あなたとの一杯を
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好きな人の家に行ける。
こんな幸せイベントがまさか実現される日が来るなんて
前世でどんな徳を積んだんだろう私。
「竜次、来たで〜☆」
「おう。狭いところで悪いけどよ、まあ上がってくれや」
「大曲くん、お邪魔するね」
『お、お邪魔します…!』
今日は、姉と姉の彼氏である種ヶ島さんと
その友達であり、私の一目惚れの相手である
大曲さんの家に遊びに来た。
というか、私のために二人の全面協力を得て
開催されたこの機会は
まだ数回しか大曲さんに会っていない私にとっては
かなりの一大イベント。
そして、大きなチャンス。
出迎えてくれた大曲さんは、最初にお会いしたとき同様
落ち着いた男性って感じでかっこいい。
内心はしゃいでいたら、くいっと後ろから
腕を引っ張られた。
「ねぇ、あまり飲まないようにね。お酒弱いんだから」
『わかってるよ、お姉ちゃん。
そもそも緊張してそれどころじゃないもん』
今日は遊びに来た、といっても
ほぼ飲むことメインの宅飲みの会だ。
姉はお酒に強いのだけど
私は缶チューハイ1本飲み切る頃には
顔が真っ赤になってしまうくらいお酒に弱い。
好きな人の前で醜態を晒すわけにはいかないから
飲まないようにするつもりだ。
「相変わらず部屋綺麗にしとるなあ」
「わ、ほんと…修二さんとは正反対」
「こらこら、妹ちゃんにバラさへんでや」
二人のやり取りが羨ましいなと思いつつ
部屋に入って驚いた。
想像以上にオシャレな部屋で
しかも物がかなり整理整頓されている。
ちゃんと物の置き場も決めてある感じで
使ったら戻す、が基本的にできる人なんだろうな
って感じがする部屋だ。
「おら、修二そのへんに置くなし。上着はこっち」
「ちゃーい☆」
「ん。使うだろ?」
『は、はい!ありがとうございます』
大曲さんは私と姉用にハンガーを渡してくれた。
男性でこんなことに気がつける人って珍しいけど
この部屋の感じからしても
大曲さんが几帳面なのが見て取れるから
本当に、高感度上がりまくりだ。
「じゃあ、買ってきたもん出そか」
「酒は予め買っといたからよく冷えてるし。
そっち二人は何飲む?」
「私はビールを。千波はあんまり飲めないので…」
弱いお酒かもうお茶でも良いと言おうとしたら
大曲さんから缶のお酒を手渡された。
「酒弱いって聞いてたからよ
一応一番アルコール低いやつ選んだんだが…
こういうので良かったか?」
見ると可愛らしいデザインで
ほんの少しお酒を味わいたいあなたへって
最近CMしていたお酒だ。
『え!私用に、ですか?あ、ありがとうございます…!』
「お、竜次それよく買えたなあ。
微アルコールって今人気なんやで。
どこ行っても売り切れなんやけど…」
「…たまたまあっただけだし」
ニヤニヤ顔の種ヶ島さんと
少し照れたような大曲さんは対照的で
彼の新しい表情を見ることが出来て嬉しい。
もしかして、私のために探してくれたんだろうか…?
もしそうだったら嬉しいしこの缶持って帰りたいくらいだ。
「ほな、かんぱーい☆」
種ヶ島さんの掛け声と共に始まった宅飲みは
思いの外盛り上がった。
大曲さんと種ヶ島さんは高校生のときからの付き合いで
テニスの強豪選手だったらしいのだけど
その時の写真とか見せてもらえて
私も、姉も、大興奮。
特に高校一年生の時の写真は、ふたりとも可愛すぎてヤバい。
「俺らだけはずるいんじゃねぇか?」
「せやで〜!ふたりの写真も見せてや」
姉と顔を見合わせ
ふたりともスマホのフォルダを漁る。
見せても大丈夫そうな写真を選んでそれぞれ見せた。
「やっぱり姉妹やな〜!
ふたりともそっくりで可愛いわあ。なあ竜次」
「ああ。…可愛いし」
大曲さんの「可愛い」は
きっとふたりまとめて「可愛い」って意味だろうし
お世辞に違いないんだろうけど
私は嬉しくてたまらなくて顔が見れず下を向いたままでいた。
私以外の3人は、けっこうお酒が強いので
かなりのペースで缶を空けていき
大曲さんが事前に用意していたお酒は
なくなりかけていた。
『あの、お酒なくなりかけてきたんで
私買い足しに行ってきますよ』
「俺らが行くからええで」
『いえいえ!酔ってるんですから危ないですよ』
「あ、ほんなら、竜次とふたりで…な!」
まさかの展開にぎょっとして大曲さんを見ると
ため息をついて種ヶ島さんのことを睨んでいた。
行くの面倒だよね、申し訳なくて死にそう。
じゃあ行くかって、声を掛けてくれたから
ふたりで出掛ける準備をしていたら
種ヶ島さんが「あっ」と声をあげた。
「竜次、俺さっきの微アルコールのやつな☆」
「だからこの辺に売ってねぇし……あ」
それって…と思っていたら
大曲さんが先に出て行ってしまったので
私は慌てて追いかけた。
外に出ると気温が下がっていて、少しヒヤリとした。
色んな意味で高揚している頬にはちょうどよく、心地が良い。
大曲さんをちらりと見ると
眉を寄せて気難しい顔をしている。
どうしよう、やっぱり余計なことを言うべきではなかったと
ひとりで考えていたらあのよ、と声がした。
「…悪いな。気を遣わせちまって。
あいつら、二人揃ってザルなの忘れてたし。
もう少し買っとけば良かったな」
『いえ!むしろ、すみません。
私が買いに行くなんて言ったせいで大曲さんまで…』
「俺としてはちょうど良かったし。
ゆっくり話したいと思ってたところだ。
今回ばかりは修二に感謝だな」
『え?』
「お前のこと、まだ知らねえことばかりだからよ。
まずは、お互いのこと知るところから始めよーや」
そう言って笑う大曲さんは
今まで見たことないほど優しい笑顔で笑ってくれて
面倒じゃなくて、ちょっとだけ照れていたのだと感じた。
あぁ、見た目だけタイプの一目惚れから
今から本気でこの人に恋に落ちる。
そんなことをどこか他人事のように考えながら
私は歩く速度をゆるめて
彼に寄り添ったのだった。
(あの子大丈夫かな…)
(俺は竜次のほうが心配やわ〜)
(え?大曲さんが?)
(竜次にしては、本気っぽかったからなあ。
あぁ見えて緊張してんねん)
(緊張?)
(え?気づいてないん…?
竜次もな、妹ちゃんのこと気に入ってんで)
(え!?両思い!?)
(あらら、姉妹そろってにぶちんやな〜)
こんな幸せイベントがまさか実現される日が来るなんて
前世でどんな徳を積んだんだろう私。
「竜次、来たで〜☆」
「おう。狭いところで悪いけどよ、まあ上がってくれや」
「大曲くん、お邪魔するね」
『お、お邪魔します…!』
今日は、姉と姉の彼氏である種ヶ島さんと
その友達であり、私の一目惚れの相手である
大曲さんの家に遊びに来た。
というか、私のために二人の全面協力を得て
開催されたこの機会は
まだ数回しか大曲さんに会っていない私にとっては
かなりの一大イベント。
そして、大きなチャンス。
出迎えてくれた大曲さんは、最初にお会いしたとき同様
落ち着いた男性って感じでかっこいい。
内心はしゃいでいたら、くいっと後ろから
腕を引っ張られた。
「ねぇ、あまり飲まないようにね。お酒弱いんだから」
『わかってるよ、お姉ちゃん。
そもそも緊張してそれどころじゃないもん』
今日は遊びに来た、といっても
ほぼ飲むことメインの宅飲みの会だ。
姉はお酒に強いのだけど
私は缶チューハイ1本飲み切る頃には
顔が真っ赤になってしまうくらいお酒に弱い。
好きな人の前で醜態を晒すわけにはいかないから
飲まないようにするつもりだ。
「相変わらず部屋綺麗にしとるなあ」
「わ、ほんと…修二さんとは正反対」
「こらこら、妹ちゃんにバラさへんでや」
二人のやり取りが羨ましいなと思いつつ
部屋に入って驚いた。
想像以上にオシャレな部屋で
しかも物がかなり整理整頓されている。
ちゃんと物の置き場も決めてある感じで
使ったら戻す、が基本的にできる人なんだろうな
って感じがする部屋だ。
「おら、修二そのへんに置くなし。上着はこっち」
「ちゃーい☆」
「ん。使うだろ?」
『は、はい!ありがとうございます』
大曲さんは私と姉用にハンガーを渡してくれた。
男性でこんなことに気がつける人って珍しいけど
この部屋の感じからしても
大曲さんが几帳面なのが見て取れるから
本当に、高感度上がりまくりだ。
「じゃあ、買ってきたもん出そか」
「酒は予め買っといたからよく冷えてるし。
そっち二人は何飲む?」
「私はビールを。千波はあんまり飲めないので…」
弱いお酒かもうお茶でも良いと言おうとしたら
大曲さんから缶のお酒を手渡された。
「酒弱いって聞いてたからよ
一応一番アルコール低いやつ選んだんだが…
こういうので良かったか?」
見ると可愛らしいデザインで
ほんの少しお酒を味わいたいあなたへって
最近CMしていたお酒だ。
『え!私用に、ですか?あ、ありがとうございます…!』
「お、竜次それよく買えたなあ。
微アルコールって今人気なんやで。
どこ行っても売り切れなんやけど…」
「…たまたまあっただけだし」
ニヤニヤ顔の種ヶ島さんと
少し照れたような大曲さんは対照的で
彼の新しい表情を見ることが出来て嬉しい。
もしかして、私のために探してくれたんだろうか…?
もしそうだったら嬉しいしこの缶持って帰りたいくらいだ。
「ほな、かんぱーい☆」
種ヶ島さんの掛け声と共に始まった宅飲みは
思いの外盛り上がった。
大曲さんと種ヶ島さんは高校生のときからの付き合いで
テニスの強豪選手だったらしいのだけど
その時の写真とか見せてもらえて
私も、姉も、大興奮。
特に高校一年生の時の写真は、ふたりとも可愛すぎてヤバい。
「俺らだけはずるいんじゃねぇか?」
「せやで〜!ふたりの写真も見せてや」
姉と顔を見合わせ
ふたりともスマホのフォルダを漁る。
見せても大丈夫そうな写真を選んでそれぞれ見せた。
「やっぱり姉妹やな〜!
ふたりともそっくりで可愛いわあ。なあ竜次」
「ああ。…可愛いし」
大曲さんの「可愛い」は
きっとふたりまとめて「可愛い」って意味だろうし
お世辞に違いないんだろうけど
私は嬉しくてたまらなくて顔が見れず下を向いたままでいた。
私以外の3人は、けっこうお酒が強いので
かなりのペースで缶を空けていき
大曲さんが事前に用意していたお酒は
なくなりかけていた。
『あの、お酒なくなりかけてきたんで
私買い足しに行ってきますよ』
「俺らが行くからええで」
『いえいえ!酔ってるんですから危ないですよ』
「あ、ほんなら、竜次とふたりで…な!」
まさかの展開にぎょっとして大曲さんを見ると
ため息をついて種ヶ島さんのことを睨んでいた。
行くの面倒だよね、申し訳なくて死にそう。
じゃあ行くかって、声を掛けてくれたから
ふたりで出掛ける準備をしていたら
種ヶ島さんが「あっ」と声をあげた。
「竜次、俺さっきの微アルコールのやつな☆」
「だからこの辺に売ってねぇし……あ」
それって…と思っていたら
大曲さんが先に出て行ってしまったので
私は慌てて追いかけた。
外に出ると気温が下がっていて、少しヒヤリとした。
色んな意味で高揚している頬にはちょうどよく、心地が良い。
大曲さんをちらりと見ると
眉を寄せて気難しい顔をしている。
どうしよう、やっぱり余計なことを言うべきではなかったと
ひとりで考えていたらあのよ、と声がした。
「…悪いな。気を遣わせちまって。
あいつら、二人揃ってザルなの忘れてたし。
もう少し買っとけば良かったな」
『いえ!むしろ、すみません。
私が買いに行くなんて言ったせいで大曲さんまで…』
「俺としてはちょうど良かったし。
ゆっくり話したいと思ってたところだ。
今回ばかりは修二に感謝だな」
『え?』
「お前のこと、まだ知らねえことばかりだからよ。
まずは、お互いのこと知るところから始めよーや」
そう言って笑う大曲さんは
今まで見たことないほど優しい笑顔で笑ってくれて
面倒じゃなくて、ちょっとだけ照れていたのだと感じた。
あぁ、見た目だけタイプの一目惚れから
今から本気でこの人に恋に落ちる。
そんなことをどこか他人事のように考えながら
私は歩く速度をゆるめて
彼に寄り添ったのだった。
(あの子大丈夫かな…)
(俺は竜次のほうが心配やわ〜)
(え?大曲さんが?)
(竜次にしては、本気っぽかったからなあ。
あぁ見えて緊張してんねん)
(緊張?)
(え?気づいてないん…?
竜次もな、妹ちゃんのこと気に入ってんで)
(え!?両思い!?)
(あらら、姉妹そろってにぶちんやな〜)