Christmas
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12月24日。
世間が浮き足立つこの時期に
私は一人とぼとぼと家路に着く。
一人分のチキンと缶ビールが入ったビニール袋を携えて
道行くカップルとすれ違う度
自分が惨めに思えて俯いてしまう。
本当だったら、海外にいる彼氏が帰って来て
そのまま年越しまで一緒に過ごすはずだった。
それなのに
どうしても試合したい奴がいるからという理由で
帰国を遅らせることになって
おかげで、クリスマスはひとりぼっち。
テニスを好きな気持ちはわかるし
年越しまで一緒にいてくれようとしてくれただけでも
彼にしてはかなり配慮してくれたのだから
仕方がないことだと自分に言い聞かせるも…
やっぱり、クリスマスは一緒にいたかった。
ヒールを脱ぎ捨て、窮屈なストッキングとスーツを脱ぎ去り
冷めたチキンを取り出す。
適当にレンジに放り込み温めている間
デートはなくなったのかと、会社でいじられたことを思い出し
だんだんと腹が立ってきた。
別にフラれたわけじゃないし、明後日には帰ってくるし。
チーン、と無機質な音が響いてレンジを開けたら
今度は玄関のチャイムが鳴った。
『誰よ、こんなときに』
何か荷物を頼んでいたっけ?
もしかして、向こうから彼がプレゼントでも送ってくれた?
いや、あの人がそんなことをするはずない
と首を振りドアを開けた。
「相手を確認してから開けろ」
『は?え?…な、なんで?』
そこにいたのは
明後日帰ると言っていた彼氏の姿があった。
「入るぞ」
半年以上会ってなかったのに
人の部屋にずかずかと入って行く姿が
何も変わっていなくてホッとする。
色々散らかしたままで片付けたいところだけど
まだ頭が追い付いていない。
本当に、ここに今、彼は存在するのか。
『明後日にしか帰らないって言ったじゃない』
「…都合がついた」
『試合したい人がいたんでしょ?』
「…次に持ち越した」
『なんで?』
黙った彼の様子を見て、次第に胸が暖かくなる。
『クリスマス、だったから?』
「…ふん。たまたま帰国できたのが、今日だっただけだ」
前帰って来た時に
日本に夜到着する便は乗り継ぎが必要で
それが面倒で嫌いだと話していた。
それなのに、この時間に帰ってきてくれたのも
少し走った形跡があるのも
バックからラッピングの一部がはみ出しているのも
全部“たまたま”なのだ。
『ふふっ…お帰りなさい』
「…ああ」
ぶっきらぼうで、しかめっ面の彼に
思い切り抱きついた。
ケーキがなくても、冷めたチキンでも
あなたがいればそれで良い。
クリスマスの夜、サンタクロースのように現れた彼に
背を伸ばしてキスをすれば
ゆっくり微笑んで、力強く抱き締められたのだった。
(玄関は相手を確認してから開けろ)
(いつもは確認してるもん。さっきはたまたま)
(お前はもう少し警戒心を持て)
(誰かさんがクリスマスに一人にさせようとしたから
ちょうと自棄になってたんですー)
(……ふん)
(帰ってくるって連絡くれればよかったのに)
(…さ、サプライズだ)
(……入れ知恵は種ヶ島くんかリョーガくんか。
あ、デュークくんもアドバイスしそうね)
(……………)
(図星ね)
世間が浮き足立つこの時期に
私は一人とぼとぼと家路に着く。
一人分のチキンと缶ビールが入ったビニール袋を携えて
道行くカップルとすれ違う度
自分が惨めに思えて俯いてしまう。
本当だったら、海外にいる彼氏が帰って来て
そのまま年越しまで一緒に過ごすはずだった。
それなのに
どうしても試合したい奴がいるからという理由で
帰国を遅らせることになって
おかげで、クリスマスはひとりぼっち。
テニスを好きな気持ちはわかるし
年越しまで一緒にいてくれようとしてくれただけでも
彼にしてはかなり配慮してくれたのだから
仕方がないことだと自分に言い聞かせるも…
やっぱり、クリスマスは一緒にいたかった。
ヒールを脱ぎ捨て、窮屈なストッキングとスーツを脱ぎ去り
冷めたチキンを取り出す。
適当にレンジに放り込み温めている間
デートはなくなったのかと、会社でいじられたことを思い出し
だんだんと腹が立ってきた。
別にフラれたわけじゃないし、明後日には帰ってくるし。
チーン、と無機質な音が響いてレンジを開けたら
今度は玄関のチャイムが鳴った。
『誰よ、こんなときに』
何か荷物を頼んでいたっけ?
もしかして、向こうから彼がプレゼントでも送ってくれた?
いや、あの人がそんなことをするはずない
と首を振りドアを開けた。
「相手を確認してから開けろ」
『は?え?…な、なんで?』
そこにいたのは
明後日帰ると言っていた彼氏の姿があった。
「入るぞ」
半年以上会ってなかったのに
人の部屋にずかずかと入って行く姿が
何も変わっていなくてホッとする。
色々散らかしたままで片付けたいところだけど
まだ頭が追い付いていない。
本当に、ここに今、彼は存在するのか。
『明後日にしか帰らないって言ったじゃない』
「…都合がついた」
『試合したい人がいたんでしょ?』
「…次に持ち越した」
『なんで?』
黙った彼の様子を見て、次第に胸が暖かくなる。
『クリスマス、だったから?』
「…ふん。たまたま帰国できたのが、今日だっただけだ」
前帰って来た時に
日本に夜到着する便は乗り継ぎが必要で
それが面倒で嫌いだと話していた。
それなのに、この時間に帰ってきてくれたのも
少し走った形跡があるのも
バックからラッピングの一部がはみ出しているのも
全部“たまたま”なのだ。
『ふふっ…お帰りなさい』
「…ああ」
ぶっきらぼうで、しかめっ面の彼に
思い切り抱きついた。
ケーキがなくても、冷めたチキンでも
あなたがいればそれで良い。
クリスマスの夜、サンタクロースのように現れた彼に
背を伸ばしてキスをすれば
ゆっくり微笑んで、力強く抱き締められたのだった。
(玄関は相手を確認してから開けろ)
(いつもは確認してるもん。さっきはたまたま)
(お前はもう少し警戒心を持て)
(誰かさんがクリスマスに一人にさせようとしたから
ちょうと自棄になってたんですー)
(……ふん)
(帰ってくるって連絡くれればよかったのに)
(…さ、サプライズだ)
(……入れ知恵は種ヶ島くんかリョーガくんか。
あ、デュークくんもアドバイスしそうね)
(……………)
(図星ね)