぁ?何言って……もしかして怖いのかぁ?」
心配してくれてるのかと期待してちらりと遠野を見ると
そうだよねー、そういう男だよねー
めっちゃニヤニヤしてて腹が立つ。
やっぱり袖なんか掴まない、頼らない、と言って
遠野より先に歩いてトイレへと向かった。
頼らないと断言したものの、トイレに着いた瞬間後悔した。
どうやら照明が切れかかっているらしく
チカッ、チカッ、と点滅し
入口の奥には、どんよりとした闇が広がっている。
真夏の夜なのに、首筋がゾワッとして寒気がする。
「どうしたんだよ。入らねぇのかぁ?」
挑発したような声色も、今はどうでも良いくらいに怖い。
どうしよう。絶対一人で入りたくない。
でも素直に助けを求めるのも悔しい。
うだうだしていたら、ふいに手を繋がれた。
『え?』
「取り行くぞ。どこに置いたんだよ」
遠野はぎゅっと手を握って
自分の身体に寄せるように、私を引き寄せて歩きだす。
ぴったりとくっついた体温は私を安心させてくれて
ポーチは難なく確保することができた。
『あの…ありがとう』
「今度なんか奢れよなぁ」
『……あの、手、離さないの?』
繋がれたままの手を
どうしたらいいのかわからずにいたら
離さないと言わんばかりの力で握りしめられた。
さっきから、触れる度に色々意識してしまって
心臓の音がうるさい。
「握り締めの刑だぜぇ」
『えっ、ちょっと痛い痛いっ!』
私のときめきを返せと睨むと
彼の耳は赤く染まっていた。
赤く染まった耳も
痛いけれど本気で痛めるつもりはないこの力強さも
どうやら彼の照れ隠しのようで
私はますます意識してしまうのだった。
(いきなり握り締めの刑とか意味わかんない)
(落ち着きねぇお前を見張ってやってるんだぜぇ。
感謝しろよな)
(…遠野って、私のこと好きだったりする?)
(はぁ?)
(いや、冗談です)
(気づいてなかったのかよこいつ…)