残業と戦う君へ
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上司から理不尽に怒られ
たまたま取った電話は謎のクレームで
今日一日、理不尽に振り回された一日。
くたくたになって電車に乗り込みスマホを見ると
同棲中の彼から“飯は“の文字。
『飯はって……』
電車に揺られながら無機質な2文字を見つめる。
もう長い付き合いになるのだから
気遣いができるタイプじゃないのはわかっている。
だけどもう少し、帰りが遅いことを心配してくれたり
労いの言葉を向けてくれても良いのでは、と思う。
というか、“飯は“って亭主関白にもほどがある。
疲れ果てて帰っても
二人分のご飯を作って、洗濯とかして…
ああ、もうなんだか虚しくなってきた。
既読だけつけて、私はスマホを乱暴をバッグに入れた。
アパートに着いたのは21時過ぎ。
途中でコンビニに寄ってお弁当でも買うかと思ったけど
もう面倒で何も考えたくなかったし
疲れすぎているのか空腹感もない。
彼には悪いが
自分で食べるものは買ってきてもらおう、とここまで考えて
なんでここまで考えなきゃいけないのだと自嘲する。
子供じゃないのだから
お腹が空いたら自分で何か食べているだろう。
それに悪いと思う必要もない。
はぁ、とため息をついて玄関のドアに手を掛ける。
『…ただいま』
何か小言を言われる覚悟でドアを開けると
そこには腕を組んで仁王立ちした彼の姿。
『わっ!び、びっくりした……』
「………」
身長も高く、がっしりとした体つき
それに加えて鋭い目付き。
私の彼氏、平等院鳳凰はかなりの威圧感がある。
そんな彼が玄関を開けてすぐにいたものだから
思わず声があがる。
『えっと…どうしたの?』
「…仕事か」
『う、うん。そうだけど…』
それだけ言うと、彼はリビングへと向かう。
仕事に決まってるじゃない
と喉まで言葉が出そうになったけど
ぐっと飲み込みとりあえず部屋着に着替えることにした。
終始無言の彼をちらりと見ると
腕を組んだまま座り目を閉じている。
シンクを見ると食器も食べかすもないし
ゴミだって何も捨てた形跡がない。
外食でもしたのか、それとも
本当に私が帰るまで、何もせず
ご飯が作られるのを待っていたのだろうか。
もう嫌だ、そう思ったとき
すくっと、彼が立ち上がった。
「麻衣、座れ」
そう言い放つと乱暴に冷蔵庫を開けて
ガサッとビニール袋を取り出した。
私の座るテーブルにドサッと置かれたのはコンビニのお弁当。
『え……?』
「食うぞ」
何種類か置いてあるお弁当は
二人で食べるには多すぎるし
チーズやらサラダやら、甘いものまである。
『これ、買ってきてくれたの?』
「…ああ」
『私の分も?』
「…ああ」
勝手に勘違いして、理不尽に振り回された私が
彼に理不尽に怒るところだった。
「連絡しただろうが」
『飯はって…作れってことかと思った』
「…疲れてんだろ」
『うん………っ…連絡しなくて、ごめんなさい』
「遅くなるときは言え。…心配するだろうが」
彼のぶっきらぼうな優しさに触れて
限界だったのかポロポロと涙がこぼれた。
目の前の大きな身体に抱き着けば
何も言わないけど強い力で抱き締められて
その温もりを感じて、また涙が溢れてくる。
「飯食うぞ」
『うん…!』
亭主関白みたいなところもあるけど
お弁当だってきっと、わたしが何を食べたいか
わからなくて色んな種類を買ってきてくれたのだろう。
いただきます、と二人で手を合わせてお弁当を頬張る。
さっきまでお腹が空いていなかったのに
二人で一緒にいると気持ちが軽くなっているのがわかる。
『ふふっ…大好きだよ』
「ふん…知っている」
照れ隠しでお弁当を掻き込む姿が可愛くて
私は顔がにやけるのを
おさえられなかったのだった。
たまたま取った電話は謎のクレームで
今日一日、理不尽に振り回された一日。
くたくたになって電車に乗り込みスマホを見ると
同棲中の彼から“飯は“の文字。
『飯はって……』
電車に揺られながら無機質な2文字を見つめる。
もう長い付き合いになるのだから
気遣いができるタイプじゃないのはわかっている。
だけどもう少し、帰りが遅いことを心配してくれたり
労いの言葉を向けてくれても良いのでは、と思う。
というか、“飯は“って亭主関白にもほどがある。
疲れ果てて帰っても
二人分のご飯を作って、洗濯とかして…
ああ、もうなんだか虚しくなってきた。
既読だけつけて、私はスマホを乱暴をバッグに入れた。
アパートに着いたのは21時過ぎ。
途中でコンビニに寄ってお弁当でも買うかと思ったけど
もう面倒で何も考えたくなかったし
疲れすぎているのか空腹感もない。
彼には悪いが
自分で食べるものは買ってきてもらおう、とここまで考えて
なんでここまで考えなきゃいけないのだと自嘲する。
子供じゃないのだから
お腹が空いたら自分で何か食べているだろう。
それに悪いと思う必要もない。
はぁ、とため息をついて玄関のドアに手を掛ける。
『…ただいま』
何か小言を言われる覚悟でドアを開けると
そこには腕を組んで仁王立ちした彼の姿。
『わっ!び、びっくりした……』
「………」
身長も高く、がっしりとした体つき
それに加えて鋭い目付き。
私の彼氏、平等院鳳凰はかなりの威圧感がある。
そんな彼が玄関を開けてすぐにいたものだから
思わず声があがる。
『えっと…どうしたの?』
「…仕事か」
『う、うん。そうだけど…』
それだけ言うと、彼はリビングへと向かう。
仕事に決まってるじゃない
と喉まで言葉が出そうになったけど
ぐっと飲み込みとりあえず部屋着に着替えることにした。
終始無言の彼をちらりと見ると
腕を組んだまま座り目を閉じている。
シンクを見ると食器も食べかすもないし
ゴミだって何も捨てた形跡がない。
外食でもしたのか、それとも
本当に私が帰るまで、何もせず
ご飯が作られるのを待っていたのだろうか。
もう嫌だ、そう思ったとき
すくっと、彼が立ち上がった。
「麻衣、座れ」
そう言い放つと乱暴に冷蔵庫を開けて
ガサッとビニール袋を取り出した。
私の座るテーブルにドサッと置かれたのはコンビニのお弁当。
『え……?』
「食うぞ」
何種類か置いてあるお弁当は
二人で食べるには多すぎるし
チーズやらサラダやら、甘いものまである。
『これ、買ってきてくれたの?』
「…ああ」
『私の分も?』
「…ああ」
勝手に勘違いして、理不尽に振り回された私が
彼に理不尽に怒るところだった。
「連絡しただろうが」
『飯はって…作れってことかと思った』
「…疲れてんだろ」
『うん………っ…連絡しなくて、ごめんなさい』
「遅くなるときは言え。…心配するだろうが」
彼のぶっきらぼうな優しさに触れて
限界だったのかポロポロと涙がこぼれた。
目の前の大きな身体に抱き着けば
何も言わないけど強い力で抱き締められて
その温もりを感じて、また涙が溢れてくる。
「飯食うぞ」
『うん…!』
亭主関白みたいなところもあるけど
お弁当だってきっと、わたしが何を食べたいか
わからなくて色んな種類を買ってきてくれたのだろう。
いただきます、と二人で手を合わせてお弁当を頬張る。
さっきまでお腹が空いていなかったのに
二人で一緒にいると気持ちが軽くなっているのがわかる。
『ふふっ…大好きだよ』
「ふん…知っている」
照れ隠しでお弁当を掻き込む姿が可愛くて
私は顔がにやけるのを
おさえられなかったのだった。