Summer time
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クラっと、目眩がした。
一瞬の浮遊感にまたか、と思うだけで気にも止めない。
気圧に弱い私にとっては日常茶飯事で
どうせ今日もいつもの立ち眩み。
それか貧血でもあるからそのせいなのか
理由は定かではないが体調的には問題ないから大丈夫。
気を取り直して
さぁまだマネージャーの仕事があるからと
腕まくりをしていたら後ろから声を掛けられた。
「アンタちょうど良かった。これどこに運ぶんだ?」
振り向くと、お頭が海外遠征のときに
拾ってきたという謎に包まれた男、越前リョーガが立っていた。
『それなら私が運びますから』
越前リョーガは、今日の練習で使った
備品の入ったかごを持っていた。
この人、こんなことちゃんとする人なんだなあって
少し意外に思える。
「いいって。けっこう重いんだぜこれ。
案内してくればいいからよ」
にかっと笑う彼は気さくで
あいつには気をつけろ、と皆から言われていたのを
忘れかけてしまいそう。
「にしてもよ、やっぱ日本の暑さは違うな。
こうも暑いとやる気が起きねぇよ」
『湿度が高いですからね』
なるほど。やる気が起きないということは
荷物を運ぶのを理由に、練習をサボったのか。
やっぱりこの人は信用できないのかもしれない。
「アンタ、暑くねぇの?」
『寒いよりマシです』
「顔色良くねぇけど、ちゃんと休んでんのか?」
ずいっと、顔を覗き込まれて反射的に身体を反らす。
海外にずっといたせいか距離感がおかしい。
綺麗な顔立ちと、逞しい身体が近づいたせいで
私の身体は緊張で身構えた。
『こ、ここに片付ければ良いですからっ』
逃げるように倉庫に案内し、早々に立ち去ることにした。
これ以上一緒にいるのは危険な気がするのだ。
というか、なにドキドキしているのだ。
そう思っていたら、ぐいっと手を引かれて
倉庫の中に連れ込まれた。
『ちょ、ちょっと、何を…!』
薄暗い倉庫の中に
素性のわからないこの男と二人きり。
どうしよう。少し怖い。
やっぱり皆の言うように警戒すべき相手だった。
ぎゅっと、目を瞑った瞬間
口元にヒヤッとした何かが触れた。
「やっぱ顔色悪いな。熱中症なりかけてんだろ。
ほら、これ食えよ」
『へ?』
口元に触れていたのは
彼がいつも持ち歩いているオレンジだった。
どうやら彼は、体調の悪そうな私を見て
心配してくれていたようだ。
人間の身体とは不思議なもので
言われたら本当に具合が悪くなってきた。
ただの目眩だと思っていたのは熱中症だったのか。
越前リョーガは私を倉庫の中に座らせて
手でオレンジを剥いてくれた。
ん、と差し出されたオレンジを食べると
少しだけ身体が軽くなった気がした。
「わりぃな。怖がらせちまったか?」
『そりゃ怖いでしょ。
こんなところに連れ込まれて、何事かと思いました』
「アンタ強情そうだからな。
こうでもしねぇと体調悪くねぇって突っぱねただろ?」
言われて確かに、と納得した。
多分私は素直に彼の言葉を受け入れることはしなかっただろう。
『…ありがとう、ございます』
「しおらしいじゃねぇか。
俺に指摘されて悔しかったか?」
『別に悔しいとかじゃなくて
気遣ってくれて、配慮してくれて嬉しかった、です』
そう伝えると、面食らったような顔をしてから
彼は私の頭をぐしゃぐしゃに撫で回した。
「アンタやっぱ良い女だな」
『はぁ?』
「なぁ、敬語やめろよ。それにリョーガって呼べって。
これから仲良くしよーぜ」
それからは
助けてもらったのだから無下にもできず
敬語もやめて、リョーガと呼ぶようになって
他のメンバーには心底驚かれた。
だけど、彼と話すことが嫌ではなく
むしろ好きだと思っている自分がいることが
一番の驚きだった。
(そういえばアンタ倉庫で何想像したんだ?)
(べ、別に想像とかしてない…!)
(そうか?
顔赤くなってたし、やらしーことでも考えてたんじゃ?)
(そ、それは熱中症で…!って、だってリョーガの距離近いし
そりゃ顔ぐらい赤くもなるでしょ!
顔が良いこと自覚しなさいよ!)
(カッカッカッ!
褒められてんのか、怒られてんのかわかんねぇな!)
一瞬の浮遊感にまたか、と思うだけで気にも止めない。
気圧に弱い私にとっては日常茶飯事で
どうせ今日もいつもの立ち眩み。
それか貧血でもあるからそのせいなのか
理由は定かではないが体調的には問題ないから大丈夫。
気を取り直して
さぁまだマネージャーの仕事があるからと
腕まくりをしていたら後ろから声を掛けられた。
「アンタちょうど良かった。これどこに運ぶんだ?」
振り向くと、お頭が海外遠征のときに
拾ってきたという謎に包まれた男、越前リョーガが立っていた。
『それなら私が運びますから』
越前リョーガは、今日の練習で使った
備品の入ったかごを持っていた。
この人、こんなことちゃんとする人なんだなあって
少し意外に思える。
「いいって。けっこう重いんだぜこれ。
案内してくればいいからよ」
にかっと笑う彼は気さくで
あいつには気をつけろ、と皆から言われていたのを
忘れかけてしまいそう。
「にしてもよ、やっぱ日本の暑さは違うな。
こうも暑いとやる気が起きねぇよ」
『湿度が高いですからね』
なるほど。やる気が起きないということは
荷物を運ぶのを理由に、練習をサボったのか。
やっぱりこの人は信用できないのかもしれない。
「アンタ、暑くねぇの?」
『寒いよりマシです』
「顔色良くねぇけど、ちゃんと休んでんのか?」
ずいっと、顔を覗き込まれて反射的に身体を反らす。
海外にずっといたせいか距離感がおかしい。
綺麗な顔立ちと、逞しい身体が近づいたせいで
私の身体は緊張で身構えた。
『こ、ここに片付ければ良いですからっ』
逃げるように倉庫に案内し、早々に立ち去ることにした。
これ以上一緒にいるのは危険な気がするのだ。
というか、なにドキドキしているのだ。
そう思っていたら、ぐいっと手を引かれて
倉庫の中に連れ込まれた。
『ちょ、ちょっと、何を…!』
薄暗い倉庫の中に
素性のわからないこの男と二人きり。
どうしよう。少し怖い。
やっぱり皆の言うように警戒すべき相手だった。
ぎゅっと、目を瞑った瞬間
口元にヒヤッとした何かが触れた。
「やっぱ顔色悪いな。熱中症なりかけてんだろ。
ほら、これ食えよ」
『へ?』
口元に触れていたのは
彼がいつも持ち歩いているオレンジだった。
どうやら彼は、体調の悪そうな私を見て
心配してくれていたようだ。
人間の身体とは不思議なもので
言われたら本当に具合が悪くなってきた。
ただの目眩だと思っていたのは熱中症だったのか。
越前リョーガは私を倉庫の中に座らせて
手でオレンジを剥いてくれた。
ん、と差し出されたオレンジを食べると
少しだけ身体が軽くなった気がした。
「わりぃな。怖がらせちまったか?」
『そりゃ怖いでしょ。
こんなところに連れ込まれて、何事かと思いました』
「アンタ強情そうだからな。
こうでもしねぇと体調悪くねぇって突っぱねただろ?」
言われて確かに、と納得した。
多分私は素直に彼の言葉を受け入れることはしなかっただろう。
『…ありがとう、ございます』
「しおらしいじゃねぇか。
俺に指摘されて悔しかったか?」
『別に悔しいとかじゃなくて
気遣ってくれて、配慮してくれて嬉しかった、です』
そう伝えると、面食らったような顔をしてから
彼は私の頭をぐしゃぐしゃに撫で回した。
「アンタやっぱ良い女だな」
『はぁ?』
「なぁ、敬語やめろよ。それにリョーガって呼べって。
これから仲良くしよーぜ」
それからは
助けてもらったのだから無下にもできず
敬語もやめて、リョーガと呼ぶようになって
他のメンバーには心底驚かれた。
だけど、彼と話すことが嫌ではなく
むしろ好きだと思っている自分がいることが
一番の驚きだった。
(そういえばアンタ倉庫で何想像したんだ?)
(べ、別に想像とかしてない…!)
(そうか?
顔赤くなってたし、やらしーことでも考えてたんじゃ?)
(そ、それは熱中症で…!って、だってリョーガの距離近いし
そりゃ顔ぐらい赤くもなるでしょ!
顔が良いこと自覚しなさいよ!)
(カッカッカッ!
褒められてんのか、怒られてんのかわかんねぇな!)