あなたとの一杯を
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『篤京くん、りんご酒って自分で作れるんだって。
美味しそうだね』
「ふーん」
そんな感じの微妙なノリだったくせに
なぜ急に火が着いたのか。
幼馴染である篤京くんは
最初私の発言に興味なさそうだったのに
翌日ハイテンションで「りんご酒作るぜ!」と
いきなり私の家にやってきた。
毎度のことながら
彼の沸点はわからないけどいつも面白いなあと思う。
『材料は?』
「ばあちゃんが送ってくれたりんごがある」
『りんごだけ持ってきたの?』
「他の材料は今から一緒に買いに行くぜ」
面白いことに、うちでりんご酒を作ることも
今から一緒に買物に行くことも決定事項で
私に拒否権は一切ない。
こうなったら彼は止められないので
私は大人しくりんごを受け取り身支度を整え
近所のスーパーへと篤京くんと向かうことにした。
『えっと、氷砂糖と、レモンとホワイトリカー…
ホワイトリカーってなに?』
「紙パックで売ってる焼酎みたいなモン」
『なんかふわっとした情報だね…
あぁ、梅酒とか作るのときのお酒と一緒ね』
一応事前に調べてくれたのか
篤京くんはメモ用紙に必要なものを書いてきてくれていた。
この時代、スクショすれば良いものを
調べながらメモ書している姿を想像してくすりと笑う。
こういうところが、彼は可愛い。
一緒に並んでスーパーを歩いていたら、ふと視線を感じた。
180cmもの高身長にサラサラのストレートヘア。切れ長の目に整った顔立ち。
このビジュアルはスーパーでは目を引く存在のようで
先程からちらちらすれ違う人から見られている。
黙っていれば、クールなイケメンなんだよね。
口を開けば処刑とか
物騒なことばかり言うからギャップがすごいけど。
「さっきからなんだあ?ちらちら鬱陶しいぜ」
『篤京くんが格好いいから目立ってるんだよ』
「・・・フンッ」
あ、今のはちょっと照れたっぽい。やっぱり可愛い。
私がそう思ったのがバレたようで
彼は少し眉を寄せ、さっさと歩かねえと処刑するぞぉ、と
甲高い声で叫んだからより一層注目を浴びたのだった。
買い物も終わり家に着くと
買ってきた物を広げてりんご酒作りの準備を始める。
篤京くんが調べてくれたのは材料だけで
作り方は今から一緒に調べながらだ。
『えっと、まずはりんごを…』
「皮剥いじゃうよぉっ!」
『ストップストップ。皮剥いじゃだめ。
そのまま6〜8等分するんだって』
「なんだぁ?剥かねぇのかよぉ」
つまんねぇなと言いながらも
手慣れた手つきで均等にりんごを切ってくれた。
そういえば昔私が風邪を引いたとき
りんごを向いて看病してくれたことがあった。
篤京くんはもう忘れてるかもしれないけど
その時はうさぎさんにしてくれて
すごく嬉しかったのを覚えてる。
それが今はお酒が飲める歳になって
隣に並んで一緒にお酒を作ってるなんて不思議だ。
『次はレモンを切るんだって。
苦みが出るから表皮と白い部分も取らなきゃだめみたい』
「手ぇ切るんじゃねぇぞ」
『わかってる』
とは言ったものの
篤京くんがじっと見てくるから気が散って
手元が狂いそうになる。
『ねぇ。大丈夫だからそんなに見ないでよ…わっ!』
「おい!切ったのかよ!?」
『うぅ〜、違う。レモンの汁が目に…痛い〜』
ツルッとレモンが転がり
慌てて手で掴んだ瞬間力が入ってしまい
レモンの汁が見事に目に飛んできた。
「擦んな!一旦ティッシュかなんかで押さえろ。
それから水で洗えば大丈夫だ」
篤京くんは私の顔を上に向かせて
ティッシュで溢れる涙を優しく拭いてくれた。
痛くて目を瞑っているから私の頬に
サラリと、彼の綺麗な髪が触れる感触がして
顔が近くにあることが窺える。
どうしよう、なんかドキドキする。
「目、開けられるか?」
『う、うん…』
ゆっくりと目を開けると
心配そうな顔をした篤京くんがいて
私は大丈夫だと伝えて顔を逸らす。
さっきまで邪悪な顔をして
皮剥いじゃうよおとかいってたくせに
そんな風に見られたら意識してしまう。
篤京くんは私が痛がってない様子を見て安心したのか
安堵のため息をつき
手を引いて洗面台まで連れてきてくれた。
『ありがとう…。
なんか、苦しめ!とか言いそうなのに、優しいよね』
「…お前相手に、そんなこと言わねーよ」
『えっ、あ…そ、そう……』
ポンッと頭に置かれた手と優しい笑顔にドキッとする。
不意打ちに弱い私は
しどろもどろになりながら、慌ててキッチンへと戻った。
レモンを切り終えると後は簡単で
りんご、レモン、氷砂糖を交互に入れ
最後にホワイトリカーを注いで完成だ。
『わ〜!できたね!』
「なかなか良いじゃねえかあ」
『どのくらいで飲めるのかな?』
「1か月くらいで飲めるらしいが
6か月以降が飲み頃だとよ」
『やっぱり時間掛かるか〜』
すぐ一緒に飲みたかったから
少し残念だなって思っていたら
篤京くんがちょっと待ってろ、とキッチンで
ゴソゴソとしだした。
大人しくしばらく待っていると彼はグラスを持って現れ
「これでも飲みなあ!」とグラスを渡してくれた。
『これなに?』
「余ったりんごをすりおろして
焼酎とはちみつと炭酸入れてみた。うまそうだろ?
どっかの誰かが、物欲しそうな顔しちゃってたからさあ」
『物欲しそうって…!』
お酒が飲みたかったというか
篤京くんと飲みたかっただけなのに。
酒好きとみなされたことがちょっと不服だと思いつつ
作ってくれたお酒を飲む。
『わあ!これ、美味しい…!篤京くん、美味しい!すごいね!』
「あんまり飲みすぎんなよ…あ…」
『ん?どうしたの?』
篤京くんは、飲みすぎるなと言った後
何かを思い出したかのように動きが止まり
しばらく考え事をしているようだった。
「この前、テニス仲間と飲んだんだけどさあ
高校のときからずっとマネージャーに片想いしてたやつが
やっとうまくいったんだよ。
そいつ、飲み会でマネージャーに
“飲みすぎるな”って何度も言ってて…」
あ、なんか前聞いたことあるかもしれない。
確かそのマネージャーさんに告白せずに離れてしまって
後悔してるって話してたっけ。
うまくいったんだ。よかった。
篤京くんが君島さん以外の人の話をするのは
珍しいなあと思って聞いていたら
突然、グラスを置いて私の手を握った。
「そろそろ、俺らも付き合うか?」
言われた言葉に、思考が止まる。
今、付き合うかって言った?
「おい、黙ってないでなんか言えよ」
『えっ、えっ!?いや、だっていきなり…!』
「いきなりじゃねえ。ずっと思ってたんだよ。
でもなあ、もう幼馴染はいいだろ?
俺は他のやつにお前を取られたくねえからな」
篤京くんは、私が今まで見たことないほど
妖艶に微笑んだ。
慣れない異性としての一面に戸惑いながらも
私は彼の手を握り返して
こくん、と頷いたのだった。
(いつから私のこと好きだったの?)
(あ?そんなこともわかんねーのかよ)
(だって篤京くん態度変わんないし)
(何言ってんだ?そりゃそーだろ。
昔から好きなんだからさあ)
(え!?昔から?)
(初めて会ったときから好きだったぜ?
なんだぁ?全くわからなかったのかよ)
(わ、わかんないよ…)
(ふーん。まあいいぜ。
どれだけ好きか、わからせてあげちゃうよ!)
(なんか顔と言葉が一致してない…!)
美味しそうだね』
「ふーん」
そんな感じの微妙なノリだったくせに
なぜ急に火が着いたのか。
幼馴染である篤京くんは
最初私の発言に興味なさそうだったのに
翌日ハイテンションで「りんご酒作るぜ!」と
いきなり私の家にやってきた。
毎度のことながら
彼の沸点はわからないけどいつも面白いなあと思う。
『材料は?』
「ばあちゃんが送ってくれたりんごがある」
『りんごだけ持ってきたの?』
「他の材料は今から一緒に買いに行くぜ」
面白いことに、うちでりんご酒を作ることも
今から一緒に買物に行くことも決定事項で
私に拒否権は一切ない。
こうなったら彼は止められないので
私は大人しくりんごを受け取り身支度を整え
近所のスーパーへと篤京くんと向かうことにした。
『えっと、氷砂糖と、レモンとホワイトリカー…
ホワイトリカーってなに?』
「紙パックで売ってる焼酎みたいなモン」
『なんかふわっとした情報だね…
あぁ、梅酒とか作るのときのお酒と一緒ね』
一応事前に調べてくれたのか
篤京くんはメモ用紙に必要なものを書いてきてくれていた。
この時代、スクショすれば良いものを
調べながらメモ書している姿を想像してくすりと笑う。
こういうところが、彼は可愛い。
一緒に並んでスーパーを歩いていたら、ふと視線を感じた。
180cmもの高身長にサラサラのストレートヘア。切れ長の目に整った顔立ち。
このビジュアルはスーパーでは目を引く存在のようで
先程からちらちらすれ違う人から見られている。
黙っていれば、クールなイケメンなんだよね。
口を開けば処刑とか
物騒なことばかり言うからギャップがすごいけど。
「さっきからなんだあ?ちらちら鬱陶しいぜ」
『篤京くんが格好いいから目立ってるんだよ』
「・・・フンッ」
あ、今のはちょっと照れたっぽい。やっぱり可愛い。
私がそう思ったのがバレたようで
彼は少し眉を寄せ、さっさと歩かねえと処刑するぞぉ、と
甲高い声で叫んだからより一層注目を浴びたのだった。
買い物も終わり家に着くと
買ってきた物を広げてりんご酒作りの準備を始める。
篤京くんが調べてくれたのは材料だけで
作り方は今から一緒に調べながらだ。
『えっと、まずはりんごを…』
「皮剥いじゃうよぉっ!」
『ストップストップ。皮剥いじゃだめ。
そのまま6〜8等分するんだって』
「なんだぁ?剥かねぇのかよぉ」
つまんねぇなと言いながらも
手慣れた手つきで均等にりんごを切ってくれた。
そういえば昔私が風邪を引いたとき
りんごを向いて看病してくれたことがあった。
篤京くんはもう忘れてるかもしれないけど
その時はうさぎさんにしてくれて
すごく嬉しかったのを覚えてる。
それが今はお酒が飲める歳になって
隣に並んで一緒にお酒を作ってるなんて不思議だ。
『次はレモンを切るんだって。
苦みが出るから表皮と白い部分も取らなきゃだめみたい』
「手ぇ切るんじゃねぇぞ」
『わかってる』
とは言ったものの
篤京くんがじっと見てくるから気が散って
手元が狂いそうになる。
『ねぇ。大丈夫だからそんなに見ないでよ…わっ!』
「おい!切ったのかよ!?」
『うぅ〜、違う。レモンの汁が目に…痛い〜』
ツルッとレモンが転がり
慌てて手で掴んだ瞬間力が入ってしまい
レモンの汁が見事に目に飛んできた。
「擦んな!一旦ティッシュかなんかで押さえろ。
それから水で洗えば大丈夫だ」
篤京くんは私の顔を上に向かせて
ティッシュで溢れる涙を優しく拭いてくれた。
痛くて目を瞑っているから私の頬に
サラリと、彼の綺麗な髪が触れる感触がして
顔が近くにあることが窺える。
どうしよう、なんかドキドキする。
「目、開けられるか?」
『う、うん…』
ゆっくりと目を開けると
心配そうな顔をした篤京くんがいて
私は大丈夫だと伝えて顔を逸らす。
さっきまで邪悪な顔をして
皮剥いじゃうよおとかいってたくせに
そんな風に見られたら意識してしまう。
篤京くんは私が痛がってない様子を見て安心したのか
安堵のため息をつき
手を引いて洗面台まで連れてきてくれた。
『ありがとう…。
なんか、苦しめ!とか言いそうなのに、優しいよね』
「…お前相手に、そんなこと言わねーよ」
『えっ、あ…そ、そう……』
ポンッと頭に置かれた手と優しい笑顔にドキッとする。
不意打ちに弱い私は
しどろもどろになりながら、慌ててキッチンへと戻った。
レモンを切り終えると後は簡単で
りんご、レモン、氷砂糖を交互に入れ
最後にホワイトリカーを注いで完成だ。
『わ〜!できたね!』
「なかなか良いじゃねえかあ」
『どのくらいで飲めるのかな?』
「1か月くらいで飲めるらしいが
6か月以降が飲み頃だとよ」
『やっぱり時間掛かるか〜』
すぐ一緒に飲みたかったから
少し残念だなって思っていたら
篤京くんがちょっと待ってろ、とキッチンで
ゴソゴソとしだした。
大人しくしばらく待っていると彼はグラスを持って現れ
「これでも飲みなあ!」とグラスを渡してくれた。
『これなに?』
「余ったりんごをすりおろして
焼酎とはちみつと炭酸入れてみた。うまそうだろ?
どっかの誰かが、物欲しそうな顔しちゃってたからさあ」
『物欲しそうって…!』
お酒が飲みたかったというか
篤京くんと飲みたかっただけなのに。
酒好きとみなされたことがちょっと不服だと思いつつ
作ってくれたお酒を飲む。
『わあ!これ、美味しい…!篤京くん、美味しい!すごいね!』
「あんまり飲みすぎんなよ…あ…」
『ん?どうしたの?』
篤京くんは、飲みすぎるなと言った後
何かを思い出したかのように動きが止まり
しばらく考え事をしているようだった。
「この前、テニス仲間と飲んだんだけどさあ
高校のときからずっとマネージャーに片想いしてたやつが
やっとうまくいったんだよ。
そいつ、飲み会でマネージャーに
“飲みすぎるな”って何度も言ってて…」
あ、なんか前聞いたことあるかもしれない。
確かそのマネージャーさんに告白せずに離れてしまって
後悔してるって話してたっけ。
うまくいったんだ。よかった。
篤京くんが君島さん以外の人の話をするのは
珍しいなあと思って聞いていたら
突然、グラスを置いて私の手を握った。
「そろそろ、俺らも付き合うか?」
言われた言葉に、思考が止まる。
今、付き合うかって言った?
「おい、黙ってないでなんか言えよ」
『えっ、えっ!?いや、だっていきなり…!』
「いきなりじゃねえ。ずっと思ってたんだよ。
でもなあ、もう幼馴染はいいだろ?
俺は他のやつにお前を取られたくねえからな」
篤京くんは、私が今まで見たことないほど
妖艶に微笑んだ。
慣れない異性としての一面に戸惑いながらも
私は彼の手を握り返して
こくん、と頷いたのだった。
(いつから私のこと好きだったの?)
(あ?そんなこともわかんねーのかよ)
(だって篤京くん態度変わんないし)
(何言ってんだ?そりゃそーだろ。
昔から好きなんだからさあ)
(え!?昔から?)
(初めて会ったときから好きだったぜ?
なんだぁ?全くわからなかったのかよ)
(わ、わかんないよ…)
(ふーん。まあいいぜ。
どれだけ好きか、わからせてあげちゃうよ!)
(なんか顔と言葉が一致してない…!)