あなたとの一杯を
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『わぁ〜!すごい!いっぱいある!何から飲もう!』
「はしゃぐな」
ハイテンションの私と
いつも通り落ち着いている、というか
私を見て若干呆れている平等院くん。
今日、私と平等院くんは地元の酒蔵の蔵開きに来ている。
通勤中、最寄り駅の構内にポスターが貼ってあって
お酒が好きな平等院くんなら
付き合ってくれるかもしれないと思い誘ったのだ。
私の誘いにすんなりと応じてくれたのだから
少しは興味があったに違いない。
『だってはしゃぎたくもなるでしょ?
こーんなに色んな種類試飲できるなんて楽しいじゃん』
「フン……飲みすぎるなよ」
蔵開きとは、日本酒を作る酒蔵が
その年に新しいお酒ができたことを祝うイベント。
色んな種類の日本酒が軒並み並び
小さなカップで試飲でき
数ある中から自分の好きなお酒を探せるという
酒好きにはたまらないイベントなのだ。
蔵の周りには出店も多くあり
座って食べ飲みできるスペースもあるから
いわば、大人のお祭りって感じ。
私は平等院くんの腕を引いて
試飲できるブースに並んだ。
すると、従業員の人から小さなカップを渡され
どうやら飲みたいお酒を伝えると
注いでくれるシステムらしい。
『美味しい〜!』
「うまいが、少しくどいな」
『香りが強いからかなあ?』
「こっちのは、飲みやすい」
『え?もう次のやつ?どれ?』
ふたりで感想を言い合いながら
ちょびちょびと飲み比べをする。
最初は少し面倒そうに見えた平等院くんだったけど
色んなお酒を飲んで試している様子は
案外このイベントを気に入ってくれているみたい。
「ほう、これは良いな」
『どれ?』
「飲め」
渡されたのは平等院くんが使っていたカップ。
他意はないんだろうけど
一瞬間接キスじゃんって思ってどきりとした。
いや、この状況で
しかも間接キスごときで何ときめいてんの私
と自分でツッコミながら渡されたお酒をくいっと飲んだ。
『うわぁ、これ、美味しいね…!
フルーティな香りとキリッとした味わいが良い!
いくらでも飲めちゃう危ないやつだね』
あ、また騒ぐなって言われそうだと
チラリと彼の様子を窺うと
一瞬、フッと穏やかに笑ってくれた。
見慣れぬ笑顔に思考が止まって固まっていたら
平等院くんは余程気に入ったのであろう
先程のお酒を1本購入していた。
「行くぞ」
『えっ、あ、うん』
突然、当たり前のように手を繋がれて移動する。
徐々に増えてきた人混みに
私が逸れてしまわないように繋いでくれたのだろうけど
でも、ただ手を繋ぐのではなく
力強く、引き寄せられる感じで距離が近い。
さっきから、間接キスでときめいたり
手を繋ぐだけでドキドキしたり
きっと酔いが回ってきたのだと思うようにして
そのまま彼についていく。
「ここで良いか」
比較的空いている飲食ブースに座り
買ってきたお酒を取り出す。
「カップはこれしかねぇか…」
『あ!こんなこともあろうかと、紙コップ持ってきたの!』
じゃーん、と紙コップを2人分取り出す。
『事前にね
蔵開きで持って行ったが良いものって調べたら
紙コップがあったら良いってネットで見てね!
何でいるのかなって思ってたけどこういう時に…って平等院くん?どうしたの?』
平等院くんは腕組みをして、黙ったままこちらを見ている。
表情はわかりにくいけど
おそらく、ポカンとしている状態みたい。
この表情は珍しいなあと思っていたら
彼は声を上げずに下を向いて、くっくっ、と笑い出した。
「貴様といると、飽きんな」
『ほ、褒められてるの?』
「褒めてねえ。
だが、この先一緒に酒を飲むのも
こうやって出掛けるのも悪くはないな」
ふいに掛けられた言葉は、私を動揺させるには充分だった。
飲んでいたお酒で噎せて
ちょっとだけ溢して
そして顔がかあっと、真っ赤に染まる。
もう酔ったのか、と呆れられたけど
酔のせいではなく、これはきっと
平等院くんに惹かれはじめたせい。
いや、惹かれていたのはもっと前からか。
私は彼と一緒にいたくて
彼が好きそうだから今回誘ったんだ。
『…お酒のイベントじゃなくても
一緒に出掛けてくれるの?』
「あぁ。
千波が行きたいところなら、どこへでも付き合ってやる」
お酒の力を借りずに
今度はちゃんと自分の気持ちにを伝えよう
そう心に決めて、私は平等院くんが注いでくれたお酒を
ゆっくりと、味わったのだった。
(どこへでもって、カフェでも一緒に行ってくれるの?)
(あぁ)
(ショッピングでも?)
(あぁ)
(えへへ、嬉しい)
(ついて行くのは構わんが、俺と買い物に行っても
楽しくはねぇだろう)
(そんなことないよ!平等院くんとなら
どこに行っても楽しいよ)
(……モノ好きな奴だな)
「はしゃぐな」
ハイテンションの私と
いつも通り落ち着いている、というか
私を見て若干呆れている平等院くん。
今日、私と平等院くんは地元の酒蔵の蔵開きに来ている。
通勤中、最寄り駅の構内にポスターが貼ってあって
お酒が好きな平等院くんなら
付き合ってくれるかもしれないと思い誘ったのだ。
私の誘いにすんなりと応じてくれたのだから
少しは興味があったに違いない。
『だってはしゃぎたくもなるでしょ?
こーんなに色んな種類試飲できるなんて楽しいじゃん』
「フン……飲みすぎるなよ」
蔵開きとは、日本酒を作る酒蔵が
その年に新しいお酒ができたことを祝うイベント。
色んな種類の日本酒が軒並み並び
小さなカップで試飲でき
数ある中から自分の好きなお酒を探せるという
酒好きにはたまらないイベントなのだ。
蔵の周りには出店も多くあり
座って食べ飲みできるスペースもあるから
いわば、大人のお祭りって感じ。
私は平等院くんの腕を引いて
試飲できるブースに並んだ。
すると、従業員の人から小さなカップを渡され
どうやら飲みたいお酒を伝えると
注いでくれるシステムらしい。
『美味しい〜!』
「うまいが、少しくどいな」
『香りが強いからかなあ?』
「こっちのは、飲みやすい」
『え?もう次のやつ?どれ?』
ふたりで感想を言い合いながら
ちょびちょびと飲み比べをする。
最初は少し面倒そうに見えた平等院くんだったけど
色んなお酒を飲んで試している様子は
案外このイベントを気に入ってくれているみたい。
「ほう、これは良いな」
『どれ?』
「飲め」
渡されたのは平等院くんが使っていたカップ。
他意はないんだろうけど
一瞬間接キスじゃんって思ってどきりとした。
いや、この状況で
しかも間接キスごときで何ときめいてんの私
と自分でツッコミながら渡されたお酒をくいっと飲んだ。
『うわぁ、これ、美味しいね…!
フルーティな香りとキリッとした味わいが良い!
いくらでも飲めちゃう危ないやつだね』
あ、また騒ぐなって言われそうだと
チラリと彼の様子を窺うと
一瞬、フッと穏やかに笑ってくれた。
見慣れぬ笑顔に思考が止まって固まっていたら
平等院くんは余程気に入ったのであろう
先程のお酒を1本購入していた。
「行くぞ」
『えっ、あ、うん』
突然、当たり前のように手を繋がれて移動する。
徐々に増えてきた人混みに
私が逸れてしまわないように繋いでくれたのだろうけど
でも、ただ手を繋ぐのではなく
力強く、引き寄せられる感じで距離が近い。
さっきから、間接キスでときめいたり
手を繋ぐだけでドキドキしたり
きっと酔いが回ってきたのだと思うようにして
そのまま彼についていく。
「ここで良いか」
比較的空いている飲食ブースに座り
買ってきたお酒を取り出す。
「カップはこれしかねぇか…」
『あ!こんなこともあろうかと、紙コップ持ってきたの!』
じゃーん、と紙コップを2人分取り出す。
『事前にね
蔵開きで持って行ったが良いものって調べたら
紙コップがあったら良いってネットで見てね!
何でいるのかなって思ってたけどこういう時に…って平等院くん?どうしたの?』
平等院くんは腕組みをして、黙ったままこちらを見ている。
表情はわかりにくいけど
おそらく、ポカンとしている状態みたい。
この表情は珍しいなあと思っていたら
彼は声を上げずに下を向いて、くっくっ、と笑い出した。
「貴様といると、飽きんな」
『ほ、褒められてるの?』
「褒めてねえ。
だが、この先一緒に酒を飲むのも
こうやって出掛けるのも悪くはないな」
ふいに掛けられた言葉は、私を動揺させるには充分だった。
飲んでいたお酒で噎せて
ちょっとだけ溢して
そして顔がかあっと、真っ赤に染まる。
もう酔ったのか、と呆れられたけど
酔のせいではなく、これはきっと
平等院くんに惹かれはじめたせい。
いや、惹かれていたのはもっと前からか。
私は彼と一緒にいたくて
彼が好きそうだから今回誘ったんだ。
『…お酒のイベントじゃなくても
一緒に出掛けてくれるの?』
「あぁ。
千波が行きたいところなら、どこへでも付き合ってやる」
お酒の力を借りずに
今度はちゃんと自分の気持ちにを伝えよう
そう心に決めて、私は平等院くんが注いでくれたお酒を
ゆっくりと、味わったのだった。
(どこへでもって、カフェでも一緒に行ってくれるの?)
(あぁ)
(ショッピングでも?)
(あぁ)
(えへへ、嬉しい)
(ついて行くのは構わんが、俺と買い物に行っても
楽しくはねぇだろう)
(そんなことないよ!平等院くんとなら
どこに行っても楽しいよ)
(……モノ好きな奴だな)
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