残業と戦う君へ
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くたくたの身体を引きずるようにして帰宅した
27歳の誕生日。
春先が誕生日って本当にツイてないと思う。
学生時代は新しいクラスに馴染む頃には誕生日が終わってて
誰にも祝われないなんてことが毎年だったし
社会人になった今は
会社の決算と重なってそれどころではない。
まあ、誕生日おめでとう~なんて
祝い合う歳でもないから別に良いんだけど。
でも、周りが結婚していく中
残業のあとの一人寂しい誕生日は、少し空しい。
ーー篤京に、ちゃんと連絡すればよかった。
今となっては素直にそう思う。
仕事が忙しくて、付き合っている彼に
ちゃんと連絡していなかった。
お互い連絡がマメではないので
既読をつけたまま連絡しないことも多く
今回もそのパターン。
数日前の“26日、暇か?“
は少なからず誕生日を
気に掛けてくれていた連絡だったのに
26日当日に“多分残業になる“と返信した私が悪い。
自己嫌悪になりつつ電車に乗り
暗くてひんやりとした我が家に帰宅した。
シャワーを浴びてゆっくりしていたら
篤京に会いたくなってきて
わがままだけど、私は連絡することにした。
どうやって連絡しよう。
いきなり電話しても良いかな、そんなことを考えていたら
滅多に鳴らないインターフォンが鳴った。
こんな時間に誰だろう。
警戒しながらドアスコープを覗くと黒髪が見えた。
『篤京…?』
「さっさと開けろよなぁ」
見間違いでも聞き間違いでもなく
ドアを開けるとそこには彼がいた。
『え……なんで?』
「26日、暇かどうか聞いただろーが」
『残業だって…』
「終わったんだろ?
この俺が誕生日に来てやったんだ。感謝しろよなぁ」
ずかずかと部屋に入っていく彼は相変わらずだけど
いつもの位置に、いつものクッションを置いて座る姿は
少し可愛らしい。
ちゃんと連絡しなかったことを
どう言おうかと悩んでいたら
ん、と紙袋を渡された。
『何?』
「アップルパイ。ここのがうまいんだよ」
『篤京……』
ガバッと抱きつけば
いきなり抱きつくな、と悪態をつかれたけど
彼の顔は赤くなっていて、照れていることがわかる。
『連絡、ちゃんとしなくてごめんなさい…
来てくれて、嬉しい…』
「……仕事、大変なのかよ」
彼がそんなことを聞いてくるのは珍しくて
私は決算が大変なことや
ちょっとした愚痴をこぼす。
あんまり仕事の話を人にするのは好きではないのだけど
言い出したら止まらなかった。
『ごめん、こんな話…』
「別に。話したいなら話せばいいだけだろ?
お前のことだからな、我慢してんのはわかってんだよ」
ぶっきらぼうで、意地悪なのか優しいのかわかりにくいけど
彼は私のよき理解者で
私が悩んでいるときや本当にしんどいときは
こやっていつも支えてくれる。
泣きそうになっていたら
篤京が慌ててアップルパイを指差した。
「アップルパイ、いらねぇのかぁ」
『いる!食べる!』
腹裂きの刑だぁ!なんて叫んびながら
アップルパイを切ろうとしている彼を見ていたら
だんだんおかしくなってきて
誕生日に好きな人と過ごせることの幸せを
ただひたすら、噛み締めていた。
27歳の誕生日。
春先が誕生日って本当にツイてないと思う。
学生時代は新しいクラスに馴染む頃には誕生日が終わってて
誰にも祝われないなんてことが毎年だったし
社会人になった今は
会社の決算と重なってそれどころではない。
まあ、誕生日おめでとう~なんて
祝い合う歳でもないから別に良いんだけど。
でも、周りが結婚していく中
残業のあとの一人寂しい誕生日は、少し空しい。
ーー篤京に、ちゃんと連絡すればよかった。
今となっては素直にそう思う。
仕事が忙しくて、付き合っている彼に
ちゃんと連絡していなかった。
お互い連絡がマメではないので
既読をつけたまま連絡しないことも多く
今回もそのパターン。
数日前の“26日、暇か?“
は少なからず誕生日を
気に掛けてくれていた連絡だったのに
26日当日に“多分残業になる“と返信した私が悪い。
自己嫌悪になりつつ電車に乗り
暗くてひんやりとした我が家に帰宅した。
シャワーを浴びてゆっくりしていたら
篤京に会いたくなってきて
わがままだけど、私は連絡することにした。
どうやって連絡しよう。
いきなり電話しても良いかな、そんなことを考えていたら
滅多に鳴らないインターフォンが鳴った。
こんな時間に誰だろう。
警戒しながらドアスコープを覗くと黒髪が見えた。
『篤京…?』
「さっさと開けろよなぁ」
見間違いでも聞き間違いでもなく
ドアを開けるとそこには彼がいた。
『え……なんで?』
「26日、暇かどうか聞いただろーが」
『残業だって…』
「終わったんだろ?
この俺が誕生日に来てやったんだ。感謝しろよなぁ」
ずかずかと部屋に入っていく彼は相変わらずだけど
いつもの位置に、いつものクッションを置いて座る姿は
少し可愛らしい。
ちゃんと連絡しなかったことを
どう言おうかと悩んでいたら
ん、と紙袋を渡された。
『何?』
「アップルパイ。ここのがうまいんだよ」
『篤京……』
ガバッと抱きつけば
いきなり抱きつくな、と悪態をつかれたけど
彼の顔は赤くなっていて、照れていることがわかる。
『連絡、ちゃんとしなくてごめんなさい…
来てくれて、嬉しい…』
「……仕事、大変なのかよ」
彼がそんなことを聞いてくるのは珍しくて
私は決算が大変なことや
ちょっとした愚痴をこぼす。
あんまり仕事の話を人にするのは好きではないのだけど
言い出したら止まらなかった。
『ごめん、こんな話…』
「別に。話したいなら話せばいいだけだろ?
お前のことだからな、我慢してんのはわかってんだよ」
ぶっきらぼうで、意地悪なのか優しいのかわかりにくいけど
彼は私のよき理解者で
私が悩んでいるときや本当にしんどいときは
こやっていつも支えてくれる。
泣きそうになっていたら
篤京が慌ててアップルパイを指差した。
「アップルパイ、いらねぇのかぁ」
『いる!食べる!』
腹裂きの刑だぁ!なんて叫んびながら
アップルパイを切ろうとしている彼を見ていたら
だんだんおかしくなってきて
誕生日に好きな人と過ごせることの幸せを
ただひたすら、噛み締めていた。